どうにもならない日

こんなはずじゃなかった2020年からの生きる記録

2021年9月6日〜9月10日

9/6

新学期と共に晴れ間が戻ってきた。昨日仕上がっていた履歴書等を朝一番でメールする。今日は忙しい一日になる。初日は荷物が多い。着替えの詰まった着替え袋、替履、上履き、持ち帰ってきたけど一度も触らなかったクレヨン、カラーペンセットに絵本4冊。自転車のカゴを溢れさせながら行く。園内に兄弟いる人はどんなことになっているんだか。月一回の全学年での保護者会は二部制になっていて、後半組の委員会メンバーで絵本の棚戻し作業をする。通常の倍量となると人数の少ないクラスでもなかなかの量。年少さんの母が、ただでさえ少なかったのに夏休みの間に二人転園になってしまって、と話した。聞くと一人は養護施設にいた子で、一学期に我が子が割と面倒みていた子だった。その子から懐いてくれていたようで、はじめは、いつもついてくるんだよ〜と少し弱ってるかのように言っていると思ったら、日々の遊び報告の話のなかに自然と名前が出てくるようになって、プールがはじまる前には、「大丈夫かなぁ、自分も年少の時は怖かったから。」と気にかけていた。里親が見つかって引き取られていったという。「里親」という響きに軽くショックを受ける。そんな猫のことみたいな、世界名作劇場のような話、でも現代の日常にあったこと。私達の園には施設の子は何人もいる。子ども達がそれを特別視するようなことは全くない。明らかに色んな人がお迎えに来ていることに、誰なのと無邪気に質問されるんじゃいか、なんと説明していこうかと身構えていたけど、意外と疑問にすら思わないらしく、そういえばそんなことを聞かれることもなかった。そうしてどの子も一見変わりない、いち幼稚園児でしかないけど、その子は完全な孤児だったわけで、3歳にして家族となる新たな人達の元へ一人で向かっていくのはどんな気持ちになったのだろう。朧げながらもこれまでの暮らしを記憶しているはずの、あの小さな子の感情を想像して胸がぎゅっとなる。そして比べものにはならないけど、我が子はこれからお父さんがいない人生になっていくわけで、これまでのお父さんの記憶とどう付き合っていくんだろう。つい自分達のこれからを考えてぼんやりしてしまう。最近人とのコミュニケーション自体がしんどくて、二学期のはじまりが憂鬱でしかない。黙々と本棚を見つめて整頓に集中する。ほどよい時間になって保護者会へ。お腹が空いてきた。近くの自販機で炭酸水を買ってごまかす。たったこれだけのことでも、私には余計なお金を使ってる余裕なんてないのにと自分を責めて辛くなる。先生が自分の夏休みの出来事などを話してくれた。これまで勉強会がいくつかあっても現場をあちこち回るのは難しかったけどリモート時代になって参加しやすくなったのはよかったと言って、こんなベテラン先生でもまだ勉強会を必要とするとは立派だなと感心していると、そのなかで若い先生のコメントにドキリとさせられたという話になる。幼児教育の遊びについてをテーマに語られていた後半になって、突然どこかの若い先生が、そもそもそんなに遊んでいていいのか?もっと何か学習をしなくてはいけないんじゃないのかと言い出したという。先生はこれまで遊び以上に大事なことなんて考えられなかったから、同じ幼児教育者の立場としてこの発言に大変驚いたと話した。子どもにとっての自由な遊びがなぜ大事か。先生は心を育てるために必要不可欠なんだと力説する。他者も含めた遊びのなかで自分の芯をつくる。それが自己肯定感を育むことにもなる。私たちはこの方針に共感してこの園を選んでいるし散々聞いてきた話だけど、やはり違う考えの教育者もいるわけで、こう問題として取り上げた先生もそれでも何が良い悪いじゃなく答えはなくて、自分で信じて、思って、考えていければいいと締めた。毎度この保護者会は身が引き締まる。そのまま子ども達の引き取り。初日は午前保育。今日は楽しみにしていたプラザの周年記念イベントだから子も言うことをきいて真っ直ぐ帰り。お昼ごはんを食べて2時をまわりプラザへ向かう。早速イベントをやっている二階に人が集中しているらしく下はひっそり、二階はすでに友達も来ていて盛り上がっていた。ボール転がしやボール投げなど先生達が自作のいくつかの遊びと、お待ちかねの宝探し。友達が大当たりで欲しがっていたライトセイバーをゲット。うちは残念賞の景品のなかからクリアファイルをカットしてら作られたミニバッグを選んでポジティブな反応をしていたけど、あとでやって来た昔馴染みの先生が、どうでした?大当たりしましたか〜?と聞いてきた時は、喜びを思い切り伝えるお友達をよそに少し拗ねていた。準備したよりも人が集まらなかったのか、もう一周後でやれるかもとのこと。その二回目は中当たりで、お菓子のラッピングだとかで袋を口を綴じるのに使われる針金のメタリックなやつで作られた指輪を手に入れて、今度こそ無理をし本当の満足をしていた。今日は約三時間、よく遊んだ。

 

 

 

9/7

今朝はお弁当の準備なんかも早く終えれて、おかあさんといっしょを観ると久しぶりにポンヌフのたまごが流れた。はじめて聴いた瞬間から好きになって、どこかの国の童謡みたいなものか、でなきゃ子ども番組のために作られた歌かと思って調べたら、ほんの数年前のそれもハンバートハンバートの曲だったから驚いた。現代に作られたと思えないほどトラディショナルな歌。

今日は委員会作業。今月に予定していたバザーはやらないことになったと昨日の保護者会で報告された。バザー作業が今日のやることから無くなって少し余裕ができ、お喋りしながら作業。年少さんの母で台湾の人がいて、お父さんが送ってくれたというソフトキャンディのようなナッツ類の入ったお菓子を配ってくれて、そこから台湾の食べ物の話になって盛り上がる。お菓子サークルのママがパイナップルケーキの作り方を熱心に聞いたり、私が、我が子が台湾唐揚げジーパイが好きだというと今度レシピ持ってきます、と手記を交えながら色々教えてくれた。彼女は自分の作ったパイナップルケーキを自分で縫った袋に入れて販売しているらしく、やっぱりアジアの人は皆手仕事が基本にあるものなのねと感心した。時間になり解散。私はそのまま区役所へ。ひとり親の手当はどのタイミングでもらえるのか、また他にも支援があるのかなど話を聞きに行く。ひと通りお金に関する話を聞いたら、今度はひとり親家庭支援担当を紹介された。これから生計を立てていくためにまずは仕事をどうするかなど、私がどんな人間であるかを聞き込みしながら色んなパターンを説明してくれる。すでに手厚い。ここまで優しくサポートしてくれるなら頼もしいとすら思える。しかしやたら前向きにといった話をされて、いや私はまだ離婚に納得してないんですけどねと思いながらでもある。隣りの介護だかの窓口では車椅子のおばさんがめちゃくちゃ声を荒げて行政を非難していて、手厚いと思うとなんだか少し申し訳なくもなるし、誰もが納得するようにはなっていないんだなと思うと同時に、助成にも慣れてくるともっといいはずだろうと欲もでるのかもしれないと思ったりする。帰ってごはんを掻き込んでお迎え。最近はもう食べれている。それでも完全なる二人分の食事なんてたいしたことも出来ず、日々昨日の残り物に何か足すような食事。元夫の方も食べるようになっていて冷凍しているお米もその都度順調に減っていく。

お迎えから公園へ。一時間ほど遊んだところでお友達のみーちゃんが疲れたといって解散。今日はこのまま遊んでしまおうかとプラザへ。ママ友に今日聞いていたひとり親支援の話をする。ディズニーランドやサンリオピューロランドなど指定の四カ所くらいが、年に一回少額だけど助成金がでるとのこと。子にはそれを楽しみにさせれば別居にも前向きにはなれそう。元夫は最近この件に触れてこない。住民票が移った翌月分から手当が支給されること、聞かれたら教えようかと思うけど、なんで知ってたのに言わないんだとまた私に不信感をいだくのではないかという気もするし、人ならどうするかマサコさんやママ友に相談。とりあえず今夜はわざわざ知らせないことにする。履歴書を提出したところからも早速面接の連絡がきて順調。

園ではオリンピックで知ったことを学びながら独自のオリンピックで遊んでいるらしく、子が色んな国を意識し出した。カナダはメープルシロップがあるんだよと、メープルクッキーお父さん好きだから教えてあげるんだと言っているからボイスメッセージを送る。お父さんと触れ合わせてあげられなくても平日なら気にならない。

 

 

 

9/8

送りのまま区内のハローワーク出張所まで。ハローワークの他に区内だけの求人情報もあるらしい。自転車で走りながら、私が前職が好きだったことをあらためて考えた。実働として何がやりたいかという以上にその業種に関心があったから続けられたというのがあるなと思った。そしてそこに関わることは自分が男性より優位または同等になれる唯一の手段でもあると感じていたから。そうして自分を保っていたんだと思えるけど、今は子どもの存在で自分を保ってる。そのうえでやれることをやろうと思う。ヤクルトレディとすれ違う。ヤクルトは環境はいいかもしれないけど、あのゴテゴテに荷物を積む自転車と、それに相応しくない服装なことがどうしても受け入れられない。ヤマトの配達とかUberみたいならアリな気がする。そうか、ヤマトの自転車配達いいかもなと思いながらハローワーク。係の人がなんだか融通のきかない不親切感満載で気分悪くなった。最後に通してもらった相談員の人も親身さに欠けていて、昨日区役所のひとり親担当の方が、人によるからと苦笑いしていたことを早速痛感した。担当の方はとても親切で、昨日の面談の後も何度も電話で補足の連絡をくれた。そういえば最後の電話に出れないままだった。建物を後にしてから連絡すると、ちょうど今日来たこの建物の二階の福祉事務所で、ひとり親に専属で職探しのフォローをしてくれる仕組みがあるらしいかった。全く知らずに普通にハローワークに来て、私の提示する条件の厳しさに冷たい態度を取られて嫌な思いをしてしまった。その専任の方と日程調整をして同行までしてくれるらしい。手厚い。今はもう面接予定のところしか考えられないけど、並行してやっていくのもいいと提案されて希望することにした。色々決まってきているけど誰に共有できるでもなく、私を応援してくれる人もいないことが寂しい。こっちまで来たのも久しぶりだからその通りにある昔ながらのパン屋さんでいくつかパンを買って帰る。部屋のポストに区の集会所でフラワーアレンジメントが習えるというチラシが入っていて、あんパンを頬張りながら問い合わせてみる。なんでもやってみたい気持ちになっていた。けど区の集会所のくせに意外と高くて速攻チラシは丸めて捨てた。お迎えのまま公園。リュックのなかにお便りが入っていて、今日は梅干しを持ち帰ってきているらしい。園で漬けた梅干しを子ども達は昨日お弁当の時間に食べたとのことだった。みーちゃんのママがお弁当袋の中まで開けてみると、なかなか立派な梅干しだぁと言って、みーちゃんがお父さんお母さんの分で二つずつなんだよ!と付け加えた。こういう話が出た時はなんとなく子の様子を伺ってしまう。子はそれを傍目で見ながらみーちゃんを遊びに誘って離れていった。少し雨が降りだして解散。通り雨だったようで家の前に着いた頃には止む。自転車のカゴから水筒を子に手渡す時に落として蓋が壊れてしまった。明日も必要なのに困った。前に使っていた水筒も同じ種類のものだったから蓋が使い回せないか思い出しながら、最悪図書館の後に買いに行かなくてはならないことも考える。当たり前に使っているだけだったけど子は案外思い入れがあったようで涙ぐんでいて、おやつを食べさせながらガサゴソ探すと蓋が出てきた。よかった、緊張が解けた。図書館に向かうと今日も一番乗り。読むのが少し下手なおばあちゃんで、分かってたんじゃないかというくらいに今日は皆んながなかなか来なくて不安になった。ギリギリになっていつものメンバーが集まり、今日は大型絵本。絵も見やすいし読むおばあちゃんには文字も見やすいだろうし、いつも大型絵本でいいのにと思う。今日は積極的に子が絵本を選ぶ。といっても目についたものをバカスカ持ってくるだけとも言えるけど。この前借りたなかでは「きりばあちゃんのともだち」が気になる話だった。大きな木から切り株になってしまったおばあちゃん。不自由を感じながらも近くに咲いていたタンポポと友達になって、木だった頃の広い空の世界の話をして聞かせたりして過ごしていた。やがてタンポポは萎れて、きりばあちゃんはどうにも出来ず泣いて困り果てる。と、タンポポは白い綿毛となって復活。が、すぐにそこから飛んでいなくなってしまった。きりばあちゃんはその後も色んな虫などに出会っては別れを繰り返し、長い冬を越えたあと目を覚ますと、そこにはたくさんの仲間を連れたタンポポが戻ってきていた。タンポポは空の世界はそれはそれは素晴らしかったと言う。一見良い話のようなんだけど、やっぱり地に張り付いているよりも空高くから色んなことを見渡せるほうが自由を感じるものとされていることや、きりばあちゃんは皆が巣立っていっては、これでよかったんだわと自分に言い聞かせていて、おばあちゃんになるというのは諦めることみたいな感じが、なんともモヤっと考えてしまう話だった。

今夜は有吉の壁ではなくお笑いのネタ番組で、MXのアニメとかつけてあげようかなとチャンネルを動かしていると、お笑い番組でいい!と子に言われる。人が育つのは気楽になるところもあり、らしさが消えていく寂しさもあり。

帰ってきた元夫に子が梅干しを食べてと勧めて、絶対「自分はいいよ」と言うと思ったのに目の前で一粒パクリと食べて、すっぱい!と子におどけてみせていた。私達の前で元夫が食べ物を食べたのはこれが最後かもしれない。

 

 

 

9/9

猫の嘔吐音で中途半端に早く目覚めてしまう。今日は完全に雨で歩きで園へ行く。歩きだと早く出ること意識しているけど思ったよりはゆっくりの時間になってしまって焦る。でも気づけば子も歩くペースが早くなってきたようで、案外程よい時間に到着できた。そしてクラスの保護者会。夏休みのことについて報告。私は今も、それどころではないから充分に子どもの相手をできた気がしていない。当たり障りないことだけ伝えて終わり。皆んななんだかんだいって家族単位ならばと色んなところへお出かけしていたようで羨ましくなる。スーパーに寄って帰り。迎えの頃には雨が落ち着いていて自転車で出る。ファミリーマート、実質今日で営業終了。お迎えまでまだ少し時間に余裕があったから寄ってみる。毎回思うけど私は閉店の状態が苦手。もう入荷されることなく減っていくだけの棚は悲しいし、それでも日常を生きる人のために食べ物は入ってきて売られているのも切ない。そうしておにぎりをせっせと並べているお兄さんに、脇目もふらずに向かっていってどう?どうなるか決まった?と聞いたら、とりあえず合宿で免許を取りに山形に行くとのことだった。ルームシェアをしていることは前に聞いたから、またこの近くに帰ってはくる。でもいつもの場所でいつでも会える人がいなくなる。寂しくなるなぁ。あとでまた子どもと寄るねと言ってお迎えに。子にいよいよファミリーマート無くなるよ、お兄さんもお別れだよと話すと、いま手紙を書いて持っていくということになった。道を渡った100円ショップで紙とペンとシールを買ってモスバーガーに入る。子が気になっていたクラフトコーラを頼んだけれど、見向きもせずに熱心に手紙を書いた。気に入ったシールを貼って、コーラをグイッと飲むと自転車にも乗らず走ってファミマに向かう。レジには店長がいて、お兄さんを呼んでもらう。会うなりお兄さんは子が手紙に書いたことと同じく、お兄さんのこと忘れないでね、と子に言った。私が補足するために手紙を開いて見せると、ひらがななら読めるかなと言って、子の拙い文字でもお兄さんも理解してくれていた。記念写真を撮ると、お兄さんは裏から自分のスマホを持ってきてAirDropしてくれと言ってその場で写真を共有した。お疲れさまと別れる。最後の店長にも挨拶。この人は子が一歳くらいの頃ここで店長だった人。最後に再び戻ってきたのだった。そのままプラザへいく。ママ友からも今日は早く行って4時に帰る計画の連絡がきていた。元夫にお兄さんとの写真を送る。店長いた?顔出そうかな、とか返信がくる。元夫は店長と知り合いでもあった。最後を皆んなで一緒に迎えられなくて残念だったな。ファミマの表には本社のエリートみたいな人達がワラワラといた、と伝える。4時にプラザを出るとその後の時間の流れが落ち着いていて良い。

7時前、帰った元夫が物件あったんだけど、と北側に離れた家を見せてきた。近くに住むといっていたのになぜ北側なのか。子を支えることはすると言っていたのにどうしてそのための距離感じゃない場所を選び出しているのか。ちゃんとやる、とか曖昧な言い方でなくルールにしないとダメだと私が提示すると、そこまでしなくちゃいけないの?と言い出した。自分が本当に子を思うなら離れて暮らしてもそれはしたいはずなのに、やらされてると思うくらいならやっぱり家族を面倒だと思っているのと同じだと思った。怒りがおさまらない。そしてまた出て行った。

夜、子が寝てから長々とメッセージを送る。最近もマサコさんと夫婦、パートナー、家族についてやり取りしていた。元夫は、私がおかしいの一点張りだけど、人の話を聞いてもいち母親の変化としては私は一般的でもあると思う。元夫は人がどうしてそうなるに至ったかの感情に耳を傾けることはなく、ただ最終的な怒りだけを放出させたり、どこかの誰かを想定して比較しているみたいにケチをつけているようにも聞こえて、マサコさんは一種の言葉のDVでもあると常々言っていた。私はもっと客観的なアドバイスや落ち着いて話し合える場所はないのかと検索してみると、夫婦カウンセリングというものがあった。思い切って予約をしてみたい。パートナーと一緒の方が話が早いようでもあったから、元夫にそれを伝えると、自分はいいと断られた。今さら考えは変わらない、とにかく疲れた、とのこと。人の意見が入ってくるのが怖いんだなと思う。自分がめちゃくちゃなやり方をしていることは自覚しているのかもしれない。あらためて彼のコミュニケーションは破綻しているなと思う。良いところだけを見せ合う上っ面の人間関係だけでいいのだろう。

 


9/10

朝9時、ファミマが閉店する。登園で前を通ると昨日と同じに上層部らしい人達が店を取り囲んでどこかと連絡を取ったり忙しそうにしていて、中ではやはり昨日と同じメンツがレジ締めをしていた。自転車を少し停めて、バイバイと手を振る。

