どうにもならない日

こんなはずじゃなかった2020年からの生きる記録

2020年11月1日〜11月8日

11/1

軽くハロウィン疲れ。子は収穫したお菓子をキレイに並べて選びながら朝から食べ続ける。かと思えば歌やらお喋りで常に口を動かしながら集中して遊びだして眠そうでもある。仲良しママから、無事願書提出してきました、と連絡。知らなかったけど幼稚園の願書提出は日曜だろうと11月1日という決まりだった。面接は翌日のところもあるけど基本はその日のうち。日曜なのに気が抜けない一日でお疲れさま。ママ友は区立の園だから合否は無いに等しく入園は確実で数日後に面談があるだけ。いよいよあの子も園に通うようになると、園の仲間ができて降園流れで遊ぶようになって、そうするとそれ以外に遊ぶような時間も体力もなくなるし、もうなかなか一緒に遊ぶこともなくなるのかなぁと、少し寂しく思うのはママと友人として付き合いをしている私のほう。ただ子の保護者としてだけでなく、自分の話もできる友人の一人になっている。子というクッションが無くなってまで私の元にいてもらえるのだろうか。そのうち子どもが成長してしまえば私達の付き合いもそれまでになってしまう気もする。その時その時に身の回りにいる人と支え合っていければいいのかなとも思うけど。

今日のお昼はハッピーセットと決めている。CMでおもちゃがリカちゃんに変わったのを観た。子ども番組中にマックのCMを観ない日はないけど、そういえばすき家のすきすきセットは観なくなったな。子はハッピーセットを買ってきて家で食べるというけど、また引き籠ることになるのはうんざり。お店で食べようよ!とわざとテンション高めに言っても決して首を縦に振らない。絵本を返さなきゃといってなんとか外に出て自転車で走る。中野でもなく高円寺でもなく新高円寺の店がいいと子が店舗まで指定してくる。せっかく出てこれたからこのまま帰るなんて嫌だ。お店で食べようね、と念を押していると「さなえちゃん、コロナ忘れちゃったの?」と呆れたように言われる。そういわれるとそうかもしれない。人がガヤガヤした距離の近いお店での飲食にならないように警戒はするけど、外食自体は悪い気していない。「行ってみて席が空いてたら、そこで食べようね」と一言付け加えると納得していた。イートインが2、3階だと空席確認して行ったり来たりは面倒だから、空いてたら食べるけど無ければ持ち帰るので一応テイクアウト仕様にしてください、といつもお願いする。店まで来たら来たで子ももう俄然ここで食べる気で、受け取って二階にいくと席は余裕で空いていたからすんなりと着席。4人座れるテーブル席2つの間の開き具合が、前まで2人席テーブルがあったのかなという気がしなくもない、ゆったり安心感。かと思えば2人席が並んだ場所はぎゅっと詰まったままで、今だとそこは一人客席という価値観になると思うのだけど、その中に若い女性二人組が座ってぺちゃくちゃお喋りをしていてこちらが気になってしまう。色んな人がいるのは当然だから、これからはそれを受け入れつつ全体を思うとやっぱり店側が間に入って何かしら注釈をいれないといけないように思う。私達の離れた隣りテーブルは、同じ年頃の娘を連れたお父さん親子で、やはりリカちゃんを弄りながらハッピーセットを食べていた。子はそれを指差しながらあの子のリカちゃんも可愛いねと話すけれど、その声も届かないくらい離れた、オープンな個室のような空間でのんびり過ごす。夫もやってきて、近くのひかる君のお店に寄る。ひかる君は元々はごっちゃんの店の隣で古着屋をやっていて、その頃は一歩も店に足を踏み入れることはなかったけど、新店舗になってからは早くも3、4度来てる。子は絶対眠いはずだからこのまま荻窪方面まで走ろうか、と思うも失敗。おうちまだ?と言っている。諦めて引き返し出すと途端に寝た。高円寺をまわりながら中野の肉屋に行くことにする。先ほどのひかる君の話だと、2000トイズの表でフリマみたいのやってるらしい。自分の趣味にお金を使えなくなってから滅多に行かないけど、いつもと違うというならちょっと寄り道。売ってる人も物も価格も、全てが90年代のままといった感じで少し苦い感じはするけど一応漁る。スポンジボブがあったから仲良しのママ友に報告、夫もごっちゃんに報告していたらしい。さっきのひかる君も人伝に聞いただけで自分はまだ見ていなかったようで、北から南からいつものメンツがまた集結してきて、高円寺内のこのハンターネットワークに笑ってしまう。衣装ケースの蓋にガサッと盛られたキーチェーン類からファミマのロドニーか描いたキャラをみつける。いま見るとなんだかとても良い気がする。ごっちゃんがコイツも仲間じゃないっすかね?ともう一人見つけ出してくれた。ごっちゃんはロドニーも知らないと言うけどさすが、鼻は効く。一番気に入ったパニーニちゃんだけを購入。起きてきた子は昔のディズニーのハッピーミールトイをさわっていたけど、買うとなったらオールドポニーの人形を欲しがって、一応値段をきくと子が欲しいのは中でも一番高いポニーで、またママ友と、本当にお目が高すぎると感心してしまう。が、買えない。今時バージョンのマイリトルポニーのキーホルダーを買う。外は薄暗くなってきたけど中野に向かいながら、今日の集合っぷりを思い出してもう一度夫と笑い話にする。高円寺内で経済まわしてるのは良いと、自分達もその歯車のなかにいる実感。ブロードウェイの地下で肉を買い、晩ご飯は家で焼肉。

