どうにもならない日

こんなはずじゃなかった2020年からの生きる記録

2021年8月16日〜8月22日

8/16

朝9時、離婚や養育についての区の無料法律相談に電話してみる。話に行く予約をとるつもりでいたら電話口の人が早速離婚の流れについて、本当に話し合いはできているのか、いま急いで離婚しなくてはならない理由はなんなのかと色々突っ込んでくる。そこまで揉めてる話ではなくて〜といった感じにヘラヘラと私が取り繕って話すと、ふーん、と夫の望みについていまいち解せないといった様子で話ながらも、まぁ一応説明しますけど、と私の質問に答えてくれた。離婚をしても名前を変えないことは出来る、その方が養育していくうえで煩わしいことはないとして賛成してくれた。それではいつか旧姓に戻すことができるのか、これについては詳しく事例なども含めて調べないとここでは判断できない、とのこと。とりあえずスッキリはした、が正味40分。通話代が怖い。届出用紙については区役所に行ってもらうしかないとのこと。今日も天気が怪しくて行けるかどうか。子はお昼に王将弁当が食べたいと言っていて、ひとまず買い物がてら高円寺まで出て、いけるようなら用紙を取りにいこうと思う。

お昼、まずはABCマート。買うことに決めたニューバランスは子がやっぱりネズミ色がいいとのことでグレーを買う。いかにもABCらしい小慣れた店員さんでなく、台本を棒読みのような硬さで無表情の店員さんの対応で少し戸惑う。やはりどうせ同じ額の買い物するなら少しでも華やかに対応してもらえた方が嬉しい気がする。おまけに、非接触のためにコード払いを選んでいるのに、わざわざスマホを手で触って持っていかれて、え!となる。コロナ禍においてスマホを触られるなんて現金よりもカードよりも最も嫌じゃないか。気持ちは落ちたまま手持ちのアルコールティッシュで拭いてユータカラヤで牛乳など買い物。レジはこんな昼から行列。いつなら空いてるんだここは。街並みはまだお盆休みの店も多い。ようやく王将を買いに行った時には再び雨が降り出してしまった。急いで帰宅。期間限定の王将の子ども弁当、餃子2つと唐揚げとシャウエッセン、それだけでも広げるとたちまち懐かしい王将の匂いがした。届いていたサンリオのキャラクター図鑑に子が夢中になっている間に、離婚届について調べると全国共通なのでどこで貰ってもいいらしい。夫は三鷹に行っている。三鷹は駅前が栄えているし、そのあたりに市政窓口がありそうだと思って、こちらは雨で取りに行けなかったけどそんな手もあると報告しておく。サンリオ図鑑は、昔私が古本屋で買ったやつに子がハマったけどポムポムプリンの時代までしかなかったから、シナモンやクロミが登場するものを探してなんとか手頃な値段で買えたのだった。70年代のキャラクターから載ってはいるけど新しいテイストになっていて、いまいち味がない気がした。子も昔の図鑑のイラストだからこそ良かったみたい。

夕方。雨があがりかけで用紙を取りに行こうか、念のため夫に連絡してみると貰ったとのこと。ならばこちらは散歩代わりに歩いてオオゼキまで行く。帰り道はいつもと違う道を通ってみると、家まで数十メートルというところの植え込み付近に夫の自転車が投げ捨てられていた。一応連絡してみると、盗まれたとのことだった。子どもに傘を持たせて家の前まで運ぶと夫は帰ってきていて、用紙もらってきたよと差し出してくる。急いでるんだよね?と話し合って早速書くことになった。子が、帰ってすぐお風呂にしてその後ごはんにするんだと言っていたけど、叶えてあげられそうもない。何か間違いがあるからもしれないから一枚は自分達のところを空白のままにして、夫は証人をごっちゃんにお願いすると言って、今行ってくる、と出て行った。私はごはんの準備をしながらマサコさんに電話。この話になった当初は証人の一人はマサコさんにお願いしようと勝手に思っていたけど、書類の行き来が面倒になるし、この今の家族関係を話していた仲の良い近所のママ友にお願いすればいいかと思い直していたけど、とにかく報告はしたい。LINEするか話はゆっくり話せる時にするか、迷ったけど、まずはこの流れのなかに不手際はないか簡単に相談しようと思った。マサコさんは出先だけどいいよと話を聞いてくれて、周りにはこんな形の友人もいることを落ち着いて話してくれて心強かった。なんだか別居もできるような気持ちになってきた。ただ経済的にあり得ない。帰った夫に、ごっちゃんなんか言ってた?と聞くと、いや。何度かサインしたことあるって言ってたと、彼はそんな感じの熱量と距離感だからこそ付き合いやすいんだろうなというのが伺える。そしてそんな身近な人に関わった以上もう後に引くことはない。 夜、こちらもママ友にLINEしておく。千葉から帰ってきてから五日間は付き合いを警戒しなきゃと思っていたはずなのに、こうなってしまったらもうそんなこと気にしていられなくなった。コロナを用心するというのも日々にゆとりのある人しか出来ないものなんだろうなと思う。なんでこんなことになってしまったんだろう。私は何が不満だったんだろう。こうなった今は以前の自分の全てが羨ましくて、なんでもっと大事にできなかったんだろうと泣きながら寝た。