送りのままOKに買い物、戻るとまだ元夫は寝ていたけど子のランドセルが到着していて、代引としてそれは受け取ったようだった。渋谷のマザーズハローワークへ行く。マザーズのそこでしか見れない求人もあるから一応見にきた。マザーズ求人は税理士事務所やら医療のなんだとか、場所も港区とか中央区とかハードル高い職場しかなかった。シングルマザーであることを伝えて検索してもらう。調べ方によって引っかかる求人は違うから新たなものを発見。一応紹介状を出してもらって終了。とにかく今のいま始めるには制約があり過ぎる。お金さえ積めば預かり保育があったこれまでと違い、この夏休み明けからまたコロナ感染拡大による締め付けがあって日数、人数も制限され、その意識の高さから預かりをしないようにやり繰りする人がほとんどで、預けられたとしても友達が誰もいなくて孤独ということになりそうなこともまた頭を悩ませた。そして今日は暑い。夏みたいだと浮かれてもいられないのにこの暑さは煩わしいだけ。

お迎えのあとはいつも通り公園。でも仲良しのママ友から今日はいつものプラザでなく、懐かしの先生がいる少し離れた児童館に来ていると連絡がはいる。少し遊んでそっちに移動する。懐かしい先生の一人には会えた。こっちの児童館もめっきり幼児の利用が減ったらしい。先生に学童について聞いてみると前年度の冊子を持ってきてくれて簡単に説明もしてくれた。今朝、同じ学区のママともうすぐ小学校の説明会だねという話になって、彼女は私にライターの仕事を紹介してくれた事務局の人だけど、学童に入れるための条件というのを聞いたらしく彼女も条件の日数に達していないからと悩んでいた。あらためて先生にもう少し細かく説明を受けると、保育園に入る時のようなポイント制になっているらしい。例えば一年生はそれだけで三年生より預かる必要があるとしてポイントが高い。働くためには子どもを学童にいれなくてはならなくて、でも学童に入れるためにはこれだけ就業してなくてはいけないという条件があって、それを認めてもらうためにはすでにその実績が必要。つまりいま無理して働かないと学童にありつけない。なのに今の預け先がない。幼稚園母は一生仕事にありつけないんじゃないかとママ友と落胆の声をあげる。児童館の幼児の利用は4時まで。今日も早く解散で時間をたっぷり使える。馬橋神社に小学生が絵を描いた灯籠が飾られていてそれがキレイだという話を聞き、まだ明るいけどついでにということで見に行く。夏休みの始まりに神楽をやった神楽殿を子がじっと見ていて、ここでやったんだねと言う。またやりたいのだろうか。そうならばやらせてあげたい気持ちもあるけど、今の私達にはそれは贅沢なことだようなぁと気が咎めることでもある。解散して駅前の駄菓子のあるコンビニに行く。いくつか小さな菓子を買い、店を出る時にYouTuberのビックリマンチョコを発見。最近ツイッターで陽光くんが書いてるのを見て、ごっちゃんに関連する服を着ているYouTuberのシールがあるらしくごっちゃんが欲しがっているみたいだったので、元夫に連絡しつつ3つ買ってはやとちりへ向かう。ちょうど元夫は駅に向かうところで、外では普通に立ち止まってまで話してくれる。ビックリマンをごっちゃんに渡して、ついでにたんぽぽハウスに寄り道。入れ違いで出て行った人におや?と思って子も顔を覗かせると、やっぱり神楽の先生だった。普段の先生はいかにも高円寺らしい個性を併せ持ったおじさんといった感じで、ピンクの小さな自転車のサドルにピラピラとリボンをはためかせているような人だった。聞くと家は結構近いようだった。子が今日馬橋神社行ってきたんだよと話したので、本当はまだやりたいのかなと先生と二人で茶化して笑った。なんとなく良い日。

帰って思い出す、ランドセルが届いているのだ。子がそれはそれは喜んで、開けてみたけど汗かいたりの汚い服で背負うのは、今からまた保管するのに勘弁てことで眺めるだけ。家族がこんなことになるとは思いもしなかった頃、これだけの買い物を済ませておいて本当に良かったと思った。

2021年9月1日〜9月5日

9/1

久しぶりの矯正歯科。元夫は夜型生活をしているから朝はよく寝ている。少し前までこの状態を寝れないんだと訴えてきていて、時間がズレてるだけで寝れてるじゃないか、勝手に被害者ヅラしやがってと呆れていたけど、睡眠の質が悪いという意味だとしたらそれはこちらからは判断つかないし、でもそうであるなら私も同じ。ともかくこんな様子だから今日は歯科に行くと事前に伝えておいたのに結局これ。子がひとりだから、と出掛けに声をかけると、起きてるとか言いながら寝続けていて、そりゃもう家の中なんだから子もそれでも大丈夫かもしれないけど大人が居るのに別の場所で寝ていて子どもが一人ってどうなんだろうか。この人ははじめから親の意識が薄くて初々しい人間との共同生活を自分都合で面白がってるだけの人だったのかなという気までしてくる。私が出かけたら起き上がるのかもしれない。家を出る。

一般歯科の治療終了から随分時間が経っていて、先生から渡されていたお手紙を持つのをすっかり忘れてしまっていた。でも先生同士話もしていて多分こういうことでしょうと、つまり矯正はまだしばらく続くということ。私はマスク生活で正直口の中なんてもうどうでもよかったりする。帰り道のスーパーで今月のぬりえをもらって帰る。ハロウィンの絵。

午後、図書館のお話し会。話を聞いている最中に幼稚園からメール。予定通り来週から二学期は開始で、今後の保育のしかたや行事などについては初日の保護者会で説明するとのこと。やっぱり始まるのか。もう少しだけでも一緒の毎日でいたかったような、でも幼稚園最後の日々も奪われたくないような、元夫との緩和剤として子を求めてしまうところもありつつの、複雑な気持ち。絵本を借りていつも通りプラザに流れる。来週にはプラザ一周年記念のイベントがあって、先生がいま絶賛手作り中の宝探しの景品を見せてくれて子ども達はその日を心待ちにしている。

帰ると届いていた和室のために買った照明をセットする。が、古いタイプのソケットは使い勝手が違うのか、一度付けたものをなかなか外せない。これまで高いスペースのことや環境のメンテナンスごとは任せっきりだった。だからどんな場所でもそれなりに過ごせてこれていたと思う。守られていたのだ。電気の付け替えひとつに手間取る自分。元夫に力任せに引っ張っていいのかと聞いてみる。聞いたはいいけど彼も多分見なきゃわからないと思われる。そのまま放置して夕飯の支度など。元夫が帰って照明をみてくれたけどやっぱり苦戦していた。こんな誰でも手こずるようなことでまた私が最後まで努力しないやつと思われそうで居心地悪かった。

夜、ウェブでパート検索をしてみる。保育がはじまることが確定して、早速やれることはないかチェック。こんな状況になる以前からたまに見ていた求人ボックスからまずは見てみる。色んな求人サイトの情報がまとめて表示される仕組みになっているようだけど、他には見ないような求人としてマイナーなものもあるのがよかった。それでも時間の融通がきかない今やれるようなことは限られてしまう。今のところポスティングが一番気になる。

 

 

 

9/2

雨。今日はようやく新美術館にファッションインジャパンを見に行ける。数日前予約を取るときに元夫に、今日か週末か子を見るのに都合がいいのはどちらかと聞いたら平日でいいんじゃないと言われたのでホッとしながら今日になった。もうワクチン二回終了からの10日以上で、多少は無敵な気持ちになれたとはいえ混み合う街は気が進まない。雨のなか家を出る。アパート清掃のおじさんと鉢合わせて挨拶。自転車の置き位置守ってくれてありがとうね、と声かけられる。以前会った時に、水捌けさせる溝のところにかぶらないように置いてほしいと言われた。その時は私が置いてるんじゃなくて前に停めてるおばあさんが勝手にそこにズラすんだと泣きついた。そういえばその後、溝空間を空けて停めても前のばあさんに自転車をズラされていることがない気がする。ばあさんの前の自転車が片足スタンドでバランスが悪く空間を有しているから、ばあさんの目の前で何度か私が置き直してあげていた。最近の標的は前の自転車になったのかもしれない。清掃のおじさんにはもう一度、いや私はずっとそうして停めてるんですけどね、最近動かされないですねと伝える。おじさんは前も今も、とくに前のばあさんは困ったものだなというリアクションすることもなく、ひたすら私と一対一の姿勢で、お子さん元気?ともう次の話題に飛んでいた。いま大変だから、大事に気をつけてねと締め括って見送ってくれた。ニュースでは保育園のクラスターが増えていると話題。でも我が家はそういうことでなくても子どもを締め付けているような状況であることに胸が痛む。

だいたい30分、電車に乗って乃木坂へ。広い駅のホームを行き交う人は少なくゆとりを感じる。駅直結ルートに様々な人がいて、美術館など行く度に周りの人を見て思う、第一印象では分からない部分にある皆の意識の高さと行動力に感心しながら流れて向かうと新美はワクチン接種会場になっていて、流れこんできた人の一部がファッションインジャパンのゲートに分かれていって、この賑わいはそういうことかと肩透かしをくらった。しかしそこは最終日が近づいた展示、やはり中は混雑していて、一人でひとつの展示をじっくり堪能するような隙はほぼ無し。近くにいたマダム達の思い出話に耳を傾けながら進む。70年代のあたりで、私はあれは通ってないだとか、これは今見てもほんとに良いわよねぇだとか、確かニコルのことだったか、確かに私も素敵だなと思った。リアルに時代を生きた人の声を聞いていてワクワクする。90年代では、うちの息子なんかはと息子のファッションのこととか、主人は逆にどうだとか、人生のどの時点においてもこの方はどこかしらでファッションを感じてきたんだなと思えて、それを今こうして同年代の仲間と振り返りながら語るのは最高に楽しいだろうと、世代は違うけど私も会話に混ぜてもらいたくなったりした。他にも色んな人がいた。若者ほどサクサク進み、年配者こそ思い入れのある時代を隅々までみているようだった。企業の上層部といった見た目のおじさんがケンゾーの映像の前に長々といたり、アパレル業界の人らしく年配のおばさまと小綺麗な成年のコンビで「先生のはもうすぐかしら」だとか話しながらプロらしい立ち位置で見て回っていたり、展示物だけでなく空間も飽きるとこなく楽しめる。私も自分なりに自分の知識で振り返って一人胸を躍らせたりした。ゆっくり進みながら見るだけでも疲れるくらい真剣に見た。ヒステリックグラマーのメイキングもじっくり。若い頃のカツタさんも出ていて、変わらない印象とこの面々が関わるヒスは本当に尖っていたんだなぁと遠い目になる。すごく充実した時間だった。ミュージアムショップのところにはニュースeveryで郁恵ちゃんの息子が着ていた途中でやめるの服が飾られていた。約二時間。夫に子はどんな様子かもうすぐ帰ると伝えたくて電話をするも話し中。15分の間何度かかけても話し中。また放ったらかしなんじゃないかと思って少しハラハラする。折り返し電話がきて状況の報告はもらった。相変わらず自分が仕事をする傍で動画を見せているという過ごし方のようだった。そうではなくて一対一で向き合う時間にしてほしいからいつなら良いか聞いたのに、その時間は日々のスケジュールのなかに組み込むことはないらしい。

帰りついてすぐに動画をやめさせて二人で遊ぶ。ワイヤーにビーズを通して作る手芸をしたり。雨で冴えない一日。プラザに行くでもなく夕方にまでなった。今日の元夫は比較的穏やかで私達に、みんなご飯はどうするのと言ってきたのが、なんか懐かしかった。

夜、子どもが寝てから職探し。ウェブの求人サイトを見まくる。いま確実な時間条件で探すと介護、保育士ばかり。それは選び放題なくらいあるから、その他の中から少し気になるものをピックアップしていく。働けたら少しは世界が開ける気がする。

 

 

 

9/3

今日と雨。心配してくれているマサコさんと長電話。子がたまに覗きにきて、なんでこうこちらが何かしている時こそ絡んでくるんだかと思う。子どもは人が自分のことより何かに集中していると分かると不安なのだろう。電話を終えて一緒にランドリーへ。近所に住むクラスの子のパパがちょうど入れ替わりでやってきた。乾かせないよね〜とお互い労い。

午後、ママ友と連絡とってプラザへ、傘を持って歩きで。いつも通り愚痴を話しながら遊び。帰りは家の方の八百屋やローカル100円ショップに向かう。細い路地のお宅の塀に立派なかたつむり。子が喜んでお父さんに見せたいからと写真を撮るように命じてくる。子にお父さんの存在があるのが苦しい。例えば同じ家に帰らなくてもお父さんと思って慕うのだろうか。いまは私は共に行動して同時に共有しているから伝える必要がない存在だけど、この一体感が解けたら私への報告だけで満足するのだろうか。こんな些細なことでも気がつくといちいち辛い。子の傘にできている錆びをとりたくて100円ショップで錆び取りがあるかと聞くと、クリームならあると店のおばさん。そこに案内してくれながらそれかヤスリだわ、と近くに下げられてたヤスリを指さす。艶出しスプレーとかないの?と聞かれる。それなら家にあった。え、艶出しスプレーで取れるんだと私がそうかと唸っていると、何の錆取りたいの?と聞いてきて子の持ってた傘をみせると、もう一人のパートおばさんとアイデアを出しあってくれて、あ!あれがあったわ!と、私ももしやと思った通りメラミンスポンジだった。それも家にあるというと、まずはそれでやってごらん、となんの商売にもならなかったのに気持ちよく送り出してくれた。ありがたい。まいばすに寄り、ファミマに寄り。お兄さんはまだ次の先は決まらないとのこと。最後にピアゴで買い物して帰り。

夜、再び子が人生ゲーム。今日も淡々と進め元夫が一位抜け。それでも子が楽しんでくれてるのは嬉しい。それだけで安堵する。そんな落ち着いた心で今夜も職探し。気になるパートを見つけて応募してみる。自動返信がきて、まずは指定の書類を用意するようにとのこと。この形の求人に応募するのははじめてだから少し頭が興奮状態になる。前進。

 

 

 

9/4

今日も雨。家にいるしかないのがしんどい。午後、ずいぶん前に買ったチョコ菓子つくりにようやく手を出して時間を潰す。子は今日はマクドナルドのCMで観たポテトとナゲットの夜マックセットを夕飯にするんだと決めている。歩きだから早く行こうと言っていたのに結局クレヨンしんちゃんドラえもんもしっかり観てようやく家を出れる。今日は夜にまたドラえもんがやるらしい。それを楽しみに子も急ぎ足。商店街のアーケードに入ると、少し前に閉店した服屋さんの後にまた安そうな古着屋。と思ったら3びきの子ねこ様と花台が飾られている。あれ!と思ったらむーそちゃんがいて、あれ?ここ、と聞いたら、そうなんです、通常の3ねことは違う安い服を売る店ができまして、とのこと。入り口にある回転什器にさげられたハンカチーフなんかは100円。子が野菜柄のバンダナを欲しいといい、お弁当を包むのに良さそうだねと同意して買うことに。普通の3ねこと違って店の半分はメンズでもあって男性も見やすそう。歩きながら元夫に、高円寺?とLINEするとごっちゃんのところにいるということで、3ねこのことを教えると行くと言っていた。コミュニケーションがとれただけで少しホッとする。マックを買って急いで帰り。ドラえもんスペシャルに間に合った。二人でポテトとナゲットを思う存分に食べた。

 

 

 

9/5

夏休みの最後が雨続きになってしまって消化不良で終わる。昨夜、やっぱり神楽を一旦は辞める連絡をして、久しぶりにのんびりの日曜な気がする。後楽園に行った時に子がお父さんにお土産にしたいと言って買ったのはなんてことない普通にパン屋のパンだったけど、元夫が冷蔵庫に入れたままいつまで経っても食べなくて、もう駄目だと思うけどそこにあることで、子が目にする度に気にしてしまっているから、こちらはフォローを続けなくてはならないし、心苦しさでもう私がもたない。早く捨てて美味しかったと嘘ついてくれたらいいのに。

応募した先に出す履歴書に貼る写真を用意しなくてはならない。数年前、失業手当を受給するためにハローワークに通った時に就活をして履歴書に貼る写真を自分で撮ってコンビニでプリント出来ることを知った。数年ぶりに同じことをしてみる。メイクして襟付きシャツに着替えて自撮り。どうにかそれらしく撮れたものをネットプリントの用意だけして、雨が止んだ外で子の縄跳び。二学期がはじまってもうすぐしたら運動会がある。年長組は一人ずつ、鉄棒やら縄跳び、跳び箱を披露しなきゃならない。夏休みに入った頃は13回くらい続けて飛べたこともあったけど、その後たいしてやれないまま夏休みの終わりを迎えた今はまた飛べて5回くらい。他のことに気を取られてしまった夏。気持ちを乗せてあげることもできなかったことが悔しくなる。子の息が上がってきたからセブンイレブンに写真を出しに行く。まるちゃんが始まるから家に帰って子にはテレビを観せながら履歴書書き。ごはんの準備。他書類も用意しなくてはならない。サザエさんが終わる頃にやっと夕飯にしてあげられる。私は引き続き書類作成。帰ってきた元夫が察して子が私に話しかけ続けるのを遮って、なあに?と聞いてあげてくれていた。

夜、お風呂上がりに少しだけもう一度自分時間にして書類準備。ちょっと子をおざなりにしてしまったところもあるけど、順調に進められたらもっと世界が広がって子のことももっと楽しませてあげられると思うと気持ちもあがってきた。