夜、気になってロドニーのグッズを検索しまくり。パラッパラッパーからパフィーと、かなり一世を風靡した感はあるけど全く再評価されていない感じが久しぶりにワクワクする。ごっちゃんが見つけてくれたやつ、私はアジア系のキャラの予感に買おうか迷って、でも店の人がもの知り顔してメキシコのですね、と言うからやめてしまったけど、調べたらやっぱりアジアごはんキャラだった。私が唯一そこそこ自信をもてるジャンルがその時代のキャラクター市場なのに、自分の勘を信じられなかったのが悔しい。

 

11/2

平日だけど代休日で園は休み。世間的にも四連休にしている人も多いとテレビで言っていた。結局日々ちょこちょことと近所を出歩いているだけで、思い切ったお出掛けしてあげられず、今日は平日休みなのに勿体ないような、と思うものの、天気がいまいちで張り切れない。子も、なんだか調子が悪そうに口数もなく、起きてからもずっと縮こまって寝転んでいる。こんなことは珍しい。静かに過ごす午前。途中でやめるの新作UPメールに、目白の方?のドトール文学がのっていて、水戸のドトールというワードを目にして私の苦々しい思い出が蘇る。高校生のとき、ドトールのミルクレープを食べる目的で水戸に行った。うちは茨城でも千葉寄りで、水戸までは各停のローカル線で1時間半ほどかかる。東京までは高速バスで2時間くらいだから、ショッピングともなれば抵抗さえなければ東京に出て行く人がほとんど。でも友達同士で東京に出ても、例えば目的の109とかラフォーレとかなら行けるけど、それ以外周りをキョロキョロするような余裕なんてない田舎者でもあったから、食べるのに入る店なんて大概マクドナルドとかロッテリア。それが水戸となれば気持ちに余裕もあるから、当時はドトールとも何とも知らずに、確か駅ビルの入り口にあった店先に貼り出されていたポスターのミルクレープが視界に入って、友達と二人「これ美味しそう!」とはしゃいで、また後日それを食べに行くためだけに水戸行きを決行したのだった。何もない田舎にいると都市部に出るなら買い物して何かを手に入れることばかりに必死になるもので、それなのに自分達は後には残らない食べるだけの行為を目的にできちゃうなんて、田舎の価値観を飛び越えたところにいけている自分に盛り上がっているところもあった。たかがドトールのミルクレープなのに。田舎者の私達の多くは食べ物すらも自由に選ぶことを知らなかった気がする。近所にコンビニもなかった時代。そうして水戸に行ったことは覚えてる。でもミルクレープを本当に食べたのか実ははっきりとは覚えがない。食べたような気もするし食べてない気もする。でもやっぱり丸い高いテーブルに友達と二人向かい合って座った、ような気もする。記憶から抹消するくらい気恥ずかしい思いをしたのかもしれない。それが私のはじめてのドトール。でも目白の方の話だと県内に5店舗とのことだから、この時に触れられたのはむしろ早かったんじゃないかと思えた。

子が少し調子を取り戻してきた。久しぶりにプリンセスパソコンを開いて熱心に何かやっているから、お昼ごはんは片手で食べられるようにおにぎりにしてあげると、オフィスで働く忙しい人みたいになった。もうすっかり元気そうなので吉祥寺の屋内遊具施設に行こうかというとさらに元気になった。ソフィアのバッグに自分の持ち物を詰める。最近は何を着てもどこに行くにもこのソフィアのバッグを使っている。大きさが子どもにちょうど良い。マジックテープで蓋が簡単に閉められるのも良い。売り物だとこうして子供が使うのにちょうど良いものが意外と無い。ムック本とかの付録だったのだろうか。高円寺から電車で行く。道中がすでに嬉しそうで、来てよかったなと思う。アスレチックみたいな遊具の滑り台下のボールプールが復活していて、一日使い放題パックも復活していた。平日だけど同じくらいの年頃らしい子供達で賑わっている。気の合う子ができたらしく、なんとなく一緒に遊んだり。その子はお友達と来ていたようで、たまに居なくなったけど、気づくとまた二人で連んでいて、とうとうお友達が帰っても二人で遊び続けた。お母さんに何時までか聞きながら世間話。今日が休園なのは三鷹市だけかと思ってたという。その親子は以前に杉並にも住んでいたらしく、やっぱり杉並は子育て支援が手厚くていいですねと言われる。三鷹とか武蔵野とかの方が子供がのびのび暮らせる環境な印象があるけど、支援はそうでもないようで、税収が違うのかなぁと話していた。たくさん遊んでくれてありがとうとお別れして帰る。子はお腹ペコペコと非常にご機嫌、ココスに入る。席につくなりラスカルのぬりえを持って来てくれる。昔はたまに仕事帰りに初台まで出てココスのドリンクバーで過ごした。ココスのドリンクバーは最高。茶葉の種類が豊富。しかも初台のココスは半円形のソファー席もあって特別な感じがあった。いつのことやら閉店していて、どちらにせよもう行くことはなかっただろうけど、気軽にいける程度の店であの半円形のソファー席は他では見ない。少し恋しくて寂しくなった。