 


8/17

朝、実家から荷物が届く。今回はお菓子や日持ちするものの詰め合わせで素直にありがたい。だいたいいつもは、一家庭でそれはそんなに消費できないだろうという物量のバランスが悪い荷物で、届くたびにげんなりしてしまう。要不要の判断をするまでもなく備蓄できてしまう実家の人間はそういった一般的な感覚が欠落している。

再び区の相談に電話。離婚後にできればその足でやるべき手続きは他になにかあるかを聞く。相談窓口は離婚をする必要性があるのかということを言及してきていたけど、そのことはもう私になんと言われようと変えようがない。戸籍係に回してもらうと聞けば事務的に淡々と教えてくれた。まず今住んでいる区に提出するには戸籍謄本が必要になるから、戸籍のあるところに出した方が早いということがわかる。そして一人よりも二人で行く方がその場で確認取れるからスムーズだという。諸々手続きはどれくらいかかるのかと聞くとそれは曖昧。子どもを預けて手続きに行く人はどう算段すればいいのか、ちょっと不親切だなと思った。実際うちも二人揃って行くにあたって子を預けなくてはいけなくなる。ママ友にサインを貰うついでに子を見てもらえないかなぁとほんのり思っていた。じゃないと近場だといつものプラザの預かり保育に面談から手配しなきゃならない。今日の今日でうまくいくかどうか。だいたい、今日も一日天気が安定しないようで、何をするにも気がすすまないけど、夜に報告しておいたママ友と早朝からLINE上で話し合いにもなっていた。できることなら引き止めたいようなことなのに、ちゃんと話を聞かないでそう簡単にサインできないからと言ってくれていて、ようやく起きてきた夫にもそうしてもう一度話してみる。けどもう引き返せる話ではなくて、夫は本当に思い詰めていた。人間の基本である衣食住の食の部分に影響が出ていて、これはもう来るとこまで来てしまったんだと言って泣いた。私との関係がそこまで人を追い込んでいたなんて、それを聞いて私も素直に泣いて謝った。夫が私に期待しないこと我慢が上手いこと、分かっているから余計に辛かった。人としての相性がよくないんだろうなとあらためて思う。夫の優しさだけでここまできた。優しさのせいでここまで続いてしまったともいえる。もう言葉を重ねても無理な話で、同じ家を使って暮らすことだけが私の希望なのかなと思う。子どもが成長するまで、そうしてやり繰りして、いつか対等に付き合えたらいいと期待して。