2021年8月27日〜8月31日

8/27

まだまだ夏らしい暑さを感じる。昨夜残したスイーツをひとまず食べて、チェックアウトして出てからなにか食べればいいかと思っていたのに、子が絶対サイゼリヤのモーニングを食べるんだと言い張る。全国に何店舗かモーニングビュッフェをやっているサイゼリヤがあって、それが後楽園という距離にあるならいつか行きたいと思っていた。今はコロナでビュッフェ方式ではないのだけど、まさかその建物に宿泊することになるとは。そう、なんとこのホテルの下階がそのサイゼリヤでホテルのモーニングはこれということになっていた。ビュッフェじゃないとなると少々値段ははるけど、無料の幼児分も結局大人と同じ一食だったからすごい量にはなる。出されたものは通常にあるメニューと変わりない。特別なことはドリンクバーに牛乳があるくらいだろうか。そしてコーヒーを部屋で飲んでもいいようにテイクアウトカップが用意されていた。私達が入ると同時に男性が一人帰っていき、外からの一般のお客さんがなくガランとしてしまっているサイゼリヤというのも珍しかった。その後も女性がひとりやって来ただけ。子がコロナとか全然気にしなくてよかったね〜などと言っていた。二人で食べ切れるわけもなく、店員さんに部屋に戻ってから食べたいというと持ち帰り容器を持ってきてくれた。ビュッフェじゃないから出来たことだろうから有り難かった。これはのちに帰宅してからの私の夕飯になる。部屋で最後のまったりを堪能してからいよいよチェックアウト。アメニティのムササビくんグッズは持ち帰ることになった。フロントで荷物を預かってもらい後楽園へ向かう。目的は子の好きな屋内遊具施設。夏休みとはいえ平日の午前、朝イチからは人も少なくどのエリアでものびのび遊ぶ。30分だけ延長も許して遊んでいると少し人も増えてきて遊びづらくもなったところで退出。あとは観覧車に乗りたいというのが子の希望だった。ところが観覧車がメンテナンス中で午後の開始になるとのこと。ここから時間を持て余した苦痛の時間がはじまる。何か他の乗り物に乗って時間を潰したくてもひとつひとつが高くて厳選したひとつくらいしか乗れない。お父さんにお土産を買いたいというけどそれらしい店もなく無駄にウロウロ。東京ドームの方まで行ったり、全貌を把握できるほどに歩き回った。ホテルに戻って荷物をピックアップ、13時には開始するのではないかと言われていた観覧車はまだ動かず。暑いし食べられないしでもうヘトヘトだった。二人でひとつサーティーワンを食べて休憩もあり。隣接するショッピングビルの上階に上がったところで観覧車に人が集まり出しているのが見えて、こちらも待ってましたと小走りで向かう。ビッグオー。観覧車って記憶していたよりも怖い。都会の景色だから怖いのか。まわりのどんな建物よりも飛び出して、まっすぐ向こうの方に見えるのはそびえ立つスカイツリー、それくらい高くて丸の半分は怖がっていた。目的達成できてようやく帰れる。駅直結ビルにあるヴィドフランスで子がスイカのパンをお父さんのお土産にするといって買って帰り。特別好きなわけじゃないだろうに、何気なく言ったスイカが好きという言葉をいつまでも律儀に覚えているのだからいじらしい。帰りの地下鉄も座れたけど立ち乗客もいるくらいには人がいる。この先少しのストレスも感じず地下鉄を使えるようになる日はくるのだろうか。午後15時すぎ、まだまだ暑い。荷物をズルズル引きずりながら帰り着き、部屋にあがった途端に子が懐かしいといってボロボロ泣き出した。ここが子どもにとっても安心する帰る場所なんだと思うとやっぱり勝手な都合で簡単に環境を変えていくなんて荷が重くて耐えられない自分が想像つくから絶対に無理。

夜、子にはどうにか食事を用意したけど自分は気力がなくて、ただ勿体ないの一心で朝残したサイゼのパンとソーセージを突きながら夕飯にしてると実家の母から電話。何か用があるわけではなくただ子と話したいがためにしょっちゅう電話をしてきてはスマホを拘束されるのでこちらの心の持ちようによってはそれがひどくストレスにもなる。何も知らない母が能天気に子に話しかける様がイラついてしょうがない。子が「今日はねー、なんとホテルに行ったんだ!」と無邪気に報告し、それに対して「まぁ〜お父さんと三人で行ったのかな〜?いいねぇ」とありがちな反応を母がすると、「ううん、お父さんは行かない。だって家族じゃないから。」と言ってしまった。ドキリとした。そうだった。自分が黙っていてもこういうことになってしまうのだ。夏休みだったし隠せるわけなく子の前で散々揉めてそれはもう後の祭りだ。母は子ども相手にそこを追求することなく流して電話は終わり、すぐにメールが入った。お父さんは仕事が大変で優先になるものだから家庭のことができないのは仕方ない、子どもにあんなこと言わせるようになってしまうのは私が良くない、という高度経済成長期らしい感覚で畳み掛けてきた。「今の人はお金がなくても家族が仲良し」という印象でこれまで私達に対してもそんな目でみて、自分の時代とは違うなと理解し難いと思っていた節があるだろうけど、逆にこの夫婦仲が良くないと思われる事例に関しては寛容であった。とくに、うちの母親の親、私の祖父母は離婚していたから家族の拗れについては耐性があると思われる。でも今は外部に責められるのは御免だから絶対に明かしたくない。言わなきゃ分からない。

夜、子が寝てからもずっと考えている。この先二人で生きていって良い事なんてあるだろうか。もちろんあるとは思う、でも辛くなる事がそれ以上にあるんじゃないか。辛いことを感じるためにあと40年とか生きていって意味があるんだろうか。それなら今の楽しい記憶だけのうちに人生終わったほうがずっと良い。私は死にたい、死んだら楽かもなんて思ったこと一度もなくて、全く意味が分からない域だと思っていたけど、はじめて死を選ぶことの意味を感じた。死ぬという選択肢。子どもも一緒。子どもを残すなんて考えられない。可哀想、自分が一緒の方が絶対にいい。どうしたらいいのだろうか。どうしたら間違いなく二人が死ねるのだろうか。死を検索し出すとすぐに、いのちのほっとラインが目に飛び込んだ。相談してみようか。何を言われるだろう。LINEでチャットのように会話をしてくれる。簡単に状況を説明しながら死にたいという話をする。質問をしながら、そうなのですね、それは大変お辛いでしょう、と繰り返してくれる他、特段何があるわけでもない。分かってた。死ぬことに協力してくれる人なんていない。自分で成し遂げなくてはならない。それも二人分なんて完璧な知識がなければ達成もできない。たまらなくなって私は夫のところへ行き、もうさ、死ぬことしか考えられなくてさ、子と二人で春には死にたいからそれまでは楽しく過ごす協力してくれない?最後はぱぁっとやろうよ、と狂ったように捲し立てる。夫は何言ってんの、と言いながら笑うでも溜息もなく出て行った。最後を楽しむためにまずは迷っていたものをガンガン買おうとネットを見ているとマサコさんから電話。開口一番、死ぬことないということを言われて崩れ落ちるように泣いた。もう取り繕えなかった。ここまで夫には泣いて喚いて感情を訴えてきていたけど、それ以上の人には見せることなかった私を知られてしまった。マサコさんは、そうだよね、ずっと我慢してたんだよねと泣く私を支えてくれた。その後は落ち着いて話す。マサコさんは夫が動揺したように連絡してきたからと言ったけど、宥めることも向き合えずにマサコさんに丸投げしたんだなと思った。人と話して気休めにはなったけど生きていく辛さは自分で受け止めるしかない。やっぱり簡単に死ねたらいいのになぁと頭のどこかでは期待してしまう。

 


8/28

とにかく死ぬつもりで春までは明るく過ごす、その考えで今朝はなんだか異様にポジティブになって、無理やりごはんを三人分作ってテーブルに出す。夫は好きなものを勝手に自由に食べたいんだと思っていたから放っておくのが常だった。残りものは気が向いたら食べてくれてはいたけど、夫のために確認なしに食事を用意することなんてこれまでほぼない。それもほんとはおかしい話で、こうして無理にでも一方的に用意してくるべきだったのだろう。でも私の料理が信用なくてそうして自分で調理するようになっていた人を前に私はどんどん奥手になっていた。なのできっちり三人分用意することに、すごい、どうしたの?と子はワクワクしていて、お父さんにもご飯だよって伝えてと言って躁状態にやり過ごす朝食。夫は少しして起きてきて戸惑うように用意されたものを食べていた。今日皆んなで吉祥寺行こうよ!と引き続きあっけらかんと誘う。私がノートパソコンを買いたいのは本当。その間、子はお父さんと待っててねと子に言い聞かせるようにして夫に伝えると二人納得したようだった。そしてネットでは物をバンバン買う。ソファーにそのカバー、照明器具、寝具、キッチン用スチールラック。大きくて今まで買うのに迷っていたものを一気に買う。

夫は先にちょっとごっちゃんのところ行くと言って出て行き、子と出かける準備をしながら思い出した、今日からファミリーマートシルバニア一番くじが出るのだった。急いで家を飛び出て近くのファミマをまわるもクジは無し。たべっこ動物の時もそうだったことを思い出して検索。午後1時からの発売で今は2時過ぎだった。取り扱い店舗を調べるとこんな小さな街には無くて、近くだと高円寺に三店舗。ダッシュで向かった一店舗目に無し。夫にも伝えて手分けして残り二件を期待しないで見に行く。もちろん無し。駅に近い夫のいるファミマに集まる。こんな時以前の夫なら、近くの扱いあるファミマ見に行ってくるよと自らも楽しむように協力的になってくれたはずだけど、今は「無いね」という報告以上は何もなく黙っていた。自分で吉祥寺行くと言ってしまったばかりに予定変更できない。子がガッカリしてずっとグズグス言っていたけど皆んな黙ったままとにかく吉祥寺へ向かう。自転車を停めていると古着屋のヒカル君に遭遇、夫まわりの人にどんな感じで接していいのか分からなくなってしまうけど、いつも通りに挨拶。そのヒカル君が着ていた服は夫が作ったものだったからそのことを話題にしながら電車。感情はなく淡々とした会話。ヨドバシに着いたら二手に分かれる。私はパソコンとかまるでわからず、本当は夫にも同席して見立ててもらいたいくらいだけどそんなことは頼めなかった。どれだけ見回してもChromebook以外簡単に手を出せるような価格のパソコンはない。怯んだけど案内してもらい迷いながらもとにかく何か買わないと始まらないから思い切って買う。二人もやって来て、子はおもちゃ売り場でシルバニアの家具を買ってもらっていた。他に寄りたいとこある?と聞いても夫は力なく首を振るだけで、また子と夫がまちおかにだけ寄って帰りの電車。明るく振る舞っても夫は厳しい顔して何を言っても脈無しで、人が変わってしまったんだとどんより。降りて自転車を取りに行ったところで突然また夫が虚な目のまま別居のことを話してくる。どんなタイミングで言われても私が納得するわけはない。こんな状況でも言い出すなんて余程苦痛で耐えられないんだなとは思う。でも、はいそうですねとはなれない。子が一番冷静で、こんなところでやめてよー、と言っていた。別々に帰り。

お友達とよく行く駄菓子屋で昨日からちょっとした夏祭りを開催してくれていて、浴衣や甚平を着て行ったり夏祭りグッズを買ったら割引サービス有りといった催し。今日友達が行くことは分かっていた。私は子に浴衣着せて楽しませてあげられるような気分ではなかったし、そもそも二年前の浴衣はサイズアウトしていて、神楽の稽古でも無理矢理着ている。そうして神楽で明日使うから今日着ることはできないし、とにかく今の我が家は夏を惜しむどころではない。でも同じだけ、いやそれ以上に、子どもだけは普通にさせてあげたいという思いも強い。朝から何度も駄菓子屋行こうか?でも浴衣は無しだけど、ということで押し問答になっていたけど、友達が行く予定の18時頃、ようやく浴衣なしでも行くと決着がついて、子は張り切って立ち上がった。私も踏ん張らないといけない。18時半頃、ちょうどよく着いてママ友ファミリーと合流。ヨーヨー釣りをやらせてもらえたり、ラムネが売っていたりで子もわざとらしいくらいにテンションが高くなっていて、何か我慢させているのかもしれないなと思って見てると辛くなる。お友達がお父さんお母さんに囲まれてあれだこれだとやっていると子が突拍子もなく、「でも私はねホテル泊まったんだ!」と自慢し出した。ゾワっとした。自然な会話ができるはずの子がこんなことを言い出すなんて、負け惜しみ感しかなかった。過去、お父さんが公演なんかで不在の週末はしょっちゅうで、そんなとき家族で揃っているお友達といても子どもがそんな空気になったことは一度もなかった。付き合いの長い仲良し家族にも子のそんな変化は一目瞭然だっただろう、ママ友夫婦は、いいじゃん!すごいよね〜とすぐさま盛り上げてくれていて、優しさでなんだか惨めになってしまった。土曜の夜だけあって、一緒にいることは当然でしかない空気で他にも家族連れがやってきて、そんな当たり前のことが出来ない自分達が居た堪れなくなってひと足先に帰る。子は本当にお祭りみたいだったと喜んでいて、どうにかミッションを完了できた安堵と悔しさが入り混じって苦しかった。家の前に着くと夫の自転車がない。連絡をしてみるとごっちゃんのところと言う。高円寺に出てるなら、なんで子のために、せめて外では家族の形を保つことを気にしてくれないんだと、これも私の一方的な願いなんだろうけど、子どもを思うなら簡単に想像できるはずのことをしないのは敢えてなわけで、それほどまでに自分の感情の主張をするのかと悔しくて、怒りで、無茶苦茶になる。それでも今度は私の怒りが伝わらないで好き勝手する子に腹が立って、大声を出して散らかしていたシルバニアの人形を投げつけた。子は泣かずにどうしたらいいかという顔して私の動向を伺っているのが分かった。急に周りの家でゴトゴトと物音がして、虐待だと思われたのかなと少し緊張する。泣いて謝って子を抱きしめる。こういうの良くないパターンとして見たことあるなぁと思いながらも自分が止められず、その型通りのことをやっていた。やっぱり精神状態が良くないと子育てなんてできない。それを分かってくれていないのか、子のことを考えられないのか、夫はとことん私を追い詰める。

 

 

 

8/29

朝から情緒はめちゃくちゃ。夫が痩せたとアピールしていたけど、私だってすっかり痩せこけてしまっている。ホテルの浴室でキレイな大きな鏡に映った自分の体の老婆加減に驚いた。それでも子を世話しなくてはならない。朝から最後の神楽に連れて行かなきゃならないとか、私だって頑張っていることがあるのに、それは認めてもらえないことなんだという悔しさもある。寝ている夫に泣きながら抱きつきに行ってみた。何か変わるかもしれないことを少し期待して。久しぶりに体に触れた。夫は背中を叩いてくれながら落ち着きなよと声をかけてはくれるものの、その静かなテンションで、でももう無理だからと首を振った。私はまた暴発して泣きながら夫を殴った。頭のどこかでは子のことが気がかりで、でもコントロールできなくて、こうなったら神楽はお父さんに行ってもらおう、と言ったり、今日はもう神楽は行かないね!と言ったり、私が無茶苦茶に何を言っても、子はまたどうしたらいいか分からないようでも、うんと頷いていて、それでもやっぱり私はどうしても振り回すなんて出来なくて、遅刻覚悟で子を連れて家を飛び出る。ギリギリ始まる前には間に合って、我が子の着替え待ち。そんなプレッシャーのなかから始まったにもかかわらず、始まりの黙想の掛け声をやると子が立候補していて、さらには稽古中の先生の指導にも、間合いだよねとか、いちいち声に出してリアクションしていて、明らかにいつもと違った。それは家庭内の揉め事の影響なのか今日で神楽を辞めるからという意味でだったからなのか分からない。一ヵ月何度も確認してやっぱりもう辞めようという話になっていたけど今日の姿勢をみて私の気持ちが揺らいでしまう。先生達に「辞める」とははっきり言えず濁しながら話して、あらためてまた連絡することにして退散。またダスキンのカードでミスドのドーナッツを5個、まいばすけっとでおにぎり一つ買って帰り。それが子の昼ごはん。

夫が日中いたかどうかも覚えていない。とにかく私は無気力だった。夫は子どものことはちゃんとすると一言で言っているだけで、子の様子を見て何か対応してくれるようなこともない。そんなことでこれからも子どもとの関係を続けられるというのか。自分からは子どもと向き合うことすらしなくて、それで良いと思えているのだとしたら確かに価値観が合わない人なんだなとは冷静に思う。でも子どもには彼だけが父親なのだから、この人に気づいてほしいと期待だってしたい。別居して本当に今より子どもに触れることができるというならそれもいいかなという気持ちになる時もある。私だって疲れた。夫は私が気に入らない一心で現実的ではなくなっていて、一堂に引っ越したいと主張していた。今の家の家賃と、一人暮らしの家賃はキツいということなのだけど、ここが子ども可物件の底値なのに、何も調べずにもう言いたい放題なのだった。私は調べた現実と、一人暮らしの部屋なら近くにいくらでもあることを伝えた。協力的にはしたけど心ではもちろん迷っている。でも夫はそれで多少落ち着いたようで、普通に子どもとも話してまた仕事の要件でといって出て行った。もう本当に疲れた。一ヵ月悪い夢をみているみたいで、全てがぼんやり過ぎてきた。食べられない。でも子ども。18時半頃、もうすぐ帰れるなら子どものお弁当を買ってきてほしい、私はいま何もできないと夫に伝える。19時頃、オリジンの子ども弁当を買って帰りまたすぐ出ていった。

夜、子が何かしていてお父さんに伝えようと家のなかを探す。それがまた辛い。寝る前にせめて話をさせてあげようと電話するも出ない。22時を過ぎて、結局話せないまま眠りにつく頃戻り、おやすみとだけ声をかけてもらえた。

 

 

 

8/30

もう寝れないし食べられないしボロボロ。同じ家のなかで離れた部屋にいる夫にLINEして子の朝ごはんの世話を頼む。そして無気力なまま、離婚騒動以降なにかと愚痴や不安を相談しているマサコさんとやり取り。昨夜夫に、子のことは好きだけど私がいるせいでぼんやりしてきた、と言われてそんな彼を思って辛くなって泣いてしまった。そんなこと悲しすぎる。子のためにもどうにか改善させたい。

ネットで勢いで買ったソファーとカバーが順に届いて揃った今日、ようやく開封してみたら間違えて大きいサイズを買ってしまっていた。スペースの問題でソファーを諦めていたけど、アウトドア用のベンチソファーならば置けると思い切って買ったはいいけど種類を間違えたらしい。自己負担返品だけどやるしかない。しかもこの荷物を運ばなきゃならない。泣きそう。すぐに本来のセットを注文して、夫が起きてきてから一人でベンチソファーを近くのヤマトへ歩いて運ぶ。もう私のやることに何ひとつ感情のあるコメントはしてくれない。ただ黙って見送られて、こう失敗した時とか精神的に頼れる人がいないって辛いものだなとあらためて思う。ヤマトの受付の方の明るく元気な対応に癒される。バリバリ開封した梱包材でどうにかもう一度包んだボロボロの荷造りに何か言われたらどうしようかと思っていたけどそれは気にしないでくれていて、ただサイズ的に普通の配送にならないという話をされる。それでもこちらからしたら何が違うかといえば自分で保険を支払うとかで、それも中身の価値が一万円に対して10円とかそれくらい。トータルで送料は四千円しなくて、度を越して高いわけではなくてホッとした。もうひとつカバーの方も持ってこなきゃならない。歩いて戻り今度は自転車に乗せて運ぶ。今日はとにかく暑くて心だけでなく体も直にキツくてもう何もできない。