雨がパラパラ、帰りは濡れる覚悟だったけど思ったより降らなくてよかった。児童館の頃よく遊んでくれていた小学生と塾帰りだとかで出会う。元々しっかりして大人びていたけど、服装なんかも子供服を越えて小洒落ていて、もうすっかりお姉さん、知らなければ小学生とも気づかないかもしれない。東京の子という感じ。こんなに何でもある街並みを見ながら生きてきて、私達と対等に話せるくらい、もう知らないものは無いといった感じだけど、高円寺にドトールはない。サンマルクチョコクロは知っていても、ドトールのミルクレープは、まだ気付いていないかもしれない。

 

11/3

今日も家遊びを決め込むつもりの子。昼間のうちに少しでも外に出ようと声をかけ続けても頑として家で遊びたいという。夫がごはん食べに行こうと誘ってもダメで、そうして二人して外出を促していると子が可哀想になってきた。夫にごはん食べたいならひとりで行ってきていいよ、あとは交代して外に出るか、と話し合っていると、子がうっすら涙しながら消え入りそうな声で「行く…」と言うものだからなんだか罪悪感。ところが出たら出たで元気に、お蕎麦食べたい!と騒ぐ。外のお蕎麦食べようかと江戸丸に向かうも今日はもうお終いとのこと。この中途半端な時間で簡単に食べるもの。こないだ気になっていたテリー伊藤の唐揚げ屋に行ってみる。カウンター席4つしかないから逆に食べようとする人もいない感じで穴場。唐揚げ丼と唐揚げ定食、唐揚げは1個から食べれる。唐揚げ丼、子には唐揚げ1個と、テリーといえばの玉子焼き。子はどちらも美味しいと満足してたけど、丼はタレが多過ぎて味が濃い、スプーンのサジが大き過ぎて食べづらかった、というのが私の感想。その後は今日は夫が公園で遊び私は街をブラブラ。いつも行く古着屋を一件じっくり見たところで、ママ友から子供服の店でフリマの最終日でお買い得になってるよ、との報告があったので行ってみる。けれどとくに収穫なし。ぶらつきながら街中に戻ると、実はあちこちの店先で個人的なフリマを開催しているのが目につく。そんな街は頼もしくて嬉しくなる。公園に行くとたくさんの親子に混じって子も元気に遊んでいた。一番大きな遊具では何やら撮影みたいなことをしている人達が見える。夫が「あれ徳利さんだよ」とふつうに言ってきて逆に私がソワソワする。なぜなら子が徳利さんのAZARASHIという曲をわりと気に入っているのかたまに歌っている。子と共通の知ってる人という気持ち。あの人、アザラシの人だよ!と伝えると、やはり少し興味深そうに撮影しているところへ歩み寄ってなんとなく様子を伺いに行く。まだ撮影してるから声かけるならまた後でだね、とひとまず退散。子と夫は今度は中華食堂一番館にポテトを食べに行くという。子がココスのサクサクポテトを気に入っていて、スシローのタイプだよねと私が言うと、夫が一番館も確かそれ系なんだよと言って子を誘っていた。ポテトとコーラのために一番館へ。私は引き続き街歩き。食べ終わる頃を見計らって高野、サンドラッグあたりをぶらぶら。もういつでも買える日常になると再び切羽詰まらないと買う気になれない日常になる。野菜も何かしらあるしシャンプーもまだ大丈夫。一番館から出てきた子は、今日出かけないと言っていたとはとても思えないくらい上機嫌。夫が言うには、店でテレビがついていて、子はずっと家みたいといって喜んでいたらしい。もう一度公園を覗くも徳利さんはすでに居なくなっていて、さっきもいた子供達がやいのやいの場所を広げて遊んでいるだけだった。トータル数時間は一人時間だったはずだけど、無駄に街歩きをしてしまったことがなんだかな、という一日。いまは落ち着いて本を読んだり調べものをしたりすることに時間をあてたいと思っている。けれどそんな時間は誰だって欲しいもの。だからそんな図々しいこと、なかなか声に出しにくい。帰ったら再び夫は外出、やはり私が落ち着く時間は無し。夜は疲れ果てて寝るだけ。それでも明日から幼稚園なことが頭のどこかにあるもので、夜中にハッと目覚めてフラフラしながらお米を用意、炊飯予約して再び寝る。

 