雨が降ったり止んだりのなんだかんだ午後になってしまい、預かり保育は無理な状況でママ友に子を見ててもらえないかお願いしてみると本当に実行されてしまうのねと戸惑いながらも子と一緒にいてくれることは引き受けてくれた。友人の家に数人で泊まりにいったばかりだからどう距離をとろうかと考えていたことも、こんな非常時では完全に気にしていられなくなっていて、もう頭には毎日のように遊んでいる関係の人に心置きなく子どもを託せることが有り難いということしかなかった。コロナ禍になって二年、保育園ママからはこんな言葉を散々聞いてきた気がする。子どもと一緒にいられる、それだけで私は贅沢な暮らしだとあらためて思う。そのためにも今は次のステージへ進まなくてはいけない。ママ友のマンションのなかまでは初めて入る。遊んだ後にいつも元気に手を振って別れる場所で、ママ友は控えめな優しい声で私達を招き入れてくれた。子を残して私は隣りの区の役所へ、夫と落ち合う。他の窓口は待ち人がわらわらいるのに、私達の手続きはすぐに順番になった。離婚届を、と言って手渡しても、担当の人は表情もリアクションも微動だにせず、すんなりと進めてくれる。私は人前では強がれてしまうところがあるし、もうここまでくれば諦めついているからハキハキと話を聞ける。夫は力無い様子でゆっくり深く息を吸ったり吐いたり静かに座っていた。記入していた用紙の方で採用されたのでそこに判を押す。結婚する時につくった名前の実印が本当にこうして役立つことになるとは。たかが判子ひとつにも支えられる。一度退席させられてまた呼ばれるのを待つ。やっぱりこの窓口の静けさに、ふと暦を調べてみると仏滅で、主に婚姻届を出すこの窓口はだから空いてるのかと結論つけて、夫に今日仏滅だったよ〜と笑ってみせると夫は黙って頷いた。色々と書類に追記しなくてならないのは私のやることで、引き続き待たされるから夫には帰っていいよと伝える。戸籍は同じ場所でも割れるのだけど、せっかくだから別の場所に設定する。戸籍なんて普段から目に見えるものじゃないからどうなっていても関係はないのだけど、子どもの籍も自分に移したい。けどそれは私の籍という箱が数日後にしっかり出来上がってから家庭裁判所とのやり取りになるらしい。なんだか悔しい。引き続きの手続きはいつできるのかと聞くと、この処理は実はアナログでして、となんとこの書類自体を杉並に送ってだとかそんな流れになるらしいことを窓口の男性はすまなそうに言った。自分の立場が中途半端なままであるのがなんとも気持ち悪い。結婚の時はとんとん拍子にできたはずなのに離婚はグダグダで、余計なことしやがってと蔑まれているような気持ちになった。確かに新しくひとつ作るのよりも、あるものを二つに分けるのは増えるんだから手間なのはわかる。でも今日の処理は一時間もかからずに終了して図書館でママ友と合流。子ども達は以前から家で遊びたがっていたからそれも兼ねれて本当に有り難かった。プラザに移動、入館証を書きながらここの記名ひとつとっても表面上なにも変わらないことで私はここに立っていられる。そうじゃなければ全てを受け止めきれなくて逃げ出していると思う。こうした選択があることを知れてよかった。落ち着いたところでひとつひとつ話すとママ友の方がうっすら涙ぐんでくれていた。

夜、帰らない「元」夫に明日の予定を連絡する。明日ようやく晴れるようなので急いでいる仕事で必要な撮影をしに行きたい。カメラを借りたいこと、その撮影に行く間は子を見てもらいたいこと。すぐに了解と返信がきた。子が寝て23時をまわっても元夫は帰らない。届けを出したから早速奔放にしているようで、気にしちゃいけないと思いつつも腹が立ってくる。私のせいにして離婚をしているんだから自分が疑われるような行動は控えるという計算はしないものなんだろうか。そもそも、関係が良好な時でも夫は行動を共有してくれないところがあった。ルーティン外の行動をするときに、自分と共同生活している人間にそのことを報告してくれてもいいんじゃないかと私は思っていたのだけど、そんな情のようなものを悪気なく持ち合わせていない人なのだった。聞けば普通に、やまちゃんの家でパソコンの設定をしていると答える。今まではいかなる時でもやまちゃんは家に元夫を入るようなことはなかったらしいのに、何かが変わり出しているんだなと思った。気持ちの面で距離ができてしまった人との共同生活になっていくんだと思うと信用もしきれない心持ちになってくるのもあって、なんとなくN95みたいなマスクで武装したくなって調べて手頃そうなものを調べて楽天で買う。その流れで楽天ブックスのオフクーポンが手に入り、子がいま一番欲しい絵本、11ぴきのねことへんなねこの新品が中古でみるのと変わらない値段で手に入るのでそれも合わせて購入。安定の日々では思いきれないでいることを負のエネルギーで乗り切る。

 