午後3時すぎ、ママ友と連絡をとってプラザへ。先週お休みとなった図書館のお話し会が今週はやるという話を聞く。様子見はただ一週で済んだ。よかった、結局毎週図書館には行くけど、皆んなで何かひとつのを目的に集まるだけでなんかやった気になれるから有り難い。こちらは近況を話す。日々変化をママ友には伝えているけど、本当に夫とも話をしたいと言ってくれるからLINEを教えておく。夜にじっくりメッセージしてみるとのこと。母として私と同じ思いを伝えるだけだろうけど、他人に言われたら何か感じかたが違うかもしれないと期待しつつ。でもこのママ友が言うにもマサコさんが言うにも、もう今は興奮状態で人の言葉が耳に入らない感じだよねということだった。

 


8/31

食べられないだけでなく、うまく寝れなくて早朝から目が覚めている。これからを思うとどうしても子どものことばかり考えてしまう。コロナを気にしなくてよくて、休みになればなんとなく三人で出掛けて、というのをやり続けていられたら、こんなことにはならなかったかもしれないなぁとぼんやり思う。実際私はワクチン二回接種して二週間、最近ようやく行動することに気を許せるようになったところで、今だったらあそこにもあそこにも行けたのにな、家族三人で行きたかったな、と思って悔しくなる。夫は「楽しい思い出なんてない、ずっと我慢していた」と言うけど、私は自分がどうだったかなんて覚えにないしどうでもよくて、子が楽しそうにしていた、子の目線で楽しかった、ということだけが全てだと思ってる。頭ばかりはフル回転で働いて、目覚めた瞬間からそんな思いの丈を夫に綴るけど、肉体を動かせるような気力は本当にない。やがて子も目を覚まして、夫に子の世話を頼みたいとも送るけど既読になるわけもなく寝ていて、結局私が体を起こすしかない。そうして日常をはじめなくてはならなくなると、今度は段々と怒りが混じってきて、「私は子どもという人のお世話をしなきゃならないんだから、そのことに影響するような攻め方はしないでほしい」「いまは私は二人分の不安があるからその負担は大きい、あなたはずっと自分だけのことだけど私は違う。二人なんだよ。その責任の重さは分かっているのか」ということを続けてメッセージしまくる。しばらくして起きてきた夫は私に、寝れないなら病院行きなよ、と一言放ってそれまで。出て行った。この五年間、私は誰かの支えがないとひとりで自由に動けないということは分かって言ってるのだろうか。自分がいつ何時なら時間とれるから病院行きなよ、なら分かるけど、ひとり子を抱えた私にそれだけ言って終わりとはどうしろというのか。

午後、天気が怪しくなりそうだったけど暑いよりはいいと思って下高井戸の方の公園へ仕事の資料として撮影に行く。前回大雨で撮影失敗した場所。雨雲レーダーと睨めっこしながら向かう。それにしても遠い。この案件、安請け合いするんじゃなかった。またもや雨ギリギリで写真は撮るだけ撮れたと思うけど遊ぶどころではなくそそくさ退散。それにしてもなんだかここは磁場が悪いというか薄気味悪さがあって、立派な遊具なのにも関わらず子どもも引いてしまうのは何かありそうな気がする。パラパラ雨が降るなか大急ぎで帰宅。太ももが張る。洗濯物を取り込んで歩きでプラザへ。いつも通り遊び。

元夫は内見して来たとのこと。うちとママ友の家の間で信号渡ったらすぐ。そこなら状況がほぼ変わらないし、お父さんは別に仕事部屋をもったよといっても違和感なくて良さそう。少し前向きになれる。

夜、子が人生ゲームをやりたいと言い出して、二人だと面白くないよ、あれは皆んなでやるものだよと話すとお父さんを誘ってみると言って、子の頼みとなれば元夫も無下には出来なかったようで、私達のお風呂上がりにやることになった。短いコースをただ淡々とこなす。それでも一対一とは違う三人という集団でやることで子どもが明らかに盛り上がっていて、家族の有り難みを感じる。三人いるのが当たり前だと思っていた時はむしろ、人数がいるほど楽しいはずのトランプやかるたも、二人でいいじゃないと言い聞かせてしまっていた。本腰いれてやりたい時はいつでも三人でできるんだから、今日のところはこれでいいでしょという雑な日々の繰り返しだった。今の関係だからこそ形だけでもそれらしくやれて逆に良かったのかなという気もする。ただこれは続くわけではない。近いうちに変わってしまう形。でもどうにかこのままうやむやに過ごせないかなぁと頭をよぎる。ともかく今夜は私達が揉めることなく子が望むがままにやり切れて、私は久しぶりに安心して落ち着いて寝られた。

2021年8月23日〜8月26日

8/23

今日も朝から区役所に行くつもり。空模様が怪しい。夫、と書いていたけれど正式には夫じゃないし、子の父親とでもこれからは書こうか。子の父親は起きてくるなり何時に行くの?と言いながら出掛ける支度をしている。一応9時半くらいかなと言うとすぐ帰ると言って出て行った。お天気レーダーを確認するとザッとひと雨くるみたいで、雨が降るみたいだから落ち着いてからでいいよと後からLINEもしておく。夫が戻った頃に義理母から電話。電話きたよ、どーすんの?と無感情に夫に言う。出ていいよと言われた時には切れた。先に夫にもかかってきていたらしく折り返していた。うちの親が夫に連絡する事などないみたいだけど、相手の親は私にも連絡してくることがある。離婚したんだから、私は関係ないから連絡しなくていいと言ってくれればいいのに。言えないのか?そんな覚悟がないのによく離婚と騒ぎ立ててきたな。

10時前には雨もあがって区役所へと急ぐ。こないだ言われた通りの流れで手続きはスムーズだったけど手配されるまですごい待たされる。だんだん窓口のボソボソ話す男性に不信感がわいてくる。こないだの女性と違って積極的に話してくれなかったこととか、仕事できているのか疑いたくなってくる。もうすぐ一時間というところでしびれを切らして案内の人に問い合わせにいくと、さすがに一時間は長いらしく、すぐにカウンターに繋げてくれて、そのなかではどこだどこだといった感じに慌ただしく動いてくれて、パッと書類がやってきた。ちょうど今できました、と言われて本当はどうなのか分からないけど、言ってみてよかった。もうお昼をまわっていた。子の父親には準備してあるお弁当を食べさせといてほしい、と連絡。わかった!と気持ち良い返信。次は保育課へ。担当してくれた方が新人らしく、ひとつ聞いてはいちいち奥に引っ込んで教えられながら進める練習台にされてる感じで、急ぎたい私はモヤモヤ。父親というのが変わらない以上、委任状を書いてもらい申請しなくては私に切り替わることではないらしく、その書類をもらって隣りの医療証などの手続きまでまわる。子育ての給付金も住居が同じ場合、基本的には所得がある方の親に手当することになっていると言われるけど、私に切り替える委任状を用意してもらう。待っているとエレベーターから杖をついたおばあちゃんが降りてきて、12番窓口って…とウロウロ、ちょうど通りかかったさっきの新人さんが声をかけるも、やはり何も分からずこちらのカウンターの人にヘルプしてきて皆んな揃ってワタワタしている。と、おばあさんはもういい、もういい、と声を張り上げながらエレベーターに戻っていって、何やらおかしいぞと思った通り、こんなところ!どうせ何もしてくれないんだから!お金取るだけ取って!と思いの丈をぶち撒けながら降りていった。融通がきかないところがあるから気持ちはわかる。でもまさに今私も助けを求めにきてそれなりに対応してもらえているから、そんなに手を貸してくれないとは思わず。親切に、別居となるとひとり親世帯の給付があるのでご説明だけでもしときましょうか?とまで言ってくれる。それはまたで大丈夫ですと答える。別居なんてやっぱり考えられない。離れるのはこれでも充分だと私は思っている。さて、帰ってまた阿佐ヶ谷に来なくてはならない。昨日からどれだけこの辺りに来ていることか。帰ると子はお弁当を食べ終わる頃で、私も用意していたおにぎりを頬張り、再び阿佐ヶ谷。まず近いところで確実に分かっている場所にいく。同じシールだったらまたさらに北側のおそらく八百屋と思われるスポットに目星をつけている。目的地一発目で新しいシールを手に入れられた。今度こそ不動産屋へ。景品を選んで送り先住所を記入する。クラスのママが言うには、ここは本当にこれだけで、勧誘もセールスもDMもこないという。こんな時代にもそんなばら撒き投資ができるなんてすごい。呆気なく終わってしまって、せっかくだから他スポットも行くか子と話し合うけど、もう駄菓子屋にモルカーの当たりくじを交換に行くということになった。それと未完成も行きたい。子が欲しい特製のリングを頼んであった。道なりに行くと未完成の方が近いけどまだ開いてないだろうから駄菓子屋行って戻ってだなーと思いながら北中通りを覗きこむと未完成の店周りが雑貨で賑わっているのが見える。3時からと思っていたけど開いていた。今日もこないだ頼んでいた物や細々したものも合わせて買って駄菓子屋に移動。モルカーのシールが無くなってしまっているかと思ったら隠れてただけで無事ゲット。ママ友と連絡とってそのまま4時には同時にプラザに行く。ママ友に不安を吐き出して気を紛らわしてないと何も手につかない。帰り道、何気なく子が「お父さんがさなえちゃんみたいな人を見つけてさなえちゃんがお父さんみたいな人見つけるの?」と言いだした。私達が仲違いしていることはもうとっくに分かっていて、そうなるとさらに別のパートナーが必要になると思っているようだった。そんな未来を求められればいいだろうけど、そんな気持ちには到底なれない。私にはこの家族しかない。実家にも居場所がなかった私がありつけた安住の地のはずだった。まだまだ諦めきれない、諦めたくない。

家族が阿波踊りの連に入っているママ友から、週末の舞台でやる阿波踊り中止になっちゃったねーとお知らせ。ちょうど昨日だったか、「巨大密イベントが強行開催」と嫌な見出しで高円寺の阿波踊りが取り上げられている地元ニュースを見た。私が心配になったのと同様に、運営側の曖昧な管理体制を突っ込まれているような内容だった。噂されてるなぁと思ったらこんなことに。残念といえば残念だけど少しホッとしている自分でもあった。夜に子が今度は、好きな人いる?誰?と聞いてくる。お父さんだとは思わないのか。私達ってなんだったんだろう。

 

 

 

8/24

先週のリベンジでママ友と今日こそプールに行こうという話になっていた。友達の園は明日から慣らし保育がはじまってしまうとのことで、午前中から遊べるのは今日まで。にしてもプールにするには微妙な天気だよなと思いながらも自転車を走らせ到着すると閉まっている。今日は休みなのか?隣りの児童館へ聞きに行くとなんと開放は昨日までだったとのこと。当然のように31日までだと思っていた。毎年このくらいの時期までなんですよね、去年は無かったんだけどと済まなそうに教えてくれた。すぐにママ友にお知らせ。そちらはそちらで一度もプールに入れなかったとショックを受けている。服の下にばっちりラッシュガードを着込んできた子が不憫で、他のじゃぶじゃぶ池はどうなんだと調べるとやはり一斉に昨日で終了だった。幸いセントラルパークは31までだから、ママ友と連絡を取り合い現地で落ち合うことに。結局一回しか浮き輪の出番はなく夏が終わる。そして次の夏はもう幼児ではなくて、遊べる場所も限られるわけで、このたった一回の浮き輪が幼少期の思い出になるなんて切なくて胸が締め付けられる。子が生まれた頃はクリスマスでさえ特別なことをするつもりないと決めつけていた自分とは思えない。セントラルパークに着くとまだまだ子どもで水遊びは賑わっていた。友達もちょうど遊ぼうと準備をしているところで、子も喜んで駆けていく。友達さえいればどこでも楽しい。暑いと思っていたけど日差しもないと過ごしやすくて、ラッシュガードの子供達は冷えるんじゃないかというくらい。たまたま久しぶりのママに会ったり二時間近く遊んで解散。帰り道、2つの歩道橋の上に人が集まってどこかを見ていて、何か起きたのか家に近づくにつれ、こないだの火事を思い出してソワソワしてくる。何事もなく家に帰りついたタイミングでクラスのLINEが入って気がつく、ブルーインパルスパラリンピックの開会式でまたブルーインパルスがこの辺りを飛ぶのは2時頃とのこと。それを皆んな待っていたのか。最近の私は重くのしかかる現実で何をするのも億劫で、わざわざもう一度空を見上げに家を出るような気分にはなれない。Amazonから宝探しの景品がクラスのママが言うように翌日の今日、早速届いていた。箱を開けるとギフトラッピングまでされていて子は興奮。中身はすみっこぐらしのネイルセット。お昼のお弁当を食べたら早速やってみる。

夜、寝相悪くて飛び出した子を布団に戻すのにひと苦労、水平を保とうとしながら持ち上げてウッと声が出てしまう。大きくなった体がゴロゴロするのを正すのは大変。川の字で寝ていたかったなと思う。

 

 

 

8/25

スッキリでBE FIRST生歌披露。嬉しい。うるさい子を一喝してまで真剣に観てしまった。

午後は図書館。早く出て着なくなった服を試しに少しトレファクに出してみる。店内をぶらぶら見て待ち。数点だして160円とか。メルカリ出して時間かけても無駄なやつだとわかっているし小銭もらえるだけそれでもいい。まだお話し会には早いため商店街のファミマに行ってスタンプで値引きになるフラッペを買って図書館へ。外でフラッペを飲みながら入り口に目をやると、今日のお話し会は感染拡大のため中止との張り紙。これまで散々世間が緊急事態宣言といっても続けてくれていて、この中途半端なところで急にこんなことになるのが驚き。すぐにこれから来るであろうママ達に連絡をいれる。が、皆もう出てしまっていたようでほどなくしてやってくる。職員の方と話すと、上の判断で突然こうなってしまって、と済まなそうに話す。区内の全図書館の集いがなくなったわけではないらしく、もしかしたらこの辺りで感染が増えているとかあるのかもしれないですよねとその職員さんは予想していた。本当にそんな情報があるのだとしたら日常の緊張感も変わってくる。どちらにせよ毎週このタイミングで返却はあるから結局来ることにはなる。今日も返却と絵本を選んでプラザに移動して遊び。皆んなバラバラの園のお友達で、ところによって対応は違い9月の一日から開始するところもあれば、宣言終了まで夏休みが延びているところもある。うちは9月の二週目からの新学期予定で変更の連絡も無い。結局仲良し親子とプラザに移動して遊び。5時まで遊んでから新井薬師へ。花丸ショップおやすみに、子がちびまる子ちゃんを観てから欲しがっている星の砂が売っているとママ友に聞いて駆けつけた。店に入って久しぶりの挨拶をしてひと息ついたところで、さっき別れたはずのお友達が入ってきた。うちが行くなら自分もまた行きたいと子が駄々こねたから押しに押されて連れてきたとか。お陰で楽しい時間になった。ずっと話には聞いていたけどなかなかこっちまで来なかったから、ハム太郎のくじシールもここぞとばかりに買った。帰りはぐるりと前の家の方のスーパーなどに寄りながら帰り。ファミマは10日で営業終了と決まった。お兄さんにこれからどうするのか、ほかのファミマに移ることになるのかと日々店を覗いては聞いているけど、まだ決まってないらしい。同じフロアに事務所として借りていた人もそこにいて話す。事務所は自宅近くの方南町に決まったらしく少しずつ物を運び出してるとのこと。生活も職場もそちらとなるともう会うことないかもですね、と最後の挨拶。それぞれがそれぞれの場所へ向かう。私達家族の終わりもそこに重なって、いつまでも同じわけではないということが妙にしっくりくる。

ママ友との遊び時間も終わると迎える現実がつらい。空腹を感じることはあっても食事をする気になれなくて、ずっと悪い夢をみているような、ここが現実とは思えない感覚。子の夕飯にしながら有吉の壁をみて笑って過ごす。というか無理にでも集中して笑って保っている。夫から虚な目でこの先の決断を迫られる度に気が荒れる。何度確認されても納得するわけはないのに、夫も答えがないと自分を保てないのだろう。夜中、マサコさんに夫と話してもらえないかと相談。直接いくら私が訴えても耳に入らない。第三者の意見で冷静に考えてもらえないか神頼みのような気持ちでもある。マサコさんに今の夫の動向をつたえつつ私はひっそりと息を潜める。マサコさんの電話に出た夫は話しながら外へ出て行った。マサコさんは中立な立場として夫の言うことも頭ごなしに否定することはなく受け止めながら話を聞いているはずだろう。起きていようと思っていたけど安心できたのかいつの間にか寝てしまった。

 

 

 

8/26

朝からマサコさんに確認。夫はもちろん寝ている。マサコさんが言うにも、もう夫は暴走していて他の声は耳に入らない状態だろうとのことだった。考えもやろうとしていることも現実的ではないから落ち着いてほしいけどね、と言えるまででどうにもできない。でも私は夫の頑固さ、そして先に先にとやりたがる性分を分かっている。人に頼らないし期待もしないで自分で立ち上がる人間だから、情とかそういうものは流されない。考えはもう変わらない、変えられないだろうなという気がしてしまう。