11/4

幼稚園に向かう時間は、テレビ絵本が終わってみんなのうたが始まるところで出るとちょうどよい。歌がはじまるより前だと早くてもっといいけれど、現実はみんなのうたの一曲目が流れているのを耳にしながら家を出る。それからエレベーターや横断歩道の信号待ちで、さらに遅れたと焦って足早に向かうけど、その誤差は電車一本分もないのか、どこかしらで毎朝同じ人とすれ違う。幼稚園近く、最後に曲がる角にあるアパートに住んでいる人で、毎日そのアパート下にある自販機で飲み物を買ってから出勤していく男性。又吉みたいな髪型だったのに、今朝すれ違ったら丸っこいヘアスタイル、ヨーロッパ企画の俳優さんに似た感じの髪型にイメチェンしていた。一度帰って後でまた来て保護者会。2部制。今日は月曜じゃないからそのまま降園じゃなくて、また帰ってまたお迎えにこなきゃならない。

保護者会。「あなた方は地の塩である。」「あなた方は世の光である。」存在が救いになるということだろうか。家に戻ってエレベーターを降りるとフロアの廊下が掃除中。部屋の前にごっそり荷物を置いているのが気まずくて踵を返してそのままスーパーに行く。早い時間のスーパーは惣菜コーナーの天かすチャンス。どこのスーパーでも夕方には大体売り切れてるけど、買ってる人の姿は見たことない。皆んなお宝を見つけたようにサッと手にして立ち去るのか。天かすを買えて賢者モードで戻ると廊下掃除は終了していて無事家に帰れる。お迎え前におやつを用意。帰ってから自分で好きなものを食べさせていたけど、今日は図書館だし用意しておいてみる。

お迎えから寄り道しないで真っ直ぐ帰れて、テーブルの上に用意されたおやつを見て嬉しそう。好きなものをガサガサ食べるより少量なのに納得してる。いつもより余裕もって図書館に行ったらお友達がひとりも来ていない。真ん中の真ん前の席に座って待ち構えるけど少し不安げ。お友達もやってきてひと安心。今日は図書館の職員の人だけでスムーズな進行で終わる。絵本を選んで仲良し親子と公園へ移動。いつもの公園は小学生で賑わっていて遊び辛そう、ってことで線路の向こう側の公園まで。園の一学年上の子がその公園でのサッカークラブ後で遊んでいた。ママと挨拶。この人は小学生のお姉ちゃんもいて、ママ的には先輩だけど若々しく可愛いママ。仲良しのママ友がいる強みでお喋りから年齢話に触れてみると、私達とはほぼひと回りの年の差。何から何まで違うわけだけど、自分でどうにもならない決定的な違いが、東京出身。それも吉祥寺。彼女が上の子を出産した年頃の私達なんて、東京ライフも油が乗ってそれはもう好き放題遊んでいて、出産どころか結婚のけの字も知らん顔していて当然だった。生まれ落ちた瞬間から東京の洗練された街中にいた彼女にしてみれば、この環境に特別浮かれることもないから、その歳頃で次の段階にいくことも現実としてみえていたのもわかる。自分の時間の流れに後悔はないけど、こういう時、夫がよく言う「東京生まれはそれだけで才能」という言葉が頭のなかに響き渡る。それを打ち消すように5時のチャイムが鳴って解散。

夜、猫が足から血を流しているのを夫が発見。イボのような血豆のようなのが、複雑な場所にできている。明日朝から病院に行こうと話し合う。

 

11/5

家族皆で猫を連れて幼稚園に子を送り、そのあしで行きつけの動物病院へ行く、ということをしたかったけどそのクリニックは木曜休診日だった。以前住んでいた家の方にあって猫を譲り受けた病院だ。幼稚園まで猫を連れて行けるのを子も楽しみにしていたけど、一刻も早く診てもらいたいから近所の別のところに行くことにして、いつも通り登園。家に戻ってから、近所とはいえ一応病院に電話して確認してみると、予約が入っているから待つことになるというので11時半に予約をする。もう行ってしまおうかと何度も夫と話しながらようやく時間がきた。夫がメッシュのリュックに入れて、坂の下のクリニックに歩きで向かう。家を出た時は廊下に鳴き声が響きわたっていたけど、外に出たら観念したように静か。前に動物病院に行ったのはちょうど一年前くらいだった。お腹のハゲが気になってきた頃だ。結局ストレスだろうということで、とくに対策もなく、いまだお腹の毛は無いまま。せっかく別のところへ行くからそのこともまた聞いてみるつもり。クリニックは他に誰もいないのになぜか診察までなかなか待つ。診察に入るも猫の様子をみるより、病気の場合の事例だとか猫の習性だとか、とにかく話が長い。いまいち頼りないけど検査は数値として出てくる確かなものだろうから、それさえやってもらえればいい。夫も私も黙ったまま、そこからさらに待つ。一時を回った頃、ようやく紙を手にして先生が出てきて、異常は無かったから、ただイボを傷つけてしまったのだろう、というだけで済んだ。ひと安心。あとはこの会計が気になるだけ。でもお迎え前にお昼ごはんを食べたいからあとは夫に任せて先に帰る。カラーをつけてしおらしくなってる猫の帰りを見届けてお迎え、のあとは公園。1時間くらい遊んだところで、カラーをつけた猫の写真見せて、「ほら、ムーちゃんこんななんだよ、可哀想だからちゅ〜る買って帰ろう」と帰りを促すと、これは大変だと張り切って帰る。そうなると思って写真を撮ってきたのだ。薬局に寄って4本入りか大量パックか、可哀想だから奮発して大量パックちゅ〜るを買う。帰って今日も用意をしてあるおやつの前に子が座る。その脇でちゅ〜るを出すと猫も隣にやってきて、構わずおとなしく食べ出す。いつもは子の勢いがあるうちはあまり近くに寄ってこないけど、弱っているからかそんなことも気にしていられないらしい。今日はなんだかずっと近くにいる。ごはんを食べづらそうにしていたから、夕飯もカリカリごはんを子の横に持ってきてカラー内におさまるように容器を差し出すと同じテーブルを囲んで一緒に食べた。