8/18

久々の晴れ。ようやく仕事で必要な撮影をしに行ける。せっかくだから公園の撮影は子の遊びも兼ねていけると企んでお弁当も作って用意周到にして向かう。まずは急ぎで必要な場所を撮影。なかなかゆっくり子も遊んだ。次の少し離れた場所に移動してからお弁当を食べようかということにして、下高井戸まで走る。はじめて行く元上水路のその公園は低地になっていて緑が生い茂っている風貌はやや異様で、戸惑いながら自転車を停める場所を探してウロウロした。古いながらも立派な遊具もあるのに緑が手入れされているとは思えず、とても現役の公園には見えなかった。まず子どもの姿がない。ひとり、現場の休憩中のようなおじさんがいるのが見える。全貌がなんとなく分かって駐輪した頃に気づけば空模様が怪しくなっていて、一応自転車にカバーをかけながら下に降りて行くと同時に雨粒が激しく降り出した。屋根らしいものがあるおじさんがいるベンチを目指して駆け寄るも、その屋根らしいのは骨組みだけで緑の屋根を作ろうとして失敗しているようなものだった。つまりベンチもずぶ濡れだし居場所がない。私の日除け兼用の小さな折りたたみ傘に子と二人で縮こまる。雨は容赦なく土砂降りになって、条件の悪いこの公園は池のような水溜りができあがっていた。体のあちこちを濡らしながらなんとかスマホを取り出しレーダーをみると20分後くらいには雨が過ぎるようにはなっていた。長い。長いけれどもう一歩も動けない。家にいるであろう元夫に洗濯物どうしようとLINEするもなんの音沙汰もなく、こういう心細い時にもう声を掛け合って支えてもらえないんだというのが、より取り残された感が増して辛かった。おじさんはペットボトルのコーヒーとコッペパンを食べるつもりでいたようだったけどそれどころではない。しばらくしてほんの少し雨が弱まった隙、といってもまだ本降りだけど、おじさんはそばに停めてた自転車で少し進み出す。が、少し脇のトイレの頑丈な屋根の下に移動しただけだった。このロケーションと雨は限界で心が折れる。やがて日が差してくる。雨は残っていたけどこれなら行けると、水溜りを避けながらどうにか路上にあがった頃にはカンカン照りになっていて、耐えきった自分にガッツポーズしながら帰路につく。晴れたけれどあんな水溜りの公園では撮影はできない。結局お弁当は持ち歩いただけになって家で食べる。洗濯物は濡れずに取り込んであった。

しばらくして図書館、お話し会。いつものメンツでいつものように終えてプラザに移動。次は大将を撮影に行くため元夫に子を渡すことになっている。駅前で落ち合う。終わったら未完成に行こうねと子と約束していた。思った通り、元夫はごっちゃんのところにでもいると言っていた。撮影。高円寺の特徴ある街並みなんて誰もが勝手に撮っては使用されているようにも思うけど、区の仕事だからきちんと筋を通さなくてはならない。許可をとりがてらせっかくだから持ち帰りで焼き鳥を頼んだ。撮影を終えて約30分後ごっちゃんの店方面に向かうと店は閉まっていて、元夫に連絡するとマックにいたといって未完成に向かってもらう。未完成の最近の新入荷が可愛くて是非みてみたかった。元夫とはここで別れてから朝まで姿を見ていない。子を寝かせてから健康保険のことなども調べて、またモヤモヤしてくる。「予定外の行動になる時、それも外食ならなおさら、事前に私に報告してほしい。私だけが責任者なので。」とLINEする。離婚して親権を手放すというのはそういうことだと実感させるつもりで。そして金曜に手続きに行きたいから子を見てもらいたいことも伝えておく。今日、子は公園のジャングルジムが登りきれなくて泣いた。そういえば夫は数える程度しか子の遊びに付き合っていなかったよなぁと思う。面倒係として私がいるんだからそれはそうなのかもしれないけど、自分の都合に子を連れ回して街を歩くのは好きだったけど、何か教えてあげることに積極的ではなかった夫。逆にこれからは生活が共に無いことで、子と触れる時は子の目線になることを期待できるのかなという気もする。

 

 

 