子が昨夜に突然、小さい頃遊んでいた児童館を懐かしみだしてまた行きたいと訴えてきていた。こんなご時世になってしまって今はもう小学生しかいないだろうし前みたいには遊べないかもよと言ってもきかず、絶対行くんだという。いじらしくて辛くなる。一晩経っても気は変わっておらず今日の予定に組み込んでいて、仕方なく昼前に少しだけと私も踏ん張って行ってみることにした。前の家の近くの児童館、確かに全てが懐かしい。一応受付で利用できますかと聞くと、もちろん大丈夫ですがただ小学生が多いので、と職員の方にこそ戸惑われる。コロナ以前は長期休暇でももう少し幼児も小学生もうまく混在して遊べる場所だったように思うけど、そこまでしてここに遊び来る人もいなくなったのか小学生の居場所でしかなくなっていた。そのなかを掻い潜って子が好きだったおままごとをやり始めるも、おもちゃが減っていてうまく遊べず。エアーホッケーを一緒にやったり。もうすぐお昼、そこまで耐えようと思っていると、就園前にプログラムでお世話になっていた先生が気づいて話しかけてくれた。突然思い出して遊びに来たがってしまってと話すと、覚えてたんだねと喜びながら、頭のてっぺんから爪先までの子の成長にしみじみしていた。今から小学生はお昼ごはんになるから、よければまだ居てもらっても大丈夫ですよと言ってくれる。その通り、色々話している間にあんなに騒がしかった小学生はぱぁっと消えて静まり返っていた。落ち着いて辺りを見回すと、減ったと思っていたおもちゃは受付で借りる部類になっていたようで、それに気がつくと子もやっぱりもう少し遊ぶ、と気を取り直しておままごとに挑んだ。黙食と言われているのだろう、すぐそこに小学生がいるとは思えない静けさ。懐かしいおままごとキッチンで遊ぶ様子を写真に撮っておく。こうして外で一緒に遊べるのもあと少しだ。半年すれば小学生で、次にここで遊ぶ時は子が一人で来るようになっているだろう。しんみりしながら児童館を後にする。帰ってお昼ごはん。顔を合わせると夫がまた今後の話をし出して言い合いのような会話になり、そのまま夫が家を出て行く。子がぱっと立ち上がって走って追いかけ一人で玄関を出ていって、おとうさんっ!おとうさんっ!!と階段の上から降りていく夫に呼びかけている大声が中まで聞こえてくる。どこに行くのっ?!と涙まじりに震わせた声が聞こえてきて、私も声を上げながら泣いた。ドラマではない演技でもない、ただの普通の家族のはずだったのに、なんで子どもにこんなことをさせてしまっているんだろう。子が涙をこぼしながら戻ってきて、お父さん郵便局だってと小さく息をつく姿が憐れで惨めで、子と抱き合って私は涙が止まらない。こんな悲しいことは忘れさせたい、現実逃避して二人でどこか泊まりに行こうか、そんな考えが浮かんで検索をはじめる。遠くへは行けないけど都内に泊まってみるお出かけもいいなと前から思っていたのだった。夕方の電車が混んでいたりでその日に帰りたくないような場所。どうせなら行った先で遊べるのがいい。真っ先に思い浮かんだのはピューロランドだったけど、割引券の用意もなければなかなか思い切れないし、多摩センターに泊まるというのも寂しくなるような。子どもが遊べる場所。屋内遊戯施設。八王子まで頭が飛んでから逆に後楽園がひらめいた。これだ。都心の方がホテルもたくさん選べる。何してるのと子に聞かれてホテルにお出かけしてみようかと思って調べてると話すと、さっきの出来事が早速帳消しになるほど盛り上がる。5000円ほどでいくつか迷える。場所やら調べこんでいると夫が戻ってきて、子が無邪気にホテルに行くんだと騒ぎ立てる。今日はもう3時にもなるし明日の楽しみにと思っていたのに、今日行ってくればと夫に言われ、そうかひとまず今すぐにでも出て行ってほしいだろうなというのと、こう思い立ったら即行動派の夫はまたすぐに明日に回そうとする私にイライラするだろうなと思って今日予約、バタバタと支度をはじめる。子は今すぐ行けるなんて、そして2年ぶりにキャリーケースを引けることにそれはもう大興奮で自分の持ち物を用意した。寝る時のいつものぬいぐるみやお絵かき道具。着替えやら洗面道具は私。夫にはいつだってこうして思いつきの行動に付き合わされてきたけど、二人分の面倒をみるのはいつも私だけで、私も私で結局子どものことは自分でやらなきゃ気が済まないのだから仕方ないのだけど、そういう小さなことも夫に対する嫌味な言動に繋がる引っ掛かりだったよなぁと思う。最後に子の荷物を選別。ぬいぐるみが鞄の4分の1を占めるサイズだけど仕方ない。JRの駅まで歩くけど、楽しみのためなら子も素直に張り切ってくれた。そうこうしてると区役所から電話。家庭内の問題を法律を踏まえて相談できるサービスの予約をしていたのだけど、感染状況の悪化のために9月は中止になったとの連絡。そういえば予約をしていたのだった。相談するまでもなくとんとん拍子に事を勧めてしまったからすでに手遅れといえばそう。再予約はせずにまたあらためることにした。

この時間のJRの上りは空いていて、ゆったり座って水道橋へ向かう。とにかく子がご機嫌で嬉しい。たまにはいいよね、夏休みの思い出だねと話し合いながらあと何駅かと数えたり。さらに子は今日は何食べようかとウキウキしているけど、私はまるでそんな気になれなかった。目の前に出されたら食べれないわけじゃないけど意欲がないから考えられない。水道橋着。まだまだ暑い。とりあえず荷物を置きにホテルに行こうとマップで探す。土地勘がなく位置感覚が全く掴めず間違えながらも方向が分かってきたらなんと後楽園の目の前。抜群の立地。しかしドンキホーテの上だと知ってなんだか少し不安がよぎる。が、到着した途端に不安は吹き飛ぶ。ロビースペースには絵本や折り紙のコーナーがあり、子どものためのアメニティまで用意されているようなホテルだった。おまけにグレードアップしてくれた最上階の部屋は、目の前に後楽園の観覧車ビッグオーに東京ドーム。向こうのほうには遊園地という異空間とJRの線路、どこまでも続く都会の景色。ロケーションも最高だった。子は自分用のアメニティに大興奮で、外に冷たい飲み物を買いに行きたいのに部屋を満喫しまくっていてなかなか動き出してくれなかった。6時をまわってようやく買い出し。道中から引き続き何を食べようかという話。家族三人でいたら夫が喜んで食べるようなお店が色々あった。でも今の私は食べられない。嫌でも毎日続いていく「食」というものにお金をつかうのも気が重くなっていた。何か買って部屋で「パーティー」にしようと無理やり楽しげに提案すると賛成してくれた。私はプリンとかそんなものが食べたい。まずはイヤホンを買いに100円ショップまで行きたい。タブレットを持ってきたけどイヤホンを忘れた。平日の遊園地のなかは仕事帰りらしい人や地元の人、遊びにきた人、ショッピングモールのように色んな人が行き交っていた。駅に直結している建物までいくと私はホームシックに襲われる。ここにいる私達二人が全てで、誰かが待つ帰る家があるわけではないんだということが心細くてたまらなかった。飲み物や小さいポテトチップス、子どもが遊ぶシールブックなどを買い、暗くなってピカピカ光る遊園地のなかをぶらぶら歩く。遊ぶのはおまけのイベントで、私達はホテルに泊まるためにここにきた。それは子も同じで特別乗り物には乗りたがらなかった。お寿司屋さんがあるのが見えて、それなら子が残しても多少は食べれそうに思ってお寿司パーティーということにした。子の食べたいものだけをオーダーして持ち帰り。ドンキやコンビニでプリンや子のデザートも買って部屋に帰る。電車で30分くらいの場所なのに日帰りしないだけでこんなに旅行気分になれてしまうのが面白い。フロントで絵本をみる。多くはないのに抑えている感じの、分かってる人がいるのだろうなと思える良いラインナップ。寝る前に読む絵本は子が選んで一冊11ぴきのねこを持ってきているけど、これも部屋で読めたらいいなと思って聞いてみると、一冊だけ貸し出ししていますとのこと。「ぐりとぐら」や「はじめてのおつかい」など確実に好きな絵本もあるのに子は意外にも「100万回生きたねこ」を選ぶ。部屋に帰って夜景とテレビを観ながら細やかな夕食。子もこの環境を堪能することに夢中であまり私に絡んでこないのもあって本当にリラックスできる。夫に景色や部屋の写真を送る。凄い!とリアクションしてくれるけど、帰って顔を合わせてもこれを土産話としてわいわい出来ないというのはとても寂しい。こんな非日常が延々続くなら家族の存在なんて気にしないでもいられるけど、そんなわけにはいかなくて、私達は日常を生きなくてはいけない。こんな贅沢より平和な慎ましい暮らしの方が今となってはずっと思い出だよなぁと思う。そんな日々が確かにあったこと、夫には感謝している。

子のアメニティは「むささびくん」というオリジナル?キャラクターのデザインのもので入浴や歯磨き、寝るまでの行程全てが楽しめた。いつもよりは遅めの就寝。部屋は最高なのだけど夜になって隣の部屋の女子のお喋りが筒抜けでピーチクパーチク、子もうるさくて寝られないかも、というほどすぐ脇にいるように会話が聞こえてくる。23時になっていただろうか、さすがにどうにかしないと子が寝れないと思いフロントに電話。見回りをして確認しますと言われ、しばらくすると明らかに聞こえる声が微かになった。やはり廊下にも響くほどの声量だったのだろうか。声が止んで程なくして子はスッと寝た。私は100円のイヤホンで先週のドラマ「家族募集します」を観てすすり泣いた。今は子ども、家族、というものに過剰に反応できてしまう。

2021年8月16日〜8月22日

8/16

朝9時、離婚や養育についての区の無料法律相談に電話してみる。話に行く予約をとるつもりでいたら電話口の人が早速離婚の流れについて、本当に話し合いはできているのか、いま急いで離婚しなくてはならない理由はなんなのかと色々突っ込んでくる。そこまで揉めてる話ではなくて〜といった感じにヘラヘラと私が取り繕って話すと、ふーん、と夫の望みについていまいち解せないといった様子で話ながらも、まぁ一応説明しますけど、と私の質問に答えてくれた。離婚をしても名前を変えないことは出来る、その方が養育していくうえで煩わしいことはないとして賛成してくれた。それではいつか旧姓に戻すことができるのか、これについては詳しく事例なども含めて調べないとここでは判断できない、とのこと。とりあえずスッキリはした、が正味40分。通話代が怖い。届出用紙については区役所に行ってもらうしかないとのこと。今日も天気が怪しくて行けるかどうか。子はお昼に王将弁当が食べたいと言っていて、ひとまず買い物がてら高円寺まで出て、いけるようなら用紙を取りにいこうと思う。

お昼、まずはABCマート。買うことに決めたニューバランスは子がやっぱりネズミ色がいいとのことでグレーを買う。いかにもABCらしい小慣れた店員さんでなく、台本を棒読みのような硬さで無表情の店員さんの対応で少し戸惑う。やはりどうせ同じ額の買い物するなら少しでも華やかに対応してもらえた方が嬉しい気がする。おまけに、非接触のためにコード払いを選んでいるのに、わざわざスマホを手で触って持っていかれて、え!となる。コロナ禍においてスマホを触られるなんて現金よりもカードよりも最も嫌じゃないか。気持ちは落ちたまま手持ちのアルコールティッシュで拭いてユータカラヤで牛乳など買い物。レジはこんな昼から行列。いつなら空いてるんだここは。街並みはまだお盆休みの店も多い。ようやく王将を買いに行った時には再び雨が降り出してしまった。急いで帰宅。期間限定の王将の子ども弁当、餃子2つと唐揚げとシャウエッセン、それだけでも広げるとたちまち懐かしい王将の匂いがした。届いていたサンリオのキャラクター図鑑に子が夢中になっている間に、離婚届について調べると全国共通なのでどこで貰ってもいいらしい。夫は三鷹に行っている。三鷹は駅前が栄えているし、そのあたりに市政窓口がありそうだと思って、こちらは雨で取りに行けなかったけどそんな手もあると報告しておく。サンリオ図鑑は、昔私が古本屋で買ったやつに子がハマったけどポムポムプリンの時代までしかなかったから、シナモンやクロミが登場するものを探してなんとか手頃な値段で買えたのだった。70年代のキャラクターから載ってはいるけど新しいテイストになっていて、いまいち味がない気がした。子も昔の図鑑のイラストだからこそ良かったみたい。

夕方。雨があがりかけで用紙を取りに行こうか、念のため夫に連絡してみると貰ったとのこと。ならばこちらは散歩代わりに歩いてオオゼキまで行く。帰り道はいつもと違う道を通ってみると、家まで数十メートルというところの植え込み付近に夫の自転車が投げ捨てられていた。一応連絡してみると、盗まれたとのことだった。子どもに傘を持たせて家の前まで運ぶと夫は帰ってきていて、用紙もらってきたよと差し出してくる。急いでるんだよね?と話し合って早速書くことになった。子が、帰ってすぐお風呂にしてその後ごはんにするんだと言っていたけど、叶えてあげられそうもない。何か間違いがあるからもしれないから一枚は自分達のところを空白のままにして、夫は証人をごっちゃんにお願いすると言って、今行ってくる、と出て行った。私はごはんの準備をしながらマサコさんに電話。この話になった当初は証人の一人はマサコさんにお願いしようと勝手に思っていたけど、書類の行き来が面倒になるし、この今の家族関係を話していた仲の良い近所のママ友にお願いすればいいかと思い直していたけど、とにかく報告はしたい。LINEするか話はゆっくり話せる時にするか、迷ったけど、まずはこの流れのなかに不手際はないか簡単に相談しようと思った。マサコさんは出先だけどいいよと話を聞いてくれて、周りにはこんな形の友人もいることを落ち着いて話してくれて心強かった。なんだか別居もできるような気持ちになってきた。ただ経済的にあり得ない。帰った夫に、ごっちゃんなんか言ってた?と聞くと、いや。何度かサインしたことあるって言ってたと、彼はそんな感じの熱量と距離感だからこそ付き合いやすいんだろうなというのが伺える。そしてそんな身近な人に関わった以上もう後に引くことはない。 夜、こちらもママ友にLINEしておく。千葉から帰ってきてから五日間は付き合いを警戒しなきゃと思っていたはずなのに、こうなってしまったらもうそんなこと気にしていられなくなった。コロナを用心するというのも日々にゆとりのある人しか出来ないものなんだろうなと思う。なんでこんなことになってしまったんだろう。私は何が不満だったんだろう。こうなった今は以前の自分の全てが羨ましくて、なんでもっと大事にできなかったんだろうと泣きながら寝た。

 


8/17

朝、実家から荷物が届く。今回はお菓子や日持ちするものの詰め合わせで素直にありがたい。だいたいいつもは、一家庭でそれはそんなに消費できないだろうという物量のバランスが悪い荷物で、届くたびにげんなりしてしまう。要不要の判断をするまでもなく備蓄できてしまう実家の人間はそういった一般的な感覚が欠落している。

再び区の相談に電話。離婚後にできればその足でやるべき手続きは他になにかあるかを聞く。相談窓口は離婚をする必要性があるのかということを言及してきていたけど、そのことはもう私になんと言われようと変えようがない。戸籍係に回してもらうと聞けば事務的に淡々と教えてくれた。まず今住んでいる区に提出するには戸籍謄本が必要になるから、戸籍のあるところに出した方が早いということがわかる。そして一人よりも二人で行く方がその場で確認取れるからスムーズだという。諸々手続きはどれくらいかかるのかと聞くとそれは曖昧。子どもを預けて手続きに行く人はどう算段すればいいのか、ちょっと不親切だなと思った。実際うちも二人揃って行くにあたって子を預けなくてはいけなくなる。ママ友にサインを貰うついでに子を見てもらえないかなぁとほんのり思っていた。じゃないと近場だといつものプラザの預かり保育に面談から手配しなきゃならない。今日の今日でうまくいくかどうか。だいたい、今日も一日天気が安定しないようで、何をするにも気がすすまないけど、夜に報告しておいたママ友と早朝からLINE上で話し合いにもなっていた。できることなら引き止めたいようなことなのに、ちゃんと話を聞かないでそう簡単にサインできないからと言ってくれていて、ようやく起きてきた夫にもそうしてもう一度話してみる。けどもう引き返せる話ではなくて、夫は本当に思い詰めていた。人間の基本である衣食住の食の部分に影響が出ていて、これはもう来るとこまで来てしまったんだと言って泣いた。私との関係がそこまで人を追い込んでいたなんて、それを聞いて私も素直に泣いて謝った。夫が私に期待しないこと我慢が上手いこと、分かっているから余計に辛かった。人としての相性がよくないんだろうなとあらためて思う。夫の優しさだけでここまできた。優しさのせいでここまで続いてしまったともいえる。もう言葉を重ねても無理な話で、同じ家を使って暮らすことだけが私の希望なのかなと思う。子どもが成長するまで、そうしてやり繰りして、いつか対等に付き合えたらいいと期待して。

雨が降ったり止んだりのなんだかんだ午後になってしまい、預かり保育は無理な状況でママ友に子を見ててもらえないかお願いしてみると本当に実行されてしまうのねと戸惑いながらも子と一緒にいてくれることは引き受けてくれた。友人の家に数人で泊まりにいったばかりだからどう距離をとろうかと考えていたことも、こんな非常時では完全に気にしていられなくなっていて、もう頭には毎日のように遊んでいる関係の人に心置きなく子どもを託せることが有り難いということしかなかった。コロナ禍になって二年、保育園ママからはこんな言葉を散々聞いてきた気がする。子どもと一緒にいられる、それだけで私は贅沢な暮らしだとあらためて思う。そのためにも今は次のステージへ進まなくてはいけない。ママ友のマンションのなかまでは初めて入る。遊んだ後にいつも元気に手を振って別れる場所で、ママ友は控えめな優しい声で私達を招き入れてくれた。子を残して私は隣りの区の役所へ、夫と落ち合う。他の窓口は待ち人がわらわらいるのに、私達の手続きはすぐに順番になった。離婚届を、と言って手渡しても、担当の人は表情もリアクションも微動だにせず、すんなりと進めてくれる。私は人前では強がれてしまうところがあるし、もうここまでくれば諦めついているからハキハキと話を聞ける。夫は力無い様子でゆっくり深く息を吸ったり吐いたり静かに座っていた。記入していた用紙の方で採用されたのでそこに判を押す。結婚する時につくった名前の実印が本当にこうして役立つことになるとは。たかが判子ひとつにも支えられる。一度退席させられてまた呼ばれるのを待つ。やっぱりこの窓口の静けさに、ふと暦を調べてみると仏滅で、主に婚姻届を出すこの窓口はだから空いてるのかと結論つけて、夫に今日仏滅だったよ〜と笑ってみせると夫は黙って頷いた。色々と書類に追記しなくてならないのは私のやることで、引き続き待たされるから夫には帰っていいよと伝える。戸籍は同じ場所でも割れるのだけど、せっかくだから別の場所に設定する。戸籍なんて普段から目に見えるものじゃないからどうなっていても関係はないのだけど、子どもの籍も自分に移したい。けどそれは私の籍という箱が数日後にしっかり出来上がってから家庭裁判所とのやり取りになるらしい。なんだか悔しい。引き続きの手続きはいつできるのかと聞くと、この処理は実はアナログでして、となんとこの書類自体を杉並に送ってだとかそんな流れになるらしいことを窓口の男性はすまなそうに言った。自分の立場が中途半端なままであるのがなんとも気持ち悪い。結婚の時はとんとん拍子にできたはずなのに離婚はグダグダで、余計なことしやがってと蔑まれているような気持ちになった。確かに新しくひとつ作るのよりも、あるものを二つに分けるのは増えるんだから手間なのはわかる。でも今日の処理は一時間もかからずに終了して図書館でママ友と合流。子ども達は以前から家で遊びたがっていたからそれも兼ねれて本当に有り難かった。プラザに移動、入館証を書きながらここの記名ひとつとっても表面上なにも変わらないことで私はここに立っていられる。そうじゃなければ全てを受け止めきれなくて逃げ出していると思う。こうした選択があることを知れてよかった。落ち着いたところでひとつひとつ話すとママ友の方がうっすら涙ぐんでくれていた。