 

11/6

今日のお昼は訳あって荻窪にラーメンを食べに行く。自転車で行こうと思っていたけど夫も誘って仕事の区切りを待っていたらお昼時間ギリギリになってしまったので電車で。店の場所はマップで見ただけだから距離感が分からず足早に歩く。思ったよりは遠い気がして不安になった頃見えてきた。開いてるのか?分からないくらいひっそりとした佇まいだけど営業中の札が下がっているのはデカデカとみえる。どんな店だろうとここは食べると決めているから脇目もふらず中に入る。こざっぱりした店内。記憶のなかの昭和の店のように薄暗い。席につくなりラーメンを注文。夫は少し考えてつけそば。メニューはとてもシンプルで、トッピングに差があるくらいで迷いようもないのが良い。昼時ど真ん中だけど程よくまばらに人がいるくらいで居心地は良い。カウンター席がいくつかとテーブル席が三つ。4人席の斜向かいに座る男性同士が口もきかないし食べるペースも違うようでおや?と思うとどうやらただの相席同士。なんと。このご時世にこの相席がまかり通ってしまう世界。作業着の人や脂ぎっていないサラリーマン風情の人、何の最中か分からないおじさん、客がいなたいのもまた良し。若い女性が2人も働いているアンバランスさも気になる。といったところでラーメン。見た目なんの変哲もないラーメン。しかしチャーシューもメンマもとろとろで美味しい。これは好み。私は自ら普通の醤油ラーメン店を選ぶことはしない。せっかくの外食で醤油ラーメンを選ぶなんて勿体ない気がしてしまう。それでは家で醤油ラーメンを食べるのかといったらそんなことでもなくて、単に醤油ラーメンに魅力を感じない自分の好みの問題でもある。でもいまこれを素直に美味しいと思えるとは、私も胃がアダルトになったのかなという気がした。夫が食べる手を止めてしみじみしながら「旨いわ」とぼそりと言った。これは本当に満足した時の仕草。人が入れ替わり出入りしても、とくに活気づくこともなく、皆一様にズルズルと静かにラーメンをすすっている。私達が出るころおばさんが一人で入ってきてスッと座った。今どきのラーメン屋では見ることがない光景だなと思う。こうした店が生き残っているのが東京だなという感じがした。田舎だと逆にやっていけなくなる。練馬のおじいちゃんが亡くなるまで行きつけていたような店にもよく似てる。地元の人がこれを最後の晩餐に選びたいのもよく分かった。駅に向かうこの通り沿いには中華そばを扱うチェーン店もあって、ビカビカと明るく照られた店内には、若者やら働く人やらどこでもよく見るような人達で賑わっていた。どちらもわざわざ食べに来るような店ではないかもだけど、どちらも存在して人が行き交う平日昼間も生きた街。これこそ私の理想とした東京だったなとあらためて思い出した。渋谷や新宿みたいな明らかな繁華街は別物で、生活する街が賑わっていることにこそ東京を感じる。この空気のなかにいられる自分を小さい頃から夢見ていたような気がする。何をどうしたいというよりもまず、いつまでもこの空の下にいたい。