8/19

水遊びが満足にできていなかったから、どこか新たなところはないか検索しまくっていて、隣りの区にじゃぶじゃぶ池とは違ってプールという分類のものがあるらしく、またお弁当までばっちり準備して向かってみる。行きながら数年前にここの話を上の学年のママ友に聞いたことあったなと思い出した。住宅地のなかに突如現れる小さな小さなプール、滑り台があるだけで子は声にならないほど喜びで胸いっぱいになっているのが分かる。人も他に二組兄弟連れがいるだけでのんびり遊べる環境だったのも相まって好印象のプールとなった。疲れて眠くもなったらしく家に帰りたいというけど、せっかくお弁当を持ってきているから公園に移動してどうにか弁当は食べる。少し復活して文具屋に寄りたいといって譲らない。近くに少ししょぼくれた感じの文具屋がある。子は文具屋は自分のための店だという意識が芽生えたらしく、いまいち冴えない品揃えの文具屋でも張り切って買い物しようとしていて、どうにか鉛筆一本と消しゴムにとどめれた。文具屋ならではの長細い紙袋に入れてもらえて雰囲気は出ていたから良かった。

帰って、本人もその気だったし昼寝をさせようとしたけど失敗してすでに夕方。あんなに喜んだプールのために浮き輪を買ってあげたい。夏も今さらだし、100円ショップであればいいなとキャンドゥに行くとあるにはあったけど金色のラメが入ったそれで、少し首を傾げている。阿佐ヶ谷まで出て100円ショップだけでなく、水着を探した時と同じく方々の店で見るけど売れ残っていなければ無いといった感じで見つけることもできず、高円寺のキャンドゥに戻ることにする。その前にふわふわのカキ氷を食べようということになった。テレビで天然氷のカキ氷を観て、カキ氷好きな子が目を輝かせていたから、こういうの近くでも食べれるよと教えていた店がすぐそこにある。混んでなければという条件で店を覗くと程よく人がいたけど席は空いていてスルスルと座れてしまった。二人で一品というのも気が引けてカキ氷とあんみつまで頼んでしまった。後から来た二人組のサラリーマンがペラペラ話しながら食べ出して店内は少しピリピリした雰囲気にはなっていた。子はお構いなしでマイペースに生イチゴのカキ氷を食べて、またグループの入店があったのと同時に店を出る。今どき感染対策を意識しない飲食店はないだろうけど、あからさまな対策を取っていないとどうも不親切に見えてもしまう。「〇〇歳以上のお客様は必ず一品ご注文お願いします」とかそんなお触れ書きはちゃっかりしているのに、換気も仕切りもお釣りの受け渡しも緩いところがなんだか白けてしまう店だった。子がカキ氷に満足してくれたからいいけどまたしばらく来ることはないかなと思う。さて戻って再び高円寺のキャンドゥ、500円シリーズの少し良い浮き輪も安くなってあったけど、100円程度の大きさがちょうど良い。帰って早速浮き輪を膨らませると、それだけで大興奮だった。自分の苦手意識のせいで子の体験が圧倒的に少ない気がする。そしてそれに対して夫も特に考えない人間だった。子には申し訳ない。

晩御飯時、子が観ているテレビを私も観ながらくだらない話をしたくなっても声に出せないのが辛い。どうぶつピースでゲストでワイプにうつる仲村トオルを観た瞬間さまぁ〜ず大竹に見えた、とか本当にその時だけ感じるどうでもいいことのためにツイッターのサブ垢を作ってセコセコとそこにぶち撒けていると、夫が今からこんな用件の仕事で出かけてくると声をかけてきて少し普通に話せる。こんな何気ないことがすごく嬉しかった。それだけで少し気力を持ち直す自分がいる。子と恒例のゴミ出し散歩。子は夜のゴミ出しがてら散歩をして楽しむようになった。以前は夫に丸投げだったゴミ捨てを意識して自分がやるようになって、はじめは子を待たせて外に出るというタイミングを見計らったりして気が重かったけど、一緒に行くことを楽しんでもらえる方向になって良かった。二人きりでもやれないことはないんだなと思った。元とはいえ共に住む夫が、やる事と行方と、きちんと告げて出て行った、たったそれだけのことで安らかに眠れる。

 

 

 