夜、帰らない「元」夫に明日の予定を連絡する。明日ようやく晴れるようなので急いでいる仕事で必要な撮影をしに行きたい。カメラを借りたいこと、その撮影に行く間は子を見てもらいたいこと。すぐに了解と返信がきた。子が寝て23時をまわっても元夫は帰らない。届けを出したから早速奔放にしているようで、気にしちゃいけないと思いつつも腹が立ってくる。私のせいにして離婚をしているんだから自分が疑われるような行動は控えるという計算はしないものなんだろうか。そもそも、関係が良好な時でも夫は行動を共有してくれないところがあった。ルーティン外の行動をするときに、自分と共同生活している人間にそのことを報告してくれてもいいんじゃないかと私は思っていたのだけど、そんな情のようなものを悪気なく持ち合わせていない人なのだった。聞けば普通に、やまちゃんの家でパソコンの設定をしていると答える。今まではいかなる時でもやまちゃんは家に元夫を入るようなことはなかったらしいのに、何かが変わり出しているんだなと思った。気持ちの面で距離ができてしまった人との共同生活になっていくんだと思うと信用もしきれない心持ちになってくるのもあって、なんとなくN95みたいなマスクで武装したくなって調べて手頃そうなものを調べて楽天で買う。その流れで楽天ブックスのオフクーポンが手に入り、子がいま一番欲しい絵本、11ぴきのねことへんなねこの新品が中古でみるのと変わらない値段で手に入るのでそれも合わせて購入。安定の日々では思いきれないでいることを負のエネルギーで乗り切る。

 


8/18

久々の晴れ。ようやく仕事で必要な撮影をしに行ける。せっかくだから公園の撮影は子の遊びも兼ねていけると企んでお弁当も作って用意周到にして向かう。まずは急ぎで必要な場所を撮影。なかなかゆっくり子も遊んだ。次の少し離れた場所に移動してからお弁当を食べようかということにして、下高井戸まで走る。はじめて行く元上水路のその公園は低地になっていて緑が生い茂っている風貌はやや異様で、戸惑いながら自転車を停める場所を探してウロウロした。古いながらも立派な遊具もあるのに緑が手入れされているとは思えず、とても現役の公園には見えなかった。まず子どもの姿がない。ひとり、現場の休憩中のようなおじさんがいるのが見える。全貌がなんとなく分かって駐輪した頃に気づけば空模様が怪しくなっていて、一応自転車にカバーをかけながら下に降りて行くと同時に雨粒が激しく降り出した。屋根らしいものがあるおじさんがいるベンチを目指して駆け寄るも、その屋根らしいのは骨組みだけで緑の屋根を作ろうとして失敗しているようなものだった。つまりベンチもずぶ濡れだし居場所がない。私の日除け兼用の小さな折りたたみ傘に子と二人で縮こまる。雨は容赦なく土砂降りになって、条件の悪いこの公園は池のような水溜りができあがっていた。体のあちこちを濡らしながらなんとかスマホを取り出しレーダーをみると20分後くらいには雨が過ぎるようにはなっていた。長い。長いけれどもう一歩も動けない。家にいるであろう元夫に洗濯物どうしようとLINEするもなんの音沙汰もなく、こういう心細い時にもう声を掛け合って支えてもらえないんだというのが、より取り残された感が増して辛かった。おじさんはペットボトルのコーヒーとコッペパンを食べるつもりでいたようだったけどそれどころではない。しばらくしてほんの少し雨が弱まった隙、といってもまだ本降りだけど、おじさんはそばに停めてた自転車で少し進み出す。が、少し脇のトイレの頑丈な屋根の下に移動しただけだった。このロケーションと雨は限界で心が折れる。やがて日が差してくる。雨は残っていたけどこれなら行けると、水溜りを避けながらどうにか路上にあがった頃にはカンカン照りになっていて、耐えきった自分にガッツポーズしながら帰路につく。晴れたけれどあんな水溜りの公園では撮影はできない。結局お弁当は持ち歩いただけになって家で食べる。洗濯物は濡れずに取り込んであった。

しばらくして図書館、お話し会。いつものメンツでいつものように終えてプラザに移動。次は大将を撮影に行くため元夫に子を渡すことになっている。駅前で落ち合う。終わったら未完成に行こうねと子と約束していた。思った通り、元夫はごっちゃんのところにでもいると言っていた。撮影。高円寺の特徴ある街並みなんて誰もが勝手に撮っては使用されているようにも思うけど、区の仕事だからきちんと筋を通さなくてはならない。許可をとりがてらせっかくだから持ち帰りで焼き鳥を頼んだ。撮影を終えて約30分後ごっちゃんの店方面に向かうと店は閉まっていて、元夫に連絡するとマックにいたといって未完成に向かってもらう。未完成の最近の新入荷が可愛くて是非みてみたかった。元夫とはここで別れてから朝まで姿を見ていない。子を寝かせてから健康保険のことなども調べて、またモヤモヤしてくる。「予定外の行動になる時、それも外食ならなおさら、事前に私に報告してほしい。私だけが責任者なので。」とLINEする。離婚して親権を手放すというのはそういうことだと実感させるつもりで。そして金曜に手続きに行きたいから子を見てもらいたいことも伝えておく。今日、子は公園のジャングルジムが登りきれなくて泣いた。そういえば夫は数える程度しか子の遊びに付き合っていなかったよなぁと思う。面倒係として私がいるんだからそれはそうなのかもしれないけど、自分の都合に子を連れ回して街を歩くのは好きだったけど、何か教えてあげることに積極的ではなかった夫。逆にこれからは生活が共に無いことで、子と触れる時は子の目線になることを期待できるのかなという気もする。

 

 

 

8/19

水遊びが満足にできていなかったから、どこか新たなところはないか検索しまくっていて、隣りの区にじゃぶじゃぶ池とは違ってプールという分類のものがあるらしく、またお弁当までばっちり準備して向かってみる。行きながら数年前にここの話を上の学年のママ友に聞いたことあったなと思い出した。住宅地のなかに突如現れる小さな小さなプール、滑り台があるだけで子は声にならないほど喜びで胸いっぱいになっているのが分かる。人も他に二組兄弟連れがいるだけでのんびり遊べる環境だったのも相まって好印象のプールとなった。疲れて眠くもなったらしく家に帰りたいというけど、せっかくお弁当を持ってきているから公園に移動してどうにか弁当は食べる。少し復活して文具屋に寄りたいといって譲らない。近くに少ししょぼくれた感じの文具屋がある。子は文具屋は自分のための店だという意識が芽生えたらしく、いまいち冴えない品揃えの文具屋でも張り切って買い物しようとしていて、どうにか鉛筆一本と消しゴムにとどめれた。文具屋ならではの長細い紙袋に入れてもらえて雰囲気は出ていたから良かった。

帰って、本人もその気だったし昼寝をさせようとしたけど失敗してすでに夕方。あんなに喜んだプールのために浮き輪を買ってあげたい。夏も今さらだし、100円ショップであればいいなとキャンドゥに行くとあるにはあったけど金色のラメが入ったそれで、少し首を傾げている。阿佐ヶ谷まで出て100円ショップだけでなく、水着を探した時と同じく方々の店で見るけど売れ残っていなければ無いといった感じで見つけることもできず、高円寺のキャンドゥに戻ることにする。その前にふわふわのカキ氷を食べようということになった。テレビで天然氷のカキ氷を観て、カキ氷好きな子が目を輝かせていたから、こういうの近くでも食べれるよと教えていた店がすぐそこにある。混んでなければという条件で店を覗くと程よく人がいたけど席は空いていてスルスルと座れてしまった。二人で一品というのも気が引けてカキ氷とあんみつまで頼んでしまった。後から来た二人組のサラリーマンがペラペラ話しながら食べ出して店内は少しピリピリした雰囲気にはなっていた。子はお構いなしでマイペースに生イチゴのカキ氷を食べて、またグループの入店があったのと同時に店を出る。今どき感染対策を意識しない飲食店はないだろうけど、あからさまな対策を取っていないとどうも不親切に見えてもしまう。「〇〇歳以上のお客様は必ず一品ご注文お願いします」とかそんなお触れ書きはちゃっかりしているのに、換気も仕切りもお釣りの受け渡しも緩いところがなんだか白けてしまう店だった。子がカキ氷に満足してくれたからいいけどまたしばらく来ることはないかなと思う。さて戻って再び高円寺のキャンドゥ、500円シリーズの少し良い浮き輪も安くなってあったけど、100円程度の大きさがちょうど良い。帰って早速浮き輪を膨らませると、それだけで大興奮だった。自分の苦手意識のせいで子の体験が圧倒的に少ない気がする。そしてそれに対して夫も特に考えない人間だった。子には申し訳ない。

晩御飯時、子が観ているテレビを私も観ながらくだらない話をしたくなっても声に出せないのが辛い。どうぶつピースでゲストでワイプにうつる仲村トオルを観た瞬間さまぁ〜ず大竹に見えた、とか本当にその時だけ感じるどうでもいいことのためにツイッターのサブ垢を作ってセコセコとそこにぶち撒けていると、夫が今からこんな用件の仕事で出かけてくると声をかけてきて少し普通に話せる。こんな何気ないことがすごく嬉しかった。それだけで少し気力を持ち直す自分がいる。子と恒例のゴミ出し散歩。子は夜のゴミ出しがてら散歩をして楽しむようになった。以前は夫に丸投げだったゴミ捨てを意識して自分がやるようになって、はじめは子を待たせて外に出るというタイミングを見計らったりして気が重かったけど、一緒に行くことを楽しんでもらえる方向になって良かった。二人きりでもやれないことはないんだなと思った。元とはいえ共に住む夫が、やる事と行方と、きちんと告げて出て行った、たったそれだけのことで安らかに眠れる。

 

 

 

8/20

予定通り朝から区役所へ。そして今日は仲良し親子を昨日のプールに誘ってある。その時間も気にしながらの区役所。まずは保険のこと。離婚した事実を元に手続きを誘導してもらえると思ったら、住居が変わらないならそのままだと言われる。何事も世帯ベースで管理されているらしい。だからまず、同じ住居のなかで世帯を分ける。そしたら個人の保険に変更できる。そうして子どもも自分に紐付けできると。上まであがったけどまた一階に移動。すぐに窓口にありつけて世帯を分けて、保険証の再発行をしてもらう前にハッとした。数年前、結婚して変更になった時のことを思い出す。あの時も随分待たされたものだった。自分達の未来のために必要なことだと思っていたから苦には感じていなかったけど。時間を確認するとやはり時間がかかるとのこと。途中まで進めた処理も今日は諦める。よって、最短で月曜に再度手続きに来るまで私と子の保険証は使えない状態で終了になった。まぁ週末になるから余程のことがなければ必要はないけど余程があったらどうしようという緊張感はもったまま。急いで帰ってプールへ向かう。予定通り少し早く到着して脇の児童館の庭で様子を伺っていると、何組か同じように周りでなんとなく待っているようだった。ママ友に連絡して自分達もプールの前に移動して待つ。ママ友は出かける寸前に自転車のパンクがわかって、ここまではさすがに徒歩は無理だから諦めるということになってしまった。残念だけどとにかくプールを楽しみにできている子は今日も一人でも充分に遊べた。帰って用意しておいたお弁当を食べて、今夜の金曜ロードショー猫の恩返し」のために今日こそ昼寝させようとしたけど失敗。ママ友がプールに行けなかったから自転車のパンクが直ったら駄菓子屋に一緒に行こうと言ってくれていた。現地集合のタイミングを合わせながら家を出て、まだ早かったので駅前の文具屋に行ってみる。この文房具屋、20年前は表のアーケード側の一等地で大きな店だったよなぁと思う。こういう一業種の歴史を振り返ってしまうと悲しくなる。でも子どもはあれこれある100円ショップと違い四方を文具に囲まれたなかを嬉々として古びれた文具をあれかこれかと選んでいた。この雰囲気がまた何も買わずには出れない。欲しがるハイビスカス柄みたいなシャープペンを阻止して上にラインストーンのついた鉛筆とラメ入りのペンを購入。駄菓子屋に移動するとちょうどママ友親子も着いたところだった。わいわい駄菓子を買って冷えたゼリーなどをその場で食べる。ママ友も新入荷を気にしていた未完成に連れ立って行く。用意しておいたもらったものやフルーツコンテナなど今日も散財。実用性よりも可愛さ重視した日用品なんかを買うのはいつも夫だった。私はいつからか超現実的思考でしか日常を見なくなっていたなと思う。こうした彩りを取り入れるとままごとみたいな生活でもいいんじゃないかなと肩の力が抜ける気がした。今度はプラザへ。久しぶりのお友達も何組かいて、夏休み入る頃にコロナで休園になった園の子達。陽性は年長の在園児ひとりにとどまったらしくて、良かったというかなんというか。二階の遊戯室の窓際のマットの上でクッション積み木で遊んでいると、夫が自転車で通り過ぎて行くところが見えた。帰りにスマホを見ると家を出る連絡をくれていた。珍しい。プラザの上から見てたよと返しておく。オオゼキへ。入り口のスイカを見るなり子が、あ!スイカ!お父さんに買ってあげるんだ!と騒ぐ。こないだ一緒に道で見かけてお父さんスイカ好きで、スイカ食いてぇ〜て言ってた、と教えてくれた。夫はいま私達が買ってきたものなんて食べるかなと思いながらも、どうしてもだと言うので買う。私は今日特売のアボカドを買いたいのにずっとおばさんが真ん前を占拠してる。仕方なく脇から手を伸ばすと、どれも固くてちょうどいいのがないのよ〜と振り向いて声をかけてきた。確かにいくつか触るとまだ早い。だから安いというのもあると思う。若干硬さの違う2つを買う。帰って子が、こんなの入ってたと「あたり」と書かれた紙を見せてくる。駄菓子屋で買ったモルカーのくじシール、当たりがあるなんて初めて知った。思わぬことに私の方が興奮する。

夜は新しいカギを観る。いつも夕飯の片付けやお風呂の準備なんかをしながらなんとなくついていたこの番組に、いつの間にか子がハマっていた。でも今日は猫の恩返しがやるから早くお風呂に入らないとだし、子はゴミ出しがないのに夜の散歩もしたいとのこと。8時過ぎに家の周りを一周。暗い裏道の一軒家の塀の上から猫がじっと見ていて、猫の恩返しへの気持ちが高まる子。何度も何度も観てるのに、テレビ放送はまた格別らしい。急いでお風呂にも入って、金曜ロードショーには間に合った。子はモルカーシールのこと、スイカのこと、この猫の恩返しのこと、あれこれお父さんに話したがっている。終わるまでには帰ってほしいと連絡しておく。なんの返信もなく帰ってはきたけど、子の伝達事項にあまりリアクションもなく悲しくなる。

 


8/21

子がどんなに寝るのが遅くなっても同じくらいの時間には目覚める。そういう体になっているのだろう。

昼頃、買い物がしたくて中野に出る。子はマルイのキャラクターショップでまた文具類を買う。中野に行くよと言ってる時点でミスド前の台湾唐揚げが食べたいんだといっていて、ハッピーセットを買うにしてもそんな値段は変わらないし仕方なくお昼ごはんとして台湾から揚げ。

この日の午後はこれ以上記憶にない。夕方にスーパーに行った気はする。フジロックだとか24時間テレビだとか、相変わらず縁がない。土曜のテレビはいつも通りジョブチューンで、ファミマスイーツだから割とちゃんと観ていた。子も馴染みの店の馴染みの物だからこれ食べてみたいとか言いながら観て、一位まで判定を待てずに夜散歩がてら買いに行こうかという話になった。ファミペイ払いをするスマホひとつ持って家を出る。小走りしながら道を行く子にカメラを向けると、少し戻ったところの門構えがリゾート地のようなマンションの前で写真を撮ってくれと言う。そのまた並びのマンションの前、小さなお稲荷さんの前でパシャリ。そうして遊びながらファミマ。合格の品で子が食べたがったスイーツと私は新しい紅茶フラッペを買いたいけど、今のいまランキングになったものを買うのが少し気恥ずかしくて違うフラッペを手に取る。レジの人が癖が出てしまったのか、ビニール袋を出して入れようとして気づいたような、でも手を止められずにスイーツを袋に入れてくれて、フラッペをやたら揉んでくれていたけどこのご時世でそれはちょっとありがた迷惑のような気持ちになった。慎重に触りながらフラッペを二人で飲み飲み帰宅。

 


8/22

深夜だったか明け方だったか目が覚めて、なんとなくスマホでテレビ番組表をチェックすると、24時間テレビの深夜枠は有吉の壁をやっていたらしい。観たかったな。馬鹿みたいにテレビみて笑ったりしたかったな。そんな平和な時間が私には二度とやってこない気がする。