今日もお迎えの後は公園。みーちゃんのポシェットを見て自分もバッグが欲しくなり、取ってきてと言われて私だけ急ぎ足で帰って、いつものバッグを取りにいき、自転車で公園に戻る。それから上機嫌で散々遊んだので、聞き分けがいいうちに矯正歯科にゴムを貰いに行く。今朝電話して用意はしてもらっている。クリニックに入ると靴を脱ぐこともなく玄関口まで先生が持ってきてくれた。怠けていたのでようやく一袋が終わります、と言い訳しながら二袋を受け取る。頑張りますと言う先生は、いやいやそんなプレッシャーにしないでいいからと、このことになるとやたら気を遣ってくれる。それにしても相当ゴム掛けしてないけど。必ず半日はしていない。ゴム掛けしないで寝てしまう日もある。本当のことは言えない。クジで当てた商品券を使おうとそのスーパーに寄ったけど、今日に限って500円分も買い物できず、結局現金払いにした。帰ってハム太郎を見ながら、のんびり夕飯にしようかと思っていたら夫から高円寺のブルーシールがオープンしてると連絡。今ならアイスを買うと駄菓子が貰えるらしい。このブルーシールをオープンさせた会社はうちの方にある駄菓子屋らしくて、二階にはなぜかパンクショップを作った。それもこれもウロウロすることが多い夫からの情報で前から気になっていた。アイス屋さん開いたってと子に話すと今行きたい!というものだから、金曜だし、踏ん張って6時頃に家を出る。ブルーシールの前にはすでに人集り。二階を先に見に行くと懐かしい感じのバンドTシャツがきれいにパッケージされて並べられていた。狭さとか内装とか雰囲気あって良きだけど、置いてる物はどっちらけ。今さらこれ高円寺を舐めてんのか、とも思うけどこれくらいまた定型の店があっても街づくりにはアリなのかなとも思ったり。下に戻ると夫と子がすでにアイスを買って駄菓子をもらうところだった。この系列の駄菓子屋は最近二店舗目もできたところで、Eテレでも「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」というアニメがはじまり、小学生を煽るかのように図書館の児童書コーナーにデカデカとポスターが貼られ、駄菓子屋ブームの兆しがある。鬼滅の刃だとかで和っぽい文化ならなんでもイケるという空気があるんだろうか。店のまわりでアイスを食べていると次から次と人がブルーシールに引き寄せられていて、高円寺民どこにそんなお金隠し持ってたんだ!と思う。まだ7時前だから高野を見ながらユータカラヤまで。以前から高円寺北口側はよりネイティブな人が利用するという印象があったから近寄りがたかったけど、生鮮食品、安いのに質も良さげ。高野からOK、三平、そしてブロードウェイの地下と転々としてきたけど、これは確かにユータカラヤに落ち着くかもしれない。肉を買って、また家で焼肉にするかという話になったら、子がそれなら子どもビール!と言い出すから会計を夫に任せてイオンリカーへ。ヒロセの前を通るとサンドイッチが120円になっていて、ぼんやり見てると、おじさんがトングにラスクを二枚挟んで、お母さんどうぞ、と手を伸ばして寄越してくる。そういえばヒロセはそんな店だったような、うろ覚えだけど、移転前の以前は阿波おどりサブレをくれていたような気がしなくもない。分厚い裸ラスク、いま食べるしかない。ありがとうございます、と貰ったからにはすぐに立ち去れず、またショーケースをしばらく見つめて、もう一度サンドイッチが、と子に言うけどきっぱり要らない、とのことでチラチラおじさんの方を見ながら立ち去る。おじさんは気にせず少しでも店に目をやりながら通りすぎる人にラスクを勧めていた。子が美味しい美味しいと、ばりぼりラスクを食べる。私が一口かじったラスクも食べる。このラスク世界一美味しい、明日買う!とまで言っていた。子の思い出の味がヒロセのラスクだなんて、いいなぁ高円寺だなぁと目を細めてしまう。

 