8/20

予定通り朝から区役所へ。そして今日は仲良し親子を昨日のプールに誘ってある。その時間も気にしながらの区役所。まずは保険のこと。離婚した事実を元に手続きを誘導してもらえると思ったら、住居が変わらないならそのままだと言われる。何事も世帯ベースで管理されているらしい。だからまず、同じ住居のなかで世帯を分ける。そしたら個人の保険に変更できる。そうして子どもも自分に紐付けできると。上まであがったけどまた一階に移動。すぐに窓口にありつけて世帯を分けて、保険証の再発行をしてもらう前にハッとした。数年前、結婚して変更になった時のことを思い出す。あの時も随分待たされたものだった。自分達の未来のために必要なことだと思っていたから苦には感じていなかったけど。時間を確認するとやはり時間がかかるとのこと。途中まで進めた処理も今日は諦める。よって、最短で月曜に再度手続きに来るまで私と子の保険証は使えない状態で終了になった。まぁ週末になるから余程のことがなければ必要はないけど余程があったらどうしようという緊張感はもったまま。急いで帰ってプールへ向かう。予定通り少し早く到着して脇の児童館の庭で様子を伺っていると、何組か同じように周りでなんとなく待っているようだった。ママ友に連絡して自分達もプールの前に移動して待つ。ママ友は出かける寸前に自転車のパンクがわかって、ここまではさすがに徒歩は無理だから諦めるということになってしまった。残念だけどとにかくプールを楽しみにできている子は今日も一人でも充分に遊べた。帰って用意しておいたお弁当を食べて、今夜の金曜ロードショー猫の恩返し」のために今日こそ昼寝させようとしたけど失敗。ママ友がプールに行けなかったから自転車のパンクが直ったら駄菓子屋に一緒に行こうと言ってくれていた。現地集合のタイミングを合わせながら家を出て、まだ早かったので駅前の文具屋に行ってみる。この文房具屋、20年前は表のアーケード側の一等地で大きな店だったよなぁと思う。こういう一業種の歴史を振り返ってしまうと悲しくなる。でも子どもはあれこれある100円ショップと違い四方を文具に囲まれたなかを嬉々として古びれた文具をあれかこれかと選んでいた。この雰囲気がまた何も買わずには出れない。欲しがるハイビスカス柄みたいなシャープペンを阻止して上にラインストーンのついた鉛筆とラメ入りのペンを購入。駄菓子屋に移動するとちょうどママ友親子も着いたところだった。わいわい駄菓子を買って冷えたゼリーなどをその場で食べる。ママ友も新入荷を気にしていた未完成に連れ立って行く。用意しておいたもらったものやフルーツコンテナなど今日も散財。実用性よりも可愛さ重視した日用品なんかを買うのはいつも夫だった。私はいつからか超現実的思考でしか日常を見なくなっていたなと思う。こうした彩りを取り入れるとままごとみたいな生活でもいいんじゃないかなと肩の力が抜ける気がした。今度はプラザへ。久しぶりのお友達も何組かいて、夏休み入る頃にコロナで休園になった園の子達。陽性は年長の在園児ひとりにとどまったらしくて、良かったというかなんというか。二階の遊戯室の窓際のマットの上でクッション積み木で遊んでいると、夫が自転車で通り過ぎて行くところが見えた。帰りにスマホを見ると家を出る連絡をくれていた。珍しい。プラザの上から見てたよと返しておく。オオゼキへ。入り口のスイカを見るなり子が、あ!スイカ!お父さんに買ってあげるんだ!と騒ぐ。こないだ一緒に道で見かけてお父さんスイカ好きで、スイカ食いてぇ〜て言ってた、と教えてくれた。夫はいま私達が買ってきたものなんて食べるかなと思いながらも、どうしてもだと言うので買う。私は今日特売のアボカドを買いたいのにずっとおばさんが真ん前を占拠してる。仕方なく脇から手を伸ばすと、どれも固くてちょうどいいのがないのよ〜と振り向いて声をかけてきた。確かにいくつか触るとまだ早い。だから安いというのもあると思う。若干硬さの違う2つを買う。帰って子が、こんなの入ってたと「あたり」と書かれた紙を見せてくる。駄菓子屋で買ったモルカーのくじシール、当たりがあるなんて初めて知った。思わぬことに私の方が興奮する。