今日で終わりと勘違いしていた神楽。9月は辞めると話すプレッシャーからはひとまず解放。素知らぬふりして稽古をする。商店街で買い物して帰り。帰ってお昼ごはんにしていると、久しぶりにクラスのLINEで阿佐ヶ谷の不動産屋がやっている宝探しでなかなか豪華な景品が貰える話を教えてもらう。さっきまで阿佐ヶ谷にいたのに勿体ないことした。子に話すとやりに行く気になってるので、午後再び阿佐ヶ谷まで。マップにあるヒントをもとにそのスポットへ行くと宝箱があってシールが入っている。スポットは10箇所くらいあるけど5種類違うシールを集めたらゴール。おそらくこの不動産屋の物件店舗が協力しているのだろう。阿佐ヶ谷北側には分かりやすい店が固まっていたから歩いて回る。神明宮の前を通る時に寄っていく!と子が言いだして、暑い中ふらふらと中まで行ってお参り。家族三人仲良くできますようにってお願いしたからね、と子。辛い。もう子の前で散々揉めてきてしまった。今さら取り繕うこともできないし、ありがとうと言ってごまかす。再び炎天下のなか歩いて店を探すもマップをよく見ると日曜休みのスポットが多い。他は五日市街道から成田東の方に集まっていて、気持ち的にはしんどい。シールを2つで今日はやめようかと自転車で走り出すとまだやりたいというので成田東方面へ向かう。すぐに分かる場所とヒントが難しい場所がある。「目玉焼きは焦げたらダメだけど焦げてもいいものはな〜んだ?」場所のヒントを頼りにその辺りを何度もウロウロする。そんなにお店の多い場所ではない。焼き鳥屋、珈琲屋の焙煎の香り、陶芸をしているところ。私が思ったそれらしいのはこれで精一杯。子に軒先を見せても何もないと言っていてもう限界だった。その店は6時までの営業。もうすぐ6時だし諦めて帰ろうと走り出すと、新高円寺に出る辺りで子が顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。私ひとりで手に負えないことに、こんな時夫がいれば、夫が一緒に楽しんでくれていたらと思うと悔しさで苦しい。途中で自転車を停めて夫に連絡して子に話をさせる。私も代わって補足してもさすがに現地を知らないのもあって分からないと言われるだけだった。それでも諦めきれない子がもう一度探したいと訴えてきて、戻るかどうかというところで夫から電話。ブランコとか船とか、自転車。「こげる」は漕げる。と言われてハッとした。自転車屋ならあった。私はそういえば空気入れたいなと思って店をチラ見もしたのに。今度こそ子も覇気を取り戻して自転車屋を目指す。あったじゃないか。空気入れとは反対側に棚がおかれて宝箱がある。写真を撮って夫に送る。そうしてシールが5枚になったし、今度は阿佐ヶ谷の不動産屋本店まで走る。子はすっかり元気を取り戻して、私がサイクルスポットで空気を入れてる最中も小躍りしていた。不動産屋に着くと男の子を連れたお母さんとすれ違う。なんだか不満そうにこちらをジロリと見てきて、不審に思いながらも受付のお姉さんにシール台紙を見せるとお姉さんは笑顔のまますまなそうに、これはシールが同じなのでもう一度頑張ってもらえるかなと言い、よく見ると最後の自転車屋のシールはすでに同じ絵柄があるものだった。貼るのは子に任せていたので全く気づかず。子に説明して明日続きやろうねと言うと、子は宝探しまだ出来るんだ、やったぁと言ってみせてくれたのでほっとして帰路につく。

帰って顔を合わせるとまた夫と揉める。この形の冷戦状態でどうにかでもいいからやり過ごしたいと思っていたのに、やっぱり無理だとあらためて別居を申し出てきた。それは話が違う。一緒に住む、だからせめてもの離婚でそれは受け入れたけど、そのうえでさらに離れることは事実上の紛れもない決別になってしまう。これまで理由なく土日を一緒に過ごさないことも私の心を荒れさせた原因のひとつでもあって、今日は日曜、とくにそんな気持ちがまた思い出される。そのすれ違いが今の私達にしてしまったのもあるのに、一方的に責められている形で理解されていないことも悔しくてたまらなかった。タマゴが先かニワトリが先か。私が悪いからそんな夫になってしまったと彼は思い、そんな夫だから私の態度も煮え切らなかったところもあると私は思っている。私は子に合わせて日々を営んでいるけど、夫は食事もしないし寝ないし、どんどんやつれていって、まともに考えることも出来ない状態ではないかなと思うけど、それも私のせいだと言われてしまうだろうから何とも言えない。せめて食べて気力を取り戻してほしい、とLINEする。直接話すことがもう負担になっていることも分かってる。

夜、お風呂を上がるとママ友からフジロックヒロトを観た時の子どもの反応についてLINEがくる。そうか私も観たいと思っていいんだなと思えてきて、ちょうど時間でツイッターのあちこちで盛り上がりをみせる電気グルーヴにいい加減私もアクセスしてみる。気持ちが良い。こんな感覚なくても生きてこれてたけど、やっぱり心が潤うのを感じる。イヤホンを耳にさしたままいつの間にか寝てしまっていたけど、また脳に音が届いてきて、ハッとしたらN.O.を歌っている卓球。今でもやっぱり大好きだ。学生の頃はじめて聴いた瞬間から感動して影響を受けて書いた作文が地元の広報新聞だかの掲載に選ばれたけど、その時の私は何を訴えていたのか、今はまるで覚えがない。ただこの歌を聴くと泣きそうになるのは変わらない。

2021年8月12日〜8月15日

8/12

早朝。猫がシャカシャカしている音がする。耳を凝らしてトイレか床かを判断するけどいまいち聞いたことのないシャカシャカで、しかも、なかなか止まない。しかたなく重い身体を起こして見に行くとトイレにも床にも姿はなくて、その時のまたシャカシャカにハッとして洗面所の戸を開けるとニャアと猫が出てきた。なぜ?夫の姿はない。朝5時半前。どこ行ってるのと連絡すると、「朝散歩。眠れない」と返信。猫をトイレに閉じ込めていた旨を返して再び寝る。

いつもの時間の朝。子が床に蟻!と騒いで、私は飛び回る虫よりは気にもとめなかったけど台所にいくと緑の葉っぱがごそっとボールに入っている。夫にこれ何?と聞くと、大葉、散歩中にもらったと言うから、ふーんと広げてみようとすると蟻!大量!ヒィと声を出して慌ててシンクに放り出す。知ってる大葉より大きくて疑いたくなるけど香りはちゃんと大葉だった。どこから貰ったの?蟻がすごいよ、というと高架下の通りのお宅で、大葉あるなとボーっと見てたら台所の窓から見えていたらしくおばあさんが出てきてくれた、と。冷蔵庫のなかには大きくて立派なゴーヤまであった。予定通り朝からお弁当作り。今週ちょっとずつ放送していたTHE FIRST、いよいよ終盤。皆んな最高のパフォーマンスができたとかいうけど、はじめの頃より気合が緩まっているような私には物足りない。それくらいの余裕感もってパフォーマンスできるのがプロってことなんだろうけど、ギンギンに俺が俺がでいちいちアツかった頃のほうが面白かったような気もする。明日から雨みたいだから今日が外遊びするチャンスだよ、どこか行きたいところない?今日はあまり日が出てないからどこへでも行けそうだよと私が言うと、こないだ行ったロープのジャングルジムがしたいとのこと。よし、行こう行こう。自転車で走り出すと早速日差しが出てきてしまった。この前は練馬周りで帰ったけど今日はマップを観ながら最短ルートで行きたい。野方の商店街を抜けたところで西に向かって北上すれば実は分かりやすい場所だったらしい。大きなコープと西松屋があって、帰りに寄りたいと子が言っている。私が誘うことはあるけど子から言うなんて珍しい。ロープのジャングルジムはやはり人がいない。日差しは出たり陰ったりの繰り返し。断然こないだよりはやりやすい。そんなに高いわけじゃないけどどうしても一番上まではいけない。そうこうしているうち小学生男子の三人組がやってきて、繋がったもうひとつの塔のほうで遊び出す。すいすいと上まで登っていく。手伝って子も行かせてあげようとするけど本人は諦めて今日はここまでにすると言い切った。広い公園のなかを抜けて遊具の公園へ移動。この辺りの子はもう飽きているのか、広い公園のなかで虫取りしたりビニールシート広げてピクニックしている子はいるけど皆遊具エリアには目もくれない。小さい公園だけど珍しい形のうんていや滑り台、前後に揺れるロッキング遊具がある。ひと通り手を出してから縄跳び。連続13回できたこともあるのにここのところは最高でも5回。やっぱり縄跳びが違うのだろうか。そろそろ行こうと自転車のところへ戻る。ロープのジャングルジムはまた無人になっていて、せっかくこれ目的に来たんだからもう一回やっていく?と聞くと首を振って西松屋に行くといった。地方の店のように広いというだけでテンションあがった子が、あっちのやつ見てくるね、と奥までの長い通路を走りたかった言い訳みたいにして駆け出す。もうこんな中途半端なサイズの子ども服はないかなと思ったけど店が広いと赤ちゃんの店だと思ってた西松屋にも140サイズとかも全然あった。安いと思って399円の服やら靴下やらを買っていたら二千円越えてた。天気が悪くなってきた。コープ、別に買うものないんだけど一応寄る。中野のコープすら行かないのに。せっかくだからコープブランドのものなら買っていいかと気を許す。冷凍食品を2つ、あとベーカリーコーナーのパンを買った。野方の100均で子どものマスクを買っていく。通り道だからささっと買っていこうと思った時に限ってレジが並ぶほど。二人前の客がたいして買ってないのにクレジットカード支払いで時間を食っていた。野方区民ホール先の工事しているような環七に合流するところ、いつ通っても交通整備の方がいて見てくれている。有り難いのだけど、そんなにここは注意が必要なところなのか、道が細いわけでもないし、何か危険な思いをしたことは一度もないけど、それはこうしていつも誰かがいてくれるからなのだろうか。知らない土地を孤独に走り続けて心細いところ、ここに来ると必ず人がいてホッとするというのもある。高速道路の料金所のおじさんのような感じ。帰りついたらお弁当を食べさせて、おやつを食べたり、空模様が怪しくて今日のスポーツセンターのダンスは歩きで行くことになるか、レーダーと睨めっこしながら止んでる隙に自転車で向かう。ゆるい坂を登りながら子が、今日はお疲れ様と労ってくれる。日々の生活の中でうまくいかない時は余裕もなくなって投げやりになるけど、私が行動することで子が楽しめるというなら全然苦じゃない。こんなことで感謝しなくていいのにと思うけど、こんな私の行動を認めてくれる人がいるんだなと報われる。しかし今日のレッスン以降予約が取れていない。競争率の高いダンス。終了後の先生と挨拶の時にレッスン回が増えないのか聞いてみると、そんな声が多ければ考えるんですけどねーという話。周りの声を聞いていると確実に人は集まる予感しかないけど、日程によるのかもしれない。単に木曜の16時からというのがちょうど良いだけで、他の日に増えても集まらない可能性もある。

明日からハッピーセットのおもちゃが第二弾になってしまうから、気に入っている今の着せ替えリカちゃんを買うためにマック。ナゲットと枝豆コーンにすればまだ罪悪感なし。雨はパラパラで湿る程度で、せっかくここまで来たから並びにあるブックオフも寄ってみる。アプリ会員20%オフのセールをしている。11ぴきのねこはあほうどりしか無し。ハム太郎の何かは無いか店内をぐるりとしながら最近子もまるちゃんによって存在を認識できるようになったりぼんコミックスのちびまる子ちゃんを、あれ!といって指差す。全部あるからと言いながら目をやって気がついた、そうだ、ちびしかくちゃん。なんだろうと思いながら当時は流していた。110円、当然買うことにした。ノリが出てきて店員さんにハム太郎のものがあるとしたらどのコーナーになるんですかと聞いてみたら、少し考えながら児童書コーナーですかねぇと案内してくれようとしていたから、やっぱりそこですよね、見たけど無かったので大丈夫ですと言うと裏にもあるか見てきますとわざわざ確認しに行ってくれた。もちろん期待はしていなかったけど、ご丁寧にありませんと報告してくれた。優しい。そしてハム太郎ものはあれば児童書カテゴリに存在することは分かった。他に、園から借りてきて気に入った児童書のせかいのむかしばなしが安くあったから買うことに。アプリ会員も設定してレジにいくとピッピっとバーコードを読みながら、コジコジは大丈夫ですか?と唐突に言われて、えっ!と面食らう。ちびしかくちゃんだからってコジコジをここで勧められるとは思いもしなかった。子も同じく知ってる言葉が出てきてテンション上がり気味に、4巻ほしいんじゃないの?と、ほらほら!みたいに言ってくる。コジコジは何種類も単行本があって、私の持ってる初期のシリーズは3巻で完結しているはずなんだけど完全版だと話が多いのか4巻とかあるようなことに最近気づいたのだった。うーん、と子にも店員さんにも曖昧に受け応えていると店員さんが、よろしければコジコジのまとめ売りセットもありますのでご利用ください、と締めた。コジコジのこと言われちゃったね〜と笑い合いながら帰る。雨は上がっていた。帰り着いたところで大きな荷物を抱えた配達の方と階段ですれ違う。もしかして?とお互い確認して、荷物はだと分かると配達員の人は、本当に良かったと安堵の顔で上に行く。この荷物を再び三階まで持ってあがらなきゃならないのはそりゃ大変だ、しかも代引。夫が自転車を買ったらしい。現金を持ってくるのに子もそのまま待たせていると配達員さんが、自転車だって、お嬢ちゃんのかなと声をかけて間をもたせてくれているのが聞こえてきた。明日は再び雨、大きな段ボールで外に出したままになってしまった自転車、夫に受け取ったことを報告。自転車買うとか見るからに存在が明らかになるものすらも事前に言ってくれないという。

 

 

 

8/13

もらったゴーヤどうしようかと迷っている間に先が少し黄色になってきた、と思った次の瞬間の今朝は全体が黄色みがかって破裂していた。黄色のゴーヤは甘くて果物のようだとは聞いたことあるけど、そこまでは甘くはなっていなかった。甘く味付けしておく。

みんなのうたリクエストで6さいのバラード。たぶん8月に入って聴くようになっていつのまにか子が気に入ったらしく最近なんとなく歌っていたのが可愛くて、私もちゃんと観てみる。6歳という幼児のなかの最年長である毎日や気持ちを、子どもが切々と歌いあげている。ちょうど年頃の子を重ねてますます感極まって涙がでる。月並みだけど、私も子どもが産まれてから涙もろくなった。来年もこうして、と思いながら一年また一年と過ぎてきたけどもう来年は今のようにもいかなくなる。そのことで目に涙しているのは私だけでもちろん子の目には希望しかない。

THE FIRST。最後の審査でついにメンバーが決まる。私が嫌悪感を抱いていたリョウキが何人目かで呼ばれて、実力あるんだかは私にはよく分からないけどやっぱり絵面の良さも考慮されるものなのかねと冷めた目で観ているとそこでスカイハイが「あなたは他の人よりも批判を受けやすく茨の道になるだろうけどそれでも覚悟はできてるか」という話をしてスカッとした。よくぞ言ってくれた。人を見る目、スカイハイすごいんだな。と思ったら、すでにリョウキは問題あって炎上していたらしいことを後で知る。そうしてスカイハイの忠告に対してリョウキの様子はやっぱりいまいち信用ならんと思ったのは私だけか。まだ感情を語るうまい言葉を知らないだけか。でもスカイハイが一緒に背負おうと思ったみたいなことを言うから仕方ない。さて、私は今日二回目のワクチン接種。子のために夫を起こして、雨が降っていたから歩きで向かう。水分をたくさん摂るといいというのを信じてカバンに水をしのばせている。前回同様とんとん拍子に進む。同じ施設のなかに接種会場は二箇所あって、この前と違う方のこちらは看護師や医師が全体的に若いような感じ。それにしても接種者は前回以上に年配者ばかりで、区の予約スケジュールでは年配者、若者、私の世代という順になっていたはずなのになぜだろう。少し喉が違和感あったり体調は万全でもないけどそれはちょうどこの気候のせいにも思う。順調に終わりファミマでスイーツを買って帰る。まだ体は動くけど雨のせいで家でだらだら遊ぶしかない。

夕方、腕の痛みと少し左胸あたりが痛む。筋肉痛みたいなコリのような、息苦しいことはないけど部位に苦しさはある。よく話に聞く発熱は今のところ無い。副反応で気になることがあったらここに連絡してくださいと教えられたところに電話してみる。たまにその場所のリンパが腫れて痛むという事例はあるとのこと。腫れている感じはないのだけど、実際危険に及ぶことがあるとしたらもう少し真ん中に近い位置が痛むことだと言われた。様子をみてくださいと説明されて終わる。副反応としてあまり聞かない症状だったから心配になったけど一大事に繋がるものでないならよい。なんとなく怠さを感じるからゆっくり過ごしてみる。二回目接種時に微熱を出していながらも比較的いつも通りようにしていた夫の手前、何か言い訳しないと私もゴロゴロし辛くて、怠けてるやつみたいになるから弱音をはけない。でも実際私が何かする時というのは一人じゃ無くて二人分になる。自分のペースじゃない時にも立ち上がらされたり、子と自分の二人分動かなきゃならない。それが育児。夫が出て行ってから心置きなくゴロリとしてみるけど、そうすると今度は子に申し訳ない。夫はこの雨のなか昨日の自転車を組み立ててもらいに行っているだけで、自然とひとり自由に動いているんだなと思うと私もはっきり伝えようと、左胸あたりが痛くて少ししんどさもあるから子の相手をお願いしたいとLINEすると帰るとの返信。もちろん雨のなか買い物になんで出れなくて、オオゼキで今日までしか売られていないプーさんボトルのハチミツ、子が欲しがっていたことが心に引っかかっていて、それも夫に伝えると買ってきてくれた。

雨が降って涼しくて、このまま秋になるんだろうなという寂しさのある気候。

 

 

 

8/14

朝から雨。ワクチン接種を意識し過ぎだったのかコロナが出てくる変な夢をみる。場所は美容室、私が行くとザワザワしているところで、ワクチンやらないと言っていた担当の美容師さんの顔がボコボコに腫れていて他の人達が入ってきた私に、これ絶対コロナですよね?!(本当はそんな症状ない)ぎゃー!!みたいに皆んなが慌てふためきながら逃げ惑う、という夢。真剣に怖いはずのコロナが夢ではこんなB級ホラー映画のように表現されてきた。

朝の夫がいなかったタイミングで今日も着払いがきたり他にも荷物が続けて届いて、子が配達屋さんごっこをはじめる。私と夫に繰り返し何かを届けてメモ帳にサインをさせる。これにハマって半日遊んだ。相変わらず発熱は無い。なんか少し気怠い感じなだけ。

なにか食べる時には恒例のまるちゃんを観る。今日はまるちゃんが野良犬に追いかけられるという話。学校の近くで野良犬が出る話が問題になって家族で話し合った時に、おねえちゃんは割と冷たい態度だったけど、最終的に学校のなかでまる子が野良犬に狙われたら、おねえちゃんが助けに飛んできた。あんなこと言っていたおねえちゃんが、ホウキを振り回して野良犬と格闘してくれている、とまる子が感情を語るところでまた私は涙が止まらない。初期のまるちゃんは笑いと感動が程よく混在してる。