11/7

仕事関係もあって区の情報を漁っていたら今日明日がすぎなみフェスタだということを知る。去年お仕事の誘いも受けてはじめて行って、雰囲気は大体わかるけど、食の出店が中心で子供のための出店はバルーンやお面など割と高めのアイテムが目立つ。メインはプリキュアやヒーローもののショーだけど、今年は人が殺到してしまうのを避けてか、それらは予定にない。となると、遠いしそこまで熱心に行く必要ないと思ったけど、別会場の学校の体育館で巨大迷路があるらしい。それはきっと喜ぶ。ちょうどママ友から別の話で連絡があったから、このフェスのことを教えると、まさに今それを言おうとしていたと、今出先から電車とバスで向かっているとのこと。そう、何より遠いのがネックで重い腰があがらない。時間通りに乗り継ぎしなきゃならないのは嫌だし、かといって自転車でも駅前のゴチャッとしたところをいくつも通り越さないとならないのもしんどい。でも他に何があるでもないんだし、何より動きまわってくれるであろう巨大迷路が魅力。誘うと行きたい!と珍しく前向きでもある。お昼頃出発。信号待ちで携帯をみるとママ友からの「久々の祭り感!」という連絡に、やっぱり人が多いんだなとすでに気持ちが疲れる。損の無いように取りこぼしがないように、と思ってあちこちしちゃうから疲れるのであって、とにかく今回は迷路さえやれれば良いだろうと自分に喝をいれる。各企業ブースなんかでは子ども向け体験やゲームやらがあって何か貰えたりする。それに付き合っていたらそりゃ疲れるわけで。自転車では南阿佐ヶ谷から荻窪で一回キツくて、荻窪に入ったらどこまでも人が多くてキツい。迷路会場には昼時に着いたから人が少なめかと思いきや、全然そんなことはなく少し並ぶ。100円の段ボール迷路会場には見合わない立派なサーモグラフィーの検温。人数のバランスをとりながら入場させているから待たされていたようで、なかは混雑してる感じが全くなくて、動きの激しい小学生とかち合わない限り存分に迷路を行き来できそう。大人は周りで観覧するしかできないのも良い。今こそチャンスとボケーっと座っている人もいれば、段ボール外から大声であっちだこっちだと声かけながら一緒に楽しんでいる風の人もいて色々。私は立ち見をしていたけど自分の背丈では指示するほど形が見えないし役には立たない。なかなか出てこれなくてたまに顔を覗かせる子に「ほら、誰か大きい子にくっついて行ってみな」とアドバイスをするだけ。小学生でも誰でもが出来るわけでもないから、途中壁を少し破壊して通り道にされている箇所がいくつかあって、そこをすり抜けることを知った我が子は、後半部分で出会った同じくらいの年頃の女の子と二人でそんな道を通りながらなんとかゴールしてきた。約1時間経過していた。ゴールした途端に気が緩んだらしく、その女の子は泣きだしてお母さんに抱っこされながら去っていった。子は興奮するほど満喫していてよかった。広場のほうも行ってみるとバルーンのブースがはじめに目につくようになっていて、まずは欲しいと口にするけど、ぷよぷよすくい(200円)もあるよと売り込む。夏にできなかったぷよぷよすくいへの想いを今こそ発散してほしい。すぐに気持ちが切り替わって良かった。連絡をくれたママ友からの、誘導ミスでキャラクターのバルーンを買ってしまったとの報告に、今日は会わないほうがいいねと判断して、うっかり遭遇しないように連絡を取り合いながら行動した。食べ物こそ熱心に選ぶ気になれず、子のリクエスト通りにロングポテトだけ買ってあげる。すべて杉並内の店だし、その気になればいつでも食べれる。のんびりポテトを食べてお終い。ここまで来たとき恒例のおっぱいパンの店に寄ったけど売り切れで、虫に見立てたコロネやメロンパンを買って帰る。荻窪駅を過ぎて、新しい図書館に寄るか寄らないかで話し合いながら信号待ちしていると、車道側で待機している自転車の人が知ってる人の顔。昔のスーパーオールド周りで仲良くしてもらった人。でももう高円寺には住んでいなくて、確か西武池袋線の市の方に住んでいるはずで、でも似ている。声をかけたいけど向こうは覚えていないかもしれない。信号待ち中という絶好のギャラリーがいるなかで、自分の説明からしなきゃならないかもしれないドラマを繰り広げる自信もなく、迷っている間に信号が替わって一斉に走り出してしまった、うえに結局こちらは図書館に寄りたいってことで方向転換。あれはクロちゃんか。今さらわざわざ確認することでもないけど、これを機会にえみちゃんか、春に再会したハルチンか、誰かにまた連絡してみようかと思いながら、ひとまず図書館でいくつか絵本を読んで帰る。家に着く頃には寝てしまった子を揺さぶっても起きない。抱っこして帰って荷物も置いて、ひと息ついた途端に目を覚ます。パンを食べたりお菓子を食べたり、また中途半端な時間に腹ごしらえ。適当につけていたテレビをミュージックフェアにすると、大竹しのぶが目をひん剥いて中島みゆきのファイトを歌っていて怖い。紅白の愛の讃歌は分かるけど、同じテンションでファイト歌われても。音量を小さいままにしていて声があまり聞こえないから良さが伝わらないだけなのか、でも私はファイトはその熱量じゃないほうが好きだ。夫はそんな大竹しのぶの様子にもかまわず自分の準備をして、久しぶりの演奏のために新宿に出ていった。出掛ける前に、子にしっかり出掛けてくるからねと伝えてもらうことにした。お父さんが居ないとダメというわけではないけど、黙っていなくなるとこれが案外気にするもので、なぜいないのか、いつ帰るのか、どうして挨拶なくいなくなったのか、何かしら思うところがあるらしい。やっぱり共に生活する人間には予定を伝えるべきだよなとあらためて思う。帰りは夜遅いからねと言えば、待てる時間じゃないんだなと、見通しがつくと子どもながらに安心なのだろう。お父さんいないね、とか、ひとつも気にすることなく夜が過ぎる。引き続きテレビを観ているとドミノピザを一流料理人がジャッジしていて、つい見入ってしまったら、その結果にのまれてドミノピザがあまり魅力的にみえなくなった。そういえば、1回目のGOtoキャンペーンのポイントはどうなったか確認すると本当に入っていた、3000ポイント。×人数として子どもの分も加算されている。凄い!

 

11/8

あんなに楽しんでいた迷路のこと、私も忘れられない。今日もやれるよと言ってあげると喜んでその気になっているから、あとは早く家を出るようにせっつく。はじめは今日は夫がいるし二人で行ってもらおうと思ったけど、あんなに離れた場所でその二人行動というのは不安でもある。イベント慣れしていない夫では満足に遊ばせられないかもしれない。結局自分の目で見ていないと気が済まなくて、私も行くことにする。昨日と同じ心持ちで会場までたどり着く。迷路の行列が校舎から飛び出して最後尾の看板を持った人が活躍するほど昨日よりずっと人が多い。夫と子はもうひとつの会場に向かわせて私が並ぶ。このためには三人いてよかった。40分待ちでーす、とスタッフの人が列に伝えに来たのに、意外と列はずんずん進む。急いで戻るように夫に連絡。やって来るなり不満をたれる。あんな広さで何がどうなのかも分からないのにこんな短時間で見てこいと言われても、と怒っているけど、関心も持たずにいるから想像もつかないのだろう、そこらを行き交う人も多くどう見ても大規模イベントでしょうに。今日も迷路を存分に楽しんで、ズルもしないでゴールもできた。本会場に行くとお友達に会って、持ってる風船を見るとやっぱり自分も何かやりたい、持ちたいと。風船買われるより小ぶりなほうがまだマシ、ってことでぷよぷよすくい。せっかくお祭り気分の場所で、ためらうほどの高値じゃないなら、ある程度その空気に乗っかっておいたほうが思い出として成立する。非日常空間で日常の価値観持ち出して使い分けてしまうのは、物を知ってる大人だけならいいけど、子どもの記憶を混乱させてしまう。年少のときに親子遠足があって、解散後は自由だったけれど、また別のエンタメを盛りこんでしまった人達は、子どもに聞くと遠足の思い出が塗り替えられてしまっているから、色々を詰め込むのはあまり良くないと先生が話していた。それから私はどんなちょっとしたやつでも子どもを取り巻くイベントにきている自覚をもつようになったかもしれない。お腹空いたといって、ここを出て食べに行こうかというのはなんか違う。はっきりしない夫と子はそこで待たせて、独断でラムネとフランクフルトと焼うどんを買ってきたら、子がすごく嬉しそうに、こういうことがしたかったとモリモリ頬張ってから、水がせせらぐ用水路のような川のようなところで遊んだり、野外イベントを充実させれたと思う。帰り道はもちろん寝た。阿佐ヶ谷でパン屋に寄り道。週末限定価格のコッペパンなどを買ってみる。北側のほうに古着屋とか新しい店も出来たらしいね、ということで少し街を見に移動。コンコ堂の近くに自転車を停めて交代でぶらついていると、緩やかな坂下からアイスを食べながらやってくる人の多いこと多いこと。何かあるぞと夫に教えて自転車で下ってみると、人がわらわらといるお洒落な店があった。ここだここだと遠巻きに眺めてみると、店先のベンチに座って食べてる子が知り合いな気もして目が離せないでいると向こうもハッとして、あ!となった相手はハルチン。ちょうど昨日連絡しようか迷った人とここで出会えるとは。ハルチンは東京が地元だから、今も高校の同級生と三人で連んでいた。このジェラート屋は有名らしい。いかにもポパイらしくもある。アイスを買って出てきた夫が「シャムキャッツの夏目くんが阿佐ヶ谷のアイス屋でバイトしてたって何かで見たけど、それがここなんだね」というと、皆んなが、キャ〜そうなのねー!みたいなリアクション、なるほど。ハルチンに昨日クロちゃんみたいな人をみた話をして確認してもらうことになった。分かったところで何ともならないけど、あの頃の高円寺の顔が今もどこかで確かに暮らしていることを感じたい。クロちゃんも私も、スーパーオールドで働いていたわけじゃないけど、なぜかそこでは皆んなが友達になれた。クロちゃんは店長だったきよみちゃんの親友で、それともう一人名前は忘れちゃったけどたまに来ていた友人と三人、ラフィンのナオキの追っかけ仲間だったという歴史込みで憧れてしまう高円寺姉さん達だった。気付いたらナオキどころかゴリゴリのジャパコアに浸かってるけどねと笑って、顔を背けたくなるようなボロボロの大人達をいつも優しく嗜めるように相手していた光景が懐かしい。あの頃のきよみちゃん達の年齢も遠に過ぎたのか?私も。そうして思い出す高円寺の絵面はなんか汚い。汚い人がいっぱいだった。今も今でいいけど、あの汚い高円寺、また見たい。

ジェラートを食べ終えて写真とってお別れ。ハルチンのお友達はいまイケてるらしい湯気という中華屋に行くとのことだった。なるほど。自転車で走り出すと子がハルチンのことを「あの子また可愛かったね」と言う。子どもは色使いが華やかな女の人が好き。坂をあがってネオ書房。藤子スタジオのアシスタントがその頃のことを描いた漫画を買う。まんが道的なものはどうしても気になってしまう。うちのマンションの管理人として勤めている人が実は元漫画家。同じく藤子のアシスタントしていた人だ。それが発覚した時は焦った。関係ないようで繋がってもくるような人がこのマンションには集まっていて、なんというか磁場がすごい。もう少しで散り散りになってしまうのが寂しい。阿佐ヶ谷駅前から高架下で高円寺まで移動。最近お馴染みになったユータカラヤでまた肉を購入。味をしめて家族揃ったときの家焼肉。

夜、ハルチンから「クロちゃんは本人だった!」と連絡。この辺りで働いているのかと思いきや、西東京から新宿まで自転車で向かう通過地点だったらしい。「土曜は新宿までチャリで行ってる、20キロくらいかな。けっこうなスピードだけど今度は声かけて!」て、高円寺離れてもやっぱりとんでもない生活で、なんだか嬉しくなってしまった。