夜は新しいカギを観る。いつも夕飯の片付けやお風呂の準備なんかをしながらなんとなくついていたこの番組に、いつの間にか子がハマっていた。でも今日は猫の恩返しがやるから早くお風呂に入らないとだし、子はゴミ出しがないのに夜の散歩もしたいとのこと。8時過ぎに家の周りを一周。暗い裏道の一軒家の塀の上から猫がじっと見ていて、猫の恩返しへの気持ちが高まる子。何度も何度も観てるのに、テレビ放送はまた格別らしい。急いでお風呂にも入って、金曜ロードショーには間に合った。子はモルカーシールのこと、スイカのこと、この猫の恩返しのこと、あれこれお父さんに話したがっている。終わるまでには帰ってほしいと連絡しておく。なんの返信もなく帰ってはきたけど、子の伝達事項にあまりリアクションもなく悲しくなる。

 


8/21

子がどんなに寝るのが遅くなっても同じくらいの時間には目覚める。そういう体になっているのだろう。

昼頃、買い物がしたくて中野に出る。子はマルイのキャラクターショップでまた文具類を買う。中野に行くよと言ってる時点でミスド前の台湾唐揚げが食べたいんだといっていて、ハッピーセットを買うにしてもそんな値段は変わらないし仕方なくお昼ごはんとして台湾から揚げ。

この日の午後はこれ以上記憶にない。夕方にスーパーに行った気はする。フジロックだとか24時間テレビだとか、相変わらず縁がない。土曜のテレビはいつも通りジョブチューンで、ファミマスイーツだから割とちゃんと観ていた。子も馴染みの店の馴染みの物だからこれ食べてみたいとか言いながら観て、一位まで判定を待てずに夜散歩がてら買いに行こうかという話になった。ファミペイ払いをするスマホひとつ持って家を出る。小走りしながら道を行く子にカメラを向けると、少し戻ったところの門構えがリゾート地のようなマンションの前で写真を撮ってくれと言う。そのまた並びのマンションの前、小さなお稲荷さんの前でパシャリ。そうして遊びながらファミマ。合格の品で子が食べたがったスイーツと私は新しい紅茶フラッペを買いたいけど、今のいまランキングになったものを買うのが少し気恥ずかしくて違うフラッペを手に取る。レジの人が癖が出てしまったのか、ビニール袋を出して入れようとして気づいたような、でも手を止められずにスイーツを袋に入れてくれて、フラッペをやたら揉んでくれていたけどこのご時世でそれはちょっとありがた迷惑のような気持ちになった。慎重に触りながらフラッペを二人で飲み飲み帰宅。

 


8/22

深夜だったか明け方だったか目が覚めて、なんとなくスマホでテレビ番組表をチェックすると、24時間テレビの深夜枠は有吉の壁をやっていたらしい。観たかったな。馬鹿みたいにテレビみて笑ったりしたかったな。そんな平和な時間が私には二度とやってこない気がする。

今日で終わりと勘違いしていた神楽。9月は辞めると話すプレッシャーからはひとまず解放。素知らぬふりして稽古をする。商店街で買い物して帰り。帰ってお昼ごはんにしていると、久しぶりにクラスのLINEで阿佐ヶ谷の不動産屋がやっている宝探しでなかなか豪華な景品が貰える話を教えてもらう。さっきまで阿佐ヶ谷にいたのに勿体ないことした。子に話すとやりに行く気になってるので、午後再び阿佐ヶ谷まで。マップにあるヒントをもとにそのスポットへ行くと宝箱があってシールが入っている。スポットは10箇所くらいあるけど5種類違うシールを集めたらゴール。おそらくこの不動産屋の物件店舗が協力しているのだろう。阿佐ヶ谷北側には分かりやすい店が固まっていたから歩いて回る。神明宮の前を通る時に寄っていく!と子が言いだして、暑い中ふらふらと中まで行ってお参り。家族三人仲良くできますようにってお願いしたからね、と子。辛い。もう子の前で散々揉めてきてしまった。今さら取り繕うこともできないし、ありがとうと言ってごまかす。再び炎天下のなか歩いて店を探すもマップをよく見ると日曜休みのスポットが多い。他は五日市街道から成田東の方に集まっていて、気持ち的にはしんどい。シールを2つで今日はやめようかと自転車で走り出すとまだやりたいというので成田東方面へ向かう。すぐに分かる場所とヒントが難しい場所がある。「目玉焼きは焦げたらダメだけど焦げてもいいものはな〜んだ?」場所のヒントを頼りにその辺りを何度もウロウロする。そんなにお店の多い場所ではない。焼き鳥屋、珈琲屋の焙煎の香り、陶芸をしているところ。私が思ったそれらしいのはこれで精一杯。子に軒先を見せても何もないと言っていてもう限界だった。その店は6時までの営業。もうすぐ6時だし諦めて帰ろうと走り出すと、新高円寺に出る辺りで子が顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。私ひとりで手に負えないことに、こんな時夫がいれば、夫が一緒に楽しんでくれていたらと思うと悔しさで苦しい。途中で自転車を停めて夫に連絡して子に話をさせる。私も代わって補足してもさすがに現地を知らないのもあって分からないと言われるだけだった。それでも諦めきれない子がもう一度探したいと訴えてきて、戻るかどうかというところで夫から電話。ブランコとか船とか、自転車。「こげる」は漕げる。と言われてハッとした。自転車屋ならあった。私はそういえば空気入れたいなと思って店をチラ見もしたのに。今度こそ子も覇気を取り戻して自転車屋を目指す。あったじゃないか。空気入れとは反対側に棚がおかれて宝箱がある。写真を撮って夫に送る。そうしてシールが5枚になったし、今度は阿佐ヶ谷の不動産屋本店まで走る。子はすっかり元気を取り戻して、私がサイクルスポットで空気を入れてる最中も小躍りしていた。不動産屋に着くと男の子を連れたお母さんとすれ違う。なんだか不満そうにこちらをジロリと見てきて、不審に思いながらも受付のお姉さんにシール台紙を見せるとお姉さんは笑顔のまますまなそうに、これはシールが同じなのでもう一度頑張ってもらえるかなと言い、よく見ると最後の自転車屋のシールはすでに同じ絵柄があるものだった。貼るのは子に任せていたので全く気づかず。子に説明して明日続きやろうねと言うと、子は宝探しまだ出来るんだ、やったぁと言ってみせてくれたのでほっとして帰路につく。

帰って顔を合わせるとまた夫と揉める。この形の冷戦状態でどうにかでもいいからやり過ごしたいと思っていたのに、やっぱり無理だとあらためて別居を申し出てきた。それは話が違う。一緒に住む、だからせめてもの離婚でそれは受け入れたけど、そのうえでさらに離れることは事実上の紛れもない決別になってしまう。これまで理由なく土日を一緒に過ごさないことも私の心を荒れさせた原因のひとつでもあって、今日は日曜、とくにそんな気持ちがまた思い出される。そのすれ違いが今の私達にしてしまったのもあるのに、一方的に責められている形で理解されていないことも悔しくてたまらなかった。タマゴが先かニワトリが先か。私が悪いからそんな夫になってしまったと彼は思い、そんな夫だから私の態度も煮え切らなかったところもあると私は思っている。私は子に合わせて日々を営んでいるけど、夫は食事もしないし寝ないし、どんどんやつれていって、まともに考えることも出来ない状態ではないかなと思うけど、それも私のせいだと言われてしまうだろうから何とも言えない。せめて食べて気力を取り戻してほしい、とLINEする。直接話すことがもう負担になっていることも分かってる。

夜、お風呂を上がるとママ友からフジロックヒロトを観た時の子どもの反応についてLINEがくる。そうか私も観たいと思っていいんだなと思えてきて、ちょうど時間でツイッターのあちこちで盛り上がりをみせる電気グルーヴにいい加減私もアクセスしてみる。気持ちが良い。こんな感覚なくても生きてこれてたけど、やっぱり心が潤うのを感じる。イヤホンを耳にさしたままいつの間にか寝てしまっていたけど、また脳に音が届いてきて、ハッとしたらN.O.を歌っている卓球。今でもやっぱり大好きだ。学生の頃はじめて聴いた瞬間から感動して影響を受けて書いた作文が地元の広報新聞だかの掲載に選ばれたけど、その時の私は何を訴えていたのか、今はまるで覚えがない。ただこの歌を聴くと泣きそうになるのは変わらない。