夜、雨がやんだか小降りかのタイミングで夫はドンキに出ていった。お風呂の準備をしようとすると浴槽に夫が何か薬剤に浸けたらしい衣類と水が溜まったバケツがあって、出そうとしても重さで腕が痛くて持ち上げられず。腕の痛みはワクチン接種一回目よりも落ち着いているものの、無理をしようとすると強張るので無理はしない。そういえば今日は出掛けていないし軽くシャワーでもいいではないかと子とそのまま入ることにして、布団の準備に切り替えると、私達の布団に今日一日そこに寝ていた猫の嘔吐物が。こんな雨続きで洗濯できない時に限って!布団カバーを外したりあれこれ大きな動きをすると怠くなってくる。接種翌日は休みの方がいい意味が日々休みの私にもわかる。ようやくシャワー。やっぱりこう寒い日に限ってシャワーだけとはさっぱりも温まりもせず。子も湯船に入りたいと言い、二人で協力してバケツを浴槽から出して少し湯を貯めて入ると落ち着いた。

 

 

 

8/15

雨。起きてからスマホをみると区内は警報が鳴ったらしかったけど全く気づかず。珍しくよく寝れた。この数日、こんな感じで夫ともなんとなくやっていけるのかもと思っていたら起きてきた夫が溜息をついて項垂れながら

、やっぱりダメだ、と告げてくる。これが現実。そうか。でも離婚して別居はあり得ない。それは本当に終わりだ。ひとつのテーブルを囲んで前の家族の雰囲気を取り戻せるなら書類上の離別くらいは全然構わないと思った。むしろ一人の人間と一人の人間になれるなら理想的にすら思える。そう考えたら逆に晴れ晴れした気持ちになれた。

ランドリーに行くつもりで洗濯をしたら夫が行ってくれるというのだけど、こういう時に簡単に甘えていたことも実は溜まりに溜まっているのかなと何度か押し問答してもそれは関係ないというし、夫は一人になりたいのもあるだろうなと判断して行ってもらう。

スマホを開くと伊勢丹の問題。従業員のPCR検査を制限しているだとかなんとか、あの天下の伊勢丹がそんな情けないことになっているとは。泣く子も黙る最上級のポスピタリティで信用の伊勢丹と教育されてきた(揶揄じゃなくて、私の出た服飾専門学校の教えはそういうことになっていた)私には俄かに信じがたいことだったけど、そういうことらしい。コロナが人を、伊勢丹を変えてしまったんだ。悲しい。

朝以来、夫とは顔を合わせず過ごす。子がお昼は絶対ハッピーセットだと、雨だけど自分で歩いて買いに行けるというので家を出る。アーケードのパルに入ってぶらぶらと歩く。そういえばスーツ屋だったところにまたゲームセンターが戻ってきたと、少し前に夫に聞いていた。こんな何気ないことも話せたなんてあの頃はまだ平和だったんだな。子はここが以前もゲームセンターだったことは知らない。こんなところにも出来てるといって喜んでいた。なんとなくABCも覗く。子がいま履いているスニーカーはおそらく小さくなっていて、マジックテープ部分が締まらない。半年以上経っているからこの年頃の成長にしたら真っ当なんだけど、キッズスニーカーの世界は子の希望をききながら合わせやすい靴を安く買うことが難しい。安いものから目がいくけど、よくみてたら下手に安くなったナイキよりニューバランスのグレーや黒の996が意外と安いかもしれない。スニーカーはいつも夫に相談してから買っていた。足に合わせた感じや値段、デザインなどスニーカーは夫の方が見る目があったし買うのが好きだったから。これがいくらで買えた!とかの喜びを共有できる人がいなくなるのかと思うと、安くなかろうがなんでもいいやという気にもなってしまう。散々試着したけど背中を押してくれる夫がいなくて今日は買えなかった。もう私までお腹が空いてきていて、ハッピーセットは2つ買うことにした。雨が少し強まったりで寄り道しながら帰る。ワクチン接種の目立った副反応がなかったのは当日翌日と天気のせいもあってゆっくり過ごしたのが功を奏していたのだろう。今日はこうして長めに歩くと少ししんどかった。

夜は夫が多分ごっちゃんのところへ出て行っていたから、ABCのニューバランスを帰りに見てみてほしいと伝えると見に行ってくれて安いと太鼓判がおされた。安心して明日買うことにする。子がみんなのうたの6さいのばらーどに夢中になっているから調べて実際歌っている動画をみながら歌詞を確認して子が喜んで歌うけど夫はニコリともしないし何とも言わなくて、こんな子の姿を共有して愛でられる相手がいないと本当にやり甲斐がない。誰とも分かち合えないなら子の成長や変化は鬱陶しいだけにも思えてくる。

夜中も夫が出ていってなかなか戻らない。もう私を許せないという理由で離別することになったけど子どものためと経済的な理由で共に暮らしていくし、そこに友好な関係になるわずかな希望があるとして私も受け止めることになっているけど、その裏には夫の自由への手掛かりがすでにあるのだとしたら、それは穏やかにはいられない。一人取り残されたような感覚はどんどんネガティブで尖った意識になっていく。私に責められることなく心置きなく癒しの時間を求めたいからとかあるのかもしれないわけだし、今の状況で迂闊な行動はその疑いをもたれることになるのはわかるだろうと説明したメッセージを送ると帰ってきて直接、そんなことはないけど言ってることはわかったと落ち着いて答えて、寝れないからとまた出ていった。寝れないというけど夜寝ていないだけで結局その後はほぼ昼まで寝ている。夫がどうしたらいいのかと思い詰めているのは分かる。食事もできていないし、煙草を吸ってみたりしているようだった。以前から疲れ果てている時こそ夜に出て行っては公園で寝てたということもあったし、こんな情緒が安定しない状態でどこに行くとも言わずに夜中に外に出ていると、さすがに私も救急車の音ひとつにもヒヤヒヤして心配になってしまう。連絡をすると、うっすら賑やかな音がして、ドンキだよ、いつものコースと言っていた。闇のなかを歩いているよりずっと良かった、まだ気は確かだと少しホッとする。

 

2021年8月9日〜8月11日

8/9

思った以上にお友達との夏祭りを楽しみにしている。コロナ前はこのメンバーでおうちに集まって遊んでいた。その時も今回の呼びかけママが工作のワークショップをやってくれたりして、楽しかった思い出があるからますます期待できているのだろう。それにしても今日は風が強い。花火、できるだろうか。洗濯物には気を張っていたけど突然ガコンゴロゴロとうちの外で音がした。もしやと思った通り、洗濯機の裏に挟んでいた桶がない。昔、夫がビームスで買った無駄にお洒落で大きな桶。まさかあれが飛んでいくとは。窓という窓から外を確認するも無い。今日こそ買わなきゃならないスイカを確認しに出るついでに家の周りを見て回る。隣りのマンション二軒のエントランスまで入るもどちらもオートロックなうえに管理人は駐在していなかった。一軒は連絡先が貼ってあったから電話してみると明日なら管理人が行く日だとのこと。そういえば明日は可燃ゴミの日だから間違いなくゴミ出しに来てくれる。明日また聞きにくるしかない。スイカは結局近くのスーパーに手頃なのがあり。あとでママ友と買いに来る。待ちに待った夕方。スーパーの前でママ友と待ち合わせスイカを買って約束の中野区の公園へ。中野区は花火ができるけどなぜか杉並区では禁止されている。去年我が家もここの公園で花火をしようと思ったけど住宅地のど真ん中だから他へ行った。発起人のママは家族総出ですでに色々スタンバイしてくれていた。どれも手作りを交えた射的、魚すくい、輪投げ、お菓子ヒモくじ。他の友達がおみくじと魚釣りを用意してきていて、それはもう本当に夏祭りだった。発起人ママは小学校教師で未就園の頃から子ども達をまとめるのが非常に上手で、今回もまず皆んなに集まれ〜と声をかけて今日の遊びとルールを説明する。そのうえで子ども達は大いに盛り上がった。お待ちかねのスイカ割り。やはりこれが一番盛り上がったと思う。5人で何周も挑戦する。スイカに当たる程度で割れやしないだろうと思っていたらヒビが入った。皆んなで最後は目隠し無しでひたすら狙って大人が手で割り切った。スイカを食べている時だけはおとなしい。大人は食べずに皆んな人前でマスクを取りもしなかった。手を洗ったり片付けしてたら薄暗くなってきて順調に花火がはじまる。ただやっぱり風が強くて火が点けづらかった。花火から花火へ次々と繋げてひたすら花火を消耗していく感じにはなってしまったけど、それはそれで量をこなせて楽しかったりした。もうすぐ8時。全工程を無事終えて、はじめと同じように先生ママが皆んなを呼び寄せる。楽しかったですか?それでは、と手作りの菓子を子ども達に手渡して、今日のお祭りをやってくれたお母さん達にありがとうと感謝を伝えましょうと話すと、子ども達は皆ありがとうと言いながら私達のところへ駆けてきた。この光景、幼稚園でみたことあるやつ。先生の語りを前にすると子ども達もちゃんと生徒になるんだなと思う。こんなイベントを開催しようと言ってくれたママ友にこそ本当に感謝。お菓子には花火やヨーヨーのアイシングがほどこされていた。芸が細かい。夜道を帰ることが久しぶりだよね、うちなんていつも8時には寝てるよ、とか皆んなで言い合いながら解散。本当に、こうして高揚したままの夜道が懐かしい。コロナになってからの夜は不安と心細さしかなかった。家族で夏を楽しめないところ救われたという気持ちもある。帰ったら夫は自転車はあるのにいなくて、外で涼んでいるらしかった。そんな余裕があってもとことん私達に関わらないんだなと悲しくなる。扇風機だけで寝れる涼しい夜。

 

 

 

8/10

朝も暑苦しくなくていい。ゴミ出しついでに桶を探す。うちのベランダの目の前に駐輪場のあるマンションの可能性が高く、表を掃除しているおじさんに声をかけると見当たらなかったですねぇと言いながらも駐輪場のなかに入れてくれた。が、やはり無い。おかしいなと思いながら一応というつもりで隣りのマンションに入る。ここも今日は管理室に明かりがついていて、これは話が早いとドアをノックする。はい〜、と女性の声がしてから出てくるまでなかなか時間がかかる。こんな朝からなんだと怪しまれているのか、おっとりしたおばちゃんが出てくるのかと思い込んでいたら、インナーカラーした若い女性で拍子抜ける。吉住みたいな管理人。桶のことを言うとハッとして「あ、ありました!」と、まるでコントのように慌てて動き出しドアのところで「ちょっと待ってくださいね」と少し振り返る。とすぐに桶を持って現れ、これですこれです、ちなみにどこにありました?と聞くとエレベーターホールの前ですね、と危ないじゃないか。日中不在の単身者向けマンションでよかった。

暑い日。今日はお寿司が食べたいんだと子がどうやらスシローの持ち帰り手巻き寿司のことを言っていて、でも今我が家では可哀想だけど皆がひとつになって同じものを食べることはない。夫もオオゼキのお寿司美味しんだよと教えていてスシローなんてファミリー向けのものは避けたいようだった。夕方から公園へ縄跳びをしに行くついでに高円寺の京樽を買うことにする。高円寺ならそこがダメでも他にも寿司を買える場所がいくつかある。まずは下見。京樽で充分そうだった。せっかくだからついでに駅前の薬局。迷いなく店先にあるざくろ酢を手に取ると、迷っていたらしいおばさんが、これ美味しいのかしらと聞いてくる。私は好きですよと言って奥のハンドソープの詰め替えを取ってレジへ行くとおばさんはざくろ酢を2本買っていた。公園で縄跳び。縄跳びは3本持っていて、どれも過去のお祭りなどの景品でもらったもの。100円ショップによくあるビニールの縄跳びで同じなのに、種類が違うとうまくできないと言い訳をする。水筒を持ってこなかった今日に限って飲みたいと言い出して公園脇自販機で100円のいろはすを買ったり、はじめて自分で買った塩分チャージのタブレットを食べまくる。飽きてきているっぽい。京樽にいって大人なら一人前の寿司を買う。トレファク前にセールの看板。気分が良いらしい子が付き合ってくれるというので立ち寄り。もう秋冬物の買取してもらうのにいい時期になったなと思う。近々持ってこよう。家を通りこしてオオゼキに向かう。京樽で買ってしまったけどそういえば今日は特売チラシに鮮魚類がデカデカと載っていたことを思い出したのだ。でも特売日の夕方は自転車を入れたい人が列をなしていて無理。諦めて八百屋。寿司はうっかり普通にサビ入りで買ってしまっていて、全部のワサビを剥ぎとった。高校野球はあるものの懐かしいテレビ番組が戻ってきた。7時台、民放5局のうち3局、食の番組。なごやか。落ち着く。

夜、気がついたらまた夫がいない。人がいなくなる部屋でエアコンつけたままなのも勿体ないので消して連絡すると外にいるとのこと。子が洗濯物畳みの手伝いで珍しく夫の衣類にも手をつけた。これまでは大きいし自分のものとは形状の違う衣類を遠ざけていたのに。子はお父さんに伝えたがっているのに夫は、いない。子どもの声をもっと聞いていたいと思わないものなんだろうか。私だって明日の予定のこととか起きているうちに伝えておきたい。まとめてLINEするとしばらくして戻ってきた。が、子どもなんて今の今しか発せないこともある。あんなにお父さんに伝えたがっていたことも、布団に横になった今となってはもう気持ちが冷めていた。夫の方から、洗濯物畳んでくれたんだって?と子に声をかけていた。日常の些細なコミュニケーションで何かを失っているかもしれない夫が勿体ないなぁー、と思ったりする。

 


8/11

今日の歯科は朝9時半から。いつもより早い、だから昨日のうちから夫に言っておいたはずなのに結局出る時に声をかけるまで寝ていた。今日で終了、ようやく矯正の続きに戻れる。家に帰って子を遊びに誘うけどどこに行くでもなく時間が過ぎる。ダラダラしているだけだからお昼ごはんの気持ちにもならない。お弁当をつくると喜んで食べた。これから朝のうちにお弁当を作ろうかという気になった。夫が作業してたりすると尚更ご飯の用意どころではなくなってしまうし。今日返す絵本をいくつか読んで図書館。今日も一番乗りになってしまった。カードのシールがいっぱいになって景品をもらう。周りに人がいないと落ち着いてじっくり見て選んでいた。今回は口出ししないでみる。はじめハンドタオルの入ったセットを選んだと思ったら、子の好きなリップ型のブツがチラリと見えて、やっぱりこれにする!と予想通りのものを選んだ。次々とお友達がやってきて、今日は大型絵本もあり。読み聞かせならいつもこの大型でいいと思っているくらいだけど、バリエーションがないからどうしてもたまにになる。お話し会のあとは絵本選び。今日は子がいい加減な感じでもなくさっさと決めてきた。私はくまの子ウーフのシリーズを探す。これも11ぴきのねこのように、昔からある絵本だとは思えないくらいノリがふざけていて面白い。この前借りたやつは子も爆笑していた。園のクラスのママがひとりで来ていて、全然子ども達が出てきてくれないの、ゲームばっかりと弱り顔をしていた。今はパパがいるんだよね?というと小学生の兄と二人でいると言って子どもだけで留守番を任せられる母の判断はすごいと思うと同時にゲームの中毒性は本当に厄介だなと思った。仲良しの親子は明日から千葉の友達の家へ泊まりに行くからこのまま買い出しに行くという。このファミリーはなんだかんだいってこの二年しっかりあちこち行っている。新幹線も飛行機も使っていたし、プロレス観戦も頻繁にいっていたし、つい先日も土曜にディズニーランドへ行っていた。お出かけ好きのファミリーとしては全然物足りないらしいけど、それでも他人よりだいぶ動き回っている気がする。でも何ともなかったわけだから、ただただ怯えている自分は損をしているように思えてくる。が、私は臆病だから我慢ができてしまう。政府は当初そんな私みたいな人間しか想定してなかっただろうし確かに一度は皆んなその感じになっていた。なのに裏切った。ママ友を責められない。その結果、医療にも頼れず自分の身を自分で守ることしかできなくなってしまった。確か一年前にも気にしたけど、このママ友が千葉から帰ってきたあと気づかれないように自衛しなきゃならないと思ってる。行動した方にしばらく自粛してほしいけど、もうこのなんともなかった繰り返しにも慣れてしまってそんな意識はないだろう。私は金曜に二回目のワクチン接種がある。そこから二週間ほど、せめてそこまでは気を張っておとなしくしていようと思ってる。うちだけ子どもにも我慢に我慢を重ねさせるなんて、正直悔しい。ママ友親子はいつも気軽に遊べる仲で日々を充実させてくれる頼もしい存在だけど、歪みきって疲れた私の深層では正直、範疇からはみ出す行動をしたことで一度痛い目みていま一度考えないとだめだろう、と思っているところもある。そうなったら日々遊ぶ自分の身にも危険が及ぶんだから実際は非常に困るけども。本当に本当は出かけるくらい大丈夫なのか?何を怖がればいいんだ?正確なことを知りたいとずっと思っているけど答えなんてなくて体を張って体験した成功をもとに次の行動をしてるだけ。東京から人が来るのを訝しく思う地方民の目でママ友が帰ってくるのを受け入れるしかない。

まだ遊ぶ時間はあるから久しぶりにプラザでリボンをやる。これきっかけで興味もってオリンピックは新体操だけ観たんですよと先生に言うと子のリボンを見て、やっぱり、なんだか上手くなってる、本物みるというのは大事ですねとしみじみしていた。その後は折り紙をして退散。子に今日食べたい物をリクエストされて一応オオゼキにきたけど、毎日少しずつ残っていく料理がある。もしかしたら夫も食べるかもと思って作っていても気まぐれで食べたり食べなかったりで、かといって余分に作らないと作らないで何もしてないみたいでより一層呆れられるんじゃないかという気もして、作っては残してその後私が無理に食べたり処理してる。新しい食事なんてできやしない。「今日もどうせごはん食べないよね」とLINEしておく。食べないかも。どうしたの?と返信きたけど、その思いを伝えたところで、好きなもの買えばいいじゃん、と言われるだけだと思う。昨日は寿司、今日は刺身を食べたいという子を制することをしないのも分かってる。なんでもないや、と返して小さな刺身セットを買って帰